8『職務に真面目な方だ!』
どう説得したものかと悩んでいると……突然タイラさんが手を挙げた。
全員がタイラさんを見る中……ユーノがまたボスの威圧感を出して「なんぞ」とタイラさんに返事をした。
「ひとつだけ確認をさせて貰いたいのですが、この指輪を貴女に預けた人は真面目に仕事をする方ですか?それとも適当にする方ですか?」
タイラさんが質問した瞬間ーーーユーノからぶわっと殺意が溢れ、咄嗟に私とシャードさんはタイラさんを守るよう彼とユーノの間に割って入った。
ゴーレムさんは…少ししか知らないけど多分職務に真面目な人だ。
そんな人を暗に仕事サボるような人ですか?なんて言ってるみたいな質問をすれば、ゴーレムさんの作った指輪を手放さないくらい彼を好きなユーノが怒っても当然だ。
『お前…今なんと言った?あの方はな、仕事に真面目で優しい素晴らしい方だ!毎日毎日、人の手に渡らない指輪でも人の生まれた数だけきっちり作り続けるとても職務に真面目な方だ!馬鹿にするでない!!』
ユーノが叫びながら衝撃波を放った瞬間
結界が大きく揺れたが……護衛さんは膝を着いたが何とか耐えた。だが、これ以上はさすがに結界も、ユーノの怒りもやばい。このままじゃタイラさんが殺されるので口を挟もうとしたがーーー
「なら何でそんな事をした!このままじゃあんた軽蔑されるぞ!!いや、最悪嫌われて顔も見たくないって言われるぞ」
タイラさんが怒鳴り返したことにより、場の空気が静まり返った。
ユーノの怒りが静まったどころじゃない。ユーノは真っ青な顔で両手で口を覆う。
私とシャードさんたちも…成り行きを見守る。
『な、な、何を言って…な、なんで…』
そこからはタイラさんの独壇場だった。
「なんで人の生まれた数の『女神の指輪』をずっと作り続けたんだ?その男は人の手に渡るのを望み続けて、作って、渡してたんじゃないのか?ずっとずっと願い続けていたのを……あんたが妨害していたと知ったら、どう思う?」
『……でも、でも、私の指輪なのに…』
「その指輪はどうしてくれって言われてたんだ?好きにしろって言われてたのか?」
『………海底に、いい感じにばらまいてくれって言われていたわ。でも『女神の指輪』なのに…』
「ならあんたの『仕事』は配布することだったんだろう?仕事を真面目にやるやつが……ずっと仕事をサボってたやつをどう思うか、わかるだろう?」
どんどん青ざめ今にも倒れそうなユーノ。
熱く語り出すタイラ。
いやまあ言ってる通りなんだけど…タイラさんの発言はド正論だけど、気遣って言いにくいものだった。特に主人の気持ちに同調してしまう部下たちでは言いにくかったことだろう。
『……どうしよう……嫌われる…』
「…やってきたことは変えられない。だが、言い回ししだいでは……変わる気があるなら今からでも間に合うぞ」
『本当に!?どうすれば嫌われないの!?』
だけどなんだろう。
なんか…タイラさんが詐欺師に見えてきたのだけど。




