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 あれから十日ほど過ぎた。

 毎日三食口にするようになったレイジュの回復は、めざましいものだった。全快ではないにしろ、もう日常生活を送るぶんには支障がない。

 しかし次の一手について、彼女はどうしたものか考えあぐねていた。


 寝台に腰かけたまま、窓越しにぼんやり空を見上げる。太陽を背に飛び立つ小鳥のむれを眺め、レイジュは深く溜息をついた。


 ──休み過ぎて、気持ちが悪い。


 里では、どれだけ不調でも鍛錬たんれんに出ていたのだ。これでは逆に持て余してしまう。本当は討って出たいところだが、まだカナンと渡り合うだけの力はない。

 それどころか、たとえ傷が完治しても正面切っての討殺は不可能だ。急所である龍脈が視えない上、実力の差が如何いかんともし難い。別の手を考えるべきである。


(ならば、やはり毒が有効……)


 龍殺において最善は龍脈を突くことだが、次善には毒がげられる。人身じんしんの龍ならば、身体構造は人と同じだ。致死量は変わるが毒でも殺せる。これなら実力は関係ない。


 問題は、それだけの効力をもつ毒薬の入手だった。幸いレイジュは調合ができるが、肝心の材料がない。自決用に仕込んだ奥歯の毒は、知らぬ間に取り除かれていた。さすがに層雲宮ここから里へ採りには戻れまい。


「──さま、──……ジュ様」


 そも、現在地が曖昧あいまいだ。近場で素材を探そうにも、土地勘とちかんがない。仮に誰にも見つからずに外出し、運良く採取できたとして、今度は調合する場所がない。道具もない。おまけにこの寝室は、わりと頻繁に出入りがある。


 毒殺は、原則一発勝負だ。気取られないことこそが肝要となる。少しでも勘づかれれば、成功率は極端に下がってしまう。


「──ジュ様、レイジュ様」


 ならばやはり、無茶を承知で奇襲をかけるか。

 隙をついて上手く急所に当たれば、カナンに致命傷を与えられるかもしれない。勝算は泣きたくなるほど低いが、それぐらいしか、ほかに道は──。


「レイジュ様!」

「ぴゃあッ!?」


 素っ頓狂な声が出た。

 慌てて振り返ると、いつの間にか横にコウエンが立っている。


 朝餉あさげの一件ののち、レイジュの世話はほぼコウエンが引き受けていた。なお、主であるカナンは二日にいっぺんほど昼時に現れ、ひとしきりどうでもいい話をして帰っていくのが常だ。


「ああ、申し訳ありません。先ほどからお呼びしていたのですが、お返事がないものですから」

「いえ、それは失礼しました」


 びるコウエンに、レイジュは苦い気持ちでかぶりを振る。

 ……どうも最近、勘が鈍っている気がする。もしや、食事に五感が衰える薬でも盛られているのではないか。

 そんな疑念を顔に出したつもりはなかったが、


わたくしどもは何もしちゃいませんよ。我々には殺気がないんです。レイジュ様は、殺意に鋭くていらっしゃる。だからです」

「あなた、読心術まで心得ているのですか?」


 視線に明確な敵意を乗せ、コウエンをめつける。

 対するコウエンはじる様子もなく、大仰に肩をすくめてみせた。


「そんな大層なもんじゃありませんよ。私は小心者ですから、他者の顔色をうかがうのが得意なだけです」

「小心? こうして龍討師の前で堂々と姿をさらす、あなたが?」

「そうですよー。私もあの方も、本当は怖くて仕方がないんです。けれど、もう歩みは止められませんから」


 含みのある表情かおでそう言い、コウエンは金の眼を伏せる。


「わかりませんね。何が、そんなに怖いのですか?」

「はて、レイジュ様のことでは?」

「とても見えませんね。あまりにふてぶてしくて」

「お褒めいただき光栄です。これは我ら、精一杯の見栄みえでございますれば」


 白々しい笑顔ではぐらかすと、コウエンはそそくさと茶器ちゃき支度したくを始めた。飲み薬のほかに、最近は日替わりで飲茶ヤムチャが用意される。今回もそれだろう。

 作業するコウエンを眺めつつ、レイジュは半ば呆れを込めて呟いた。


「あなたと会話していると、ときどきカナンと話しているような錯覚におちいります」

「ご冗談を。私などより、テンレイコウとお話される方がずっと楽しいでしょう?」

「楽しそうに見えますか? わたしが」

「はい。ですがまあ、あの方の幸せ波動が強烈で、少々かすんで見えるのは事実ですが」

「……瘴気しょうきにあてられたのでは?」


 病む前に、魔除まよけの護符でも買った方がいい。早急に。


「あ。そうだ、忘れてました。実はレイジュ様にご報告がありまして」


 唐突に言うとコウエンは手を止め、レイジュに向き直った。日数的にはカナンがくる頃合いだ。何事かあったのだろうか。


「なんでしょう?」

「テンレイコウ、ほんとは午後いらっしゃる予定だったんですけど、今日はこちらへお見えになれないんです。お風邪を召されましてね」

「風邪? あのカナンが?」


 鬼の霍乱かくらんか、天変地異の前触れか。

 正確にレイジュの考えを読み取ったコウエンは、苦笑しつつこぽこぽと茶を注ぎながら頷いた。


「ええ。昨夜早めにお休みいただいて、もう大方おおかた治ったんですけどね。大事をとって、今日の外出は控えてもらいました。万が一、レイジュ様にお移ししたら大変ですし」

「さしものカナンも、風邪には勝てませんか」

「まあそうなんですが、あの方、なかなか病状を認めてくれなくってですね。健康だ、問題ないの一点張りで、ここに至るまでけっこうな駄々をこねまくったんですよ。で、最終的に私がそのへんにあった花瓶かびんを振り上げたところで、ようやく納得してくれました」


 と、内容と裏腹な爽やかさでコウエンは語る。

 どうやら彼に魔除けの護符は不要らしい。多分、もう病んでる。


「昔っから、どうも御自分の体調を過信するところがあるんですよねぇ。ま、今回は年甲斐としがいもなくはしゃぎ過ぎたんでしょう。おかげで、私の為事しごとも増えてしまいました。今日はまともにお仕えできそうにありません。ひらにご容赦くださいませ」

「構いません。身体もだいぶ動くようになりましたし、ひとりの方が気楽ですから」

「そう言っていただけるとありがたいです。となりの寝殿にいらっしゃるテンレイコウは、寂しくて泣いちゃうかもしれませんが」

「泣きますか、あれが?」

勿論もちろん、嘘泣きです」

「なるほど」


 猛烈な説得力だ。

 レイジュが相槌あいづちを打つ横で、円卓に飲茶ヤムチャそろえ終えたコウエンは、優雅に一礼した。


「本日のお茶は、蜜蘭香みつらんこうをご用意いたしました。茘枝ライチのような香りが特徴の、飲みやすいお茶です。こちらの馬拉糕マーラーカオは生地に紅甘藷べにいもを加えて、優しい味に仕上げています。ぜひご賞味くださいませ。一緒に果水かすいの入った水差しも置いておきますので、こちらもどうぞご自由に」

「果水とはなんですか?」

「果汁、蜂蜜などをちょこっと混ぜたお水のことです。ほぼ水だと思ってください。これはほんのり檸檬レモンの味がしますので、すっきりさっぱりしたい場合はこちらがおすすめです」


 ほぼ水。ほぼ水ならば、普通に水を出せば良いではないか。

 そこにわざわざ果汁を混ぜる神経がレイジュには理解できないが、金持ちの道楽にいちいち突っ込んでいてはきりがない。そのまま聞き流しておいた。


「私は夕餉ゆうげの刻限に、また参りますので。それまでどうぞ、ゆっくりおくつろぎくださいませ」

「わかりました」


 贅を尽くした食卓を睥睨へいげいしつつ、レイジュは了承する。

 普段はこれで終わりなのだが、今日に限ってコウエンは立ち去るそぶりを見せず、その場にとどまった。


「……何か?」

「一つ、おきしてもよろしいでしょうか?」


 いつになく真剣な眼でコウエンが問う。

 どうやら無駄話ではなさそうだ。レイジュは背筋を伸ばし、慎重にき返した。


「なんでしょう?」

「御前の頸級くびを狙うなら、何故、私を生かしておくのです? ご覧のとおり、私は龍です。寿命もあるので、龍脈もよく視えることでしょう」

「あなたは昇山しょうざんしましたか?」


 間髪入れずにレイジュが問うと、コウエンはつか(きょ)を突かれた表情を見せたあと、首を振った。


「いいえ、私は文官です。あの場では足手まといとなりましょう」

「でしょうね。あなたの手は綺麗過ぎますし、動きも武芸者のそれではありませんから」


 同意すると、コウエンは怪訝けげんな瞳をレイジュに向けた。


「武官を殺せ、との命だったのですか?」

「いいえ、『昇山せし悪しき龍を殺せ』です。あなたは昇山していない、ならば、討伐の対象ではありません」

「こっそり登っていたかもしれませんよ?」

「それはないでしょう。カナンが昇山した以上、あなたが出向く利がありません。不測の事態にそなえ、後詰ごづめを任せた方が安心です。それにカナンがあの山に、文官を連れて行くとも思えませんし……。龍ですら、昇山を躊躇ためらうのですから、あの山は」

「やはりあなたは、本来賢い」

「……はい?」


 出し抜けにコウエンに言われ、間抜けな声が出た。

 今の会話の流れでこの相槌あいづちは、少々文脈がおかしい。

 しかしコウエンはレイジュを意に介さず、屈託のない笑顔を浮かべた。


ごくのごとき冬と、法が統べし山──獄法山ごくほうさんは、非常に過酷な場所とうかがっております。ご推察のとおり、軟弱な私にはいささか、荷が重い」


 するりと口にしたその一節は、里の者以外、知りえぬものだ。

 途端、脳裏で弾かれたように警鐘が鳴る。敵意と語気を強め、レイジュはコウエンに問いかけた。


「どこで獄法山ごくほうさんの名を知ったのです? あれは地図にもらない、未開の山ですよ?」

「ごもっとも。良い傾向です」

「はい?」

獄法山ごくほうさんの話、私はテンレイコウからうかがいました。御前も昔、ある御方から聞いたそうです」

「それは誰です?」

「私からは申し上げられません。恐れながら、こちらに関しては御前に直接おきくださいませ。──では、私はこれにて」

「ま、待ちなさいッ!」


 意味も分からないまま、唐突に話を打ち切られてしまう。

 声を荒げて呼び止めるも、コウエンはどこ吹く風で奥の間へ消えてしまった。


 ──いったい、彼は何を確認したかったのか。


 一瞬、詰め寄っておどしをかけようかとも思ったが、やめた。そんなことをしても、コウエンは口を割らないだろう。知り合ってからの日は浅いが、今までのやり取りで予想はつく。


 裏切り者の存在は気になるが──まずは最優先事項の対処が先決だ。

 すなわちカナン、悪しき龍の討伐である。


(カナンのやまい。この機を逃すわけにはいかない)


 多少なりとも弱った今こそ、一矢いっしむくいる絶好の機会だ。

 決意を新たにひじを突き、寝台から身を起こす。床に足を下ろし、そっと立ち上がってみた。多少、背中がる感覚はあるが、痛みはない。軽く歩き回るくらいなら支障ないだろう。


 寝間着ねまきのまま戸棚をあさり、目当ての物を取り出す。まさかとは思ったが本当に、莫迦丁寧ばかていねいに手入れされた飛刀ぶきが保管されていた。

 ふところにそれを隠すと、意を決してレイジュは外へ足を踏み出した。


 そして──廊下に出るなり、レイジュはその場に立ち尽くした。


 今日は天気が、すこぶる良い。空は青く、気温も高く、雪は溶けきっている。探索たんさくにはもってこいと言えよう。


 空から視線を落とす。

 一応覚悟はしていたが、この層雲宮は想像以上に広大な敷地にあるようだった。玄州らしい峻厳しゅんげんな山々を背景に、今レイジュの眼前には、巨大な庭園が広がっていた。


 野晒のざらしでは決して成立しない、美しく整えられた庭木の枝や草花。広がる蓮池はすいけを的確に区切り、随所に半円を描くよう渡された石橋。その連なりの奥に見える複数の離宮、等々(などなど)──。


 景観に対する強い恣意しいと、美意識が伝わってくる。門外漢のレイジュでもわかる。腕のいい庭師の手と、維持に莫大な財をかけねば、こうはいかない。


(それにしても、はすの花って……冬は枯れますよね?)


 足もとにある、薄桃色の花を観察する。池に浮かぶ無数のはすは満開だ。もともとそういう品種なのか、あるいは、この土地特有のものなのかもしれない。何せ、このあたりの気候は玄州とは思えないほど温暖だ。季節が狂っている可能性がある。


「いえ、今はそんなことよりも……『お役目』を果たさなければ」


 声に出して奮起ふんきする。

 何よりも、まずはカナンだ。


 コウエンが『となりの寝殿』と言うからには、そう遠くはないはず。この場から近い御殿だろう。周囲に見える建物の中からあたりをつけ、レイジュはその方角へ足を向けた。


 蓮池を縫い、へびのように蛇行する廊下をひたすら歩く。道中は静かなもので、途中、誰かと遭遇そうぐうすることもない。常々層雲宮(ここ)の危機管理がおかしいと思っていたレイジュだが、実際に歩いてみると別の観点も生まれた。


 どうもこの宮の立地は、天然の要塞らしい。周囲の山が目線より下にあるので、獄法山ほどではないが、かなりの高さがある。玄州山脈の特徴を考えると、切り立った山の頂上を切りひらき、造られた宮殿なのではないだろうか。


(だとすれば、この宮の周囲は、崖)


 多分、断崖絶壁だ。

 だからこそ、侵入者への警戒が薄い。

 しかもレイジュが寝起きする寝殿は、敷地の最奥に位置するようだ。おさであるカナンの寝殿がとなりなら、ここは敷地の中でも最深部に違いない。兵からすれば、何重もの堅い警護のその先にある、主君の寝所──禁域なのだろう。


 橋の下を流れるかもの親子を見つつ、自分なりの分析をまとめてみる。

 恐らく、そう間違ってはいないはずだ。その証拠に、池で非常食の食料かもまで飼育しているではないか。万全の構えだ。そして美味しそうだ。


 つらつらと考えながら石橋を渡り終えたところで、レイジュは目的の寝殿にたどり着いた。

 やはり、警護の兵はいない。しばらく物陰から観察していると、一度だけ龍の女官が桶と手拭いをかかえて寝殿に入り、退出した。カナンの風邪は治りかけという話だったから、寝汗でも拭うためだろう。

 女官が完全に立ち去ったことを確認し、レイジュは寝殿へと潜入した。


(息の根は止められずとも、必ず一矢報いてみせる)


 強い決意を胸に、殿内を探索する。案の定、中は無人かつ無龍だ。カナンがいるとすれば、殿内の最も良いへや──東南の角だろう。

 ふところから飛刀を取り出す。息を殺し、足音を忍ばせて回廊を巡る。幸い、この寝殿内には中庭が造られていた。奥から水音がするので、ここにも庭池があるようだ。多少の物音おとはこれで紛れる。都合がいい。


 中庭に沿うようにして回廊を進んでいくと、かすかな金属音がレイジュの耳に届いた。足を止め、耳を澄ませる。

 しゃらん、しゃらん、と鳴るこの独特な高音おとを、レイジュは知っている。間違いない。これは、レイホウジュの頸飾くびかざりのだ。


 ここまで聞こえるということは、窓を開け放しているのだろう。あれだけ後生大事に持っていた頸飾くびかざりだ。この先にいるのは、カナンと断じて問題ない。


 はやる鼓動を抑え、さらに慎重に回廊をく。

 ほどなくして、レイジュはカナンの寝所と思しきへやの前に到着した。


 この寝殿は中央に中庭を配し、各室かくへやと回廊がぐるりと周囲を囲む設計のようだ。どこからも中庭を堪能できるように、という配慮なのだろう。もちろん、カナンがいると思われるへやも中庭に面している。


 回廊から中庭へ半身を出し、室内の状況を確認する。

 感じられる気配はひとつだ。木々に隠れて中は見えないが、物音から察するに、かなり近い。どうやらカナンは、独りで庭先に出ているようだった。


 仕掛けるならば、今しかない。

 へやの前に戻り、飛刀を握りなおす。

 そこでふと、レイジュは扉に吊り下げられたものに気づいた。

 把手とっての部分に、何やら文字の書かれた板がぶら下がっている。

 いわく、


『入浴中』


 これは……『取り込み中』『入るな』という意味だろうか。

 療養中の来訪者への指示なのだから、まあ、そんなところだろう。無性に不安を掻き立てられるが、その程度で屈するレイジュではない。このような好機、そうそう訪れるものではない。


 板を無視し、把手とってに手をかける。

 そっと動かすが、鍵はかかっていない。

 よし、一気に畳みかける!


「カナンッ! お命ちょうだ──」


 扉を蹴破り、侵入したレイジュの名乗りは、そこで急速凍結した。

 果たして目当ての龍は、確かに、へやにいた。

 いたのだが──。


「ん?」


 控えめな、しかし品の良い調度品で整えられたへや

 その開け放たれた窓辺にたたずむ、痩身の美しい青年がひとり。

 完璧な比率を誇る体躯たいくには、左肩に不自然なまでの大きな傷痕が見える。


 くるりとこちらに振り返ったカナンは、普段通りの呑気のんきさで──さらに言うと、一糸纏いっしまとわぬ素っ裸だった。


「………………」

「レイジュ、何故こんなところに。わざわざ見舞いにきてくれたのか?」

「………………」

「私は大事ない。心配させてすまなかった。ああ、大袈裟おおげさに伝えたのは、コウエンだな?」

「………………」

「そなたの方が、よほど安静にせねばならんというのに。まさか私のために、見舞いにきてくれるとは」

〈あー…………おい、カナン〉


 近くの机に置かれていたコクエイが、いたたまれない様子で呼びかける。

 が、カナンはまったくもって態度を崩さなかった。


「こんな遠くまで、たった一人できたのかね? 難儀だったろう、すまなかった」

「………………ッ」

〈カナン。おいカナン、聞け!〉

「そうだ、レイジュ。私のへやには露天風呂があってね。傷にも良いゆえ、そなたもゆっくりかっていくと──」

「………………ッッ」

〈カナン! お前、せめて下を隠さんかッ!〉

「…… ──ぴ、」

「ぴ?」

「ぴぎゃあああああああああああああぁぁぁ── ──ッ‼」


 間の抜けた、けれど渾身の絶叫が、殿内に響き渡った。


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