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第1話 プロローグ
本編は、|. 学院編、||. 分析官編と続きますが、この第0.編は主人公が、その道を選ぶにいたった、その前のエピソードになります。
シリーズのプロローグ的な位置づけです。
(こちらをお読みにならなくても、本編には影響はございません。)
数字は、嘘をつかない。――という言葉を、彼はあまり信用していなかった。
窓の外では、夜の河港を魔石灯が青白く照らしていた。
机上にはヴォルグ連邦南部諸州の穀物価格、河川輸送量、倉庫在庫、魔石採掘量。十二年分の数字が並んでいる。
エリアスは眼鏡を押し上げ、もう一度、今年の欄を見た。
豊作ではない。輸入も増えていない。河船の入港数も平年並み。
なのに、穀物価格だけが安定している。
しかも――安定しすぎている。
「この統計を作ったのは、誰です?」
向かいの若い官吏が顔を上げた。
「ヴォルグ政府の公式統計ですが」
「それは分かっています」
エリアスは紙面の一点を指した。
「だから、誰が作ったんです?」
十二年前にも、同じような数字を見たことがあった。
あの時は、まだ十四歳だった。




