1『火力面でいすずには劣るが』
タイラさんの分身は浮き輪をつけて空を泳ぎながら飛ぶ小さな人魚だった。
好奇心旺盛で色々と考えて学習をしているあたりタイラさんによく似ている。
ちなみに雷帝は考えることより、行動する方が得意だ。
うん、考え無しって訳じゃないけど私に似てるね…。
分身たちはそれぞれが主人の補佐をしつつ、ハコさんを姉として慕っていてハコさんも満更でも無さそうだ。
4人のじゃれあいを見つつ…暗闇の中、全員で海底エリアを進む。
と言っても、ハコさんは種族特性なのか暗闇でも見えてるし雷帝は身体の一部を光らせて灯り代わりになってくれている。
水中ということでタラちゃんは周囲を泳ぎ索敵し、私も感覚でわかるのでハコさんと一緒に近づいてくるモンスターを倒す。
いつもは夕暮れ前に活動を終わらせる私たちが何故暗闇の中、移動しているかと言うと……それは経験値稼ぎと分身たちのためだ。
インベントリに入れるハコさんと違って分身たちはせいぜい服の中に隠れることしか出来ない。
驚いたことにハコさんの馬車の中には分身たちも容量的には入れるはずなのに、何故か入ることは出来なかった。
扉を通り抜けることが出来ず見えない壁にぶつかるのだ。まあ最悪馬車の上の荷台の所には居れるので、馬車移動は出来るのだけれどね。
そしてローブのタイラさんやシャードさんならともかく…軽甲冑の私に関しては隠れられる隙間がない。という訳で出しっぱなしにするしかないのだけれど……
まだ3次転職の情報開示は早いとシャードさんが言って
じゃあヒントになるこの子達を見せないように行動しようとタイラさんが言ったことにより、人の気配があるフィールドを通る時は夜に動くことになったのだ。
とはいえなんだかんだ皆、分身に甘いのでインベントリに入れられても入れない気もするけどね。
「…これが終わったらいすずとタイラが指輪を取りに行っている間に僕はタイラの感知装備を作ってくるかな」
「そうだな、火力面でいすずには劣るが『女神の指輪』なら俺でも採掘出来るだろうからありだな」
『足元危ないからなー!』
「ありがとう雷帝」
警戒しつつもやはり視覚情報で見てしまうシャードさんのフォローをする雷帝を後方に感じながら…前方からこちらに来るモンスターの魚群を撃ち抜き、左側の敵は地雷を定期的にそちらに投げ撃ち近寄らせない。
現在のエリアレベルは165。昼間であれば余程密集していなければ180くらいまでは余裕でソロでも倒せそうだが……
どうやらここの敵たちは夜は寝るタイプなのか動きがかなり鈍く感じられる。というか……たぶんあまり見えてないし、感じられてもいない。
それに比べて私は目よりも詳細な情報が仕入れられる感知だけで動いているけれど、多分情報量がちょうどいいのだろう。昼間よりもかなり動きやすさを感じる。
敵のタイプがこの先も変わらなければ、昼よりもっと戦闘幅が広がるなー……
とはいえ、2人を守りながらの戦いはそれはそれで大変だけれどもね。多少撃ち漏らしても許してくれると思うし撃退できるだけの実力はあるけれどそれはそれ、これはこれだ。
私が守っている以上、一体も撃ち漏らしたくないものだよね。




