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俺だけ生配信中なんだが? 〜生配信中に異世界転移してしまった結果、配信切れなくなった件〜  作者: 【星願大聖】永福
第三回・レアー様の信仰心を回復させ隊!

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100/138

『ぶちょう! バナナはおやつに入りますか?』

 ◁

 レアメス二世の八つ当たりに巻き込まれること数分。

 

「はい、それでは今後の計画を話すからみなさん席について下さい。 こらそこ、褐色組は大人しく座る!」

 

「ハートちゃん知ってるか? メメジェットさんはシーツを被っているから忘れられがちだが、褐色肌なんだぜ? つまり褐色組と言えば俺とこの鼻下長紳士だけでなくメメジェットさんも含まれるのだ」

 

「貴様またその不名誉なあだ名を口にしおったな! 表に出んか!」

 

 話に上がったメメジェットさんは素知らぬ顔をしていた。 関わりたくないですと態度で語っている。

 

 メメジェットさんとの相談が終わったハートちゃんは、取っ組み合いをしていた俺達を落ち着かせてアジトに連れ帰ってきたのだが……

 

 そんな俺達を見てホープさんのが放った一言がこちら。

 

「坊やたち、ちょっと目を離した隙にすごく仲良くなってるねぇ?」

 

「「どこが?」」

 

「そういうところだよ?」

 

 やれやれと肩を竦めるホープさん。

 

 『息ぴったりじゃん』

 『褐色ショタと褐色オレサマ系イケメンのくんずほぐれつご馳走様です』

 『なんだかパッと見だと親子みたいだね』

 

「マジでやめてくれます?」

 

「まあまあ坊や、そう言うなって」

 

「おいおっぱいウィザード。 さっきのは多分信者への返事だぜ?」

 

 サラーマさんが毎度のごとくフォローを入れると、ホープさんは「分かりづらいなぁ」とため息をついていた。

 

「とりあえず、今後の方針としては最優先として信者を集める方向で行くよ」

 

「けれどその前に王国軍の追跡の目を撹乱させなければなりません」


 ハートちゃんとメメジェットさんが今後の動きについてをわかりやすく説明してくれた。

 

 まず、信者集めに関してだが、こちらに関しては単純な方法だ。

 

「地図を見てくれるかな? 信者集めに向かってもらうのは少年と護衛係を二人。 普通に考えて冒険し慣れてるサラーマ君とサナちゃんに行ってもらおうと思ってる」

 

「まあこれは我々が勝手に決めただけですので、決定権は黒湖さんにあります。 黒湖さんがどうしてもというのなら、私とラーザ様が二人と変わるという選択肢も……」

 

「ないよ! メメジェットさんいい加減にしてくれないと、ボクもさすがに怒っちゃうんだからね!」

 

 ぷぅっくりと頬を膨らませながらぷんすかしているハートちゃん。 率直に言って可愛らしい。

 

 『怒ってるように見えねえぞ』

 『可愛いしか出てこない』

 『ああいう妹欲しかったな』

 

「激しく同意」

 

「気にするなお前ら、これも多分信者への言葉だ」

 

 すかさずサラーマさんがフォローを入れてくる。 君はいつから俺の通訳になったのだ?

 

 と思いながらも、ハートちゃんが机に広げていた地図に視線を送る。 そこには赤や青、緑などの様々な色の矢印が書かれており、そのすべてがこのアジトから多方向に向かってうねうねと伸びている。

 

 赤と緑は一つしか矢印がないのだが、青の矢印は複数あるため少々複雑に見える。 どうやら赤い矢印はぐるりと円を描くように伸びており、そのやや外側を緑が追っているように見える。

 

 『ナイル氏は地図見てもわからんだろう』

 『それは言わないお約束』

 『分かったふりしてるナイルきゅんもかわええど』

 

「この矢印はあくまで目安なんだ。 赤い矢印は信者集めに向かってもらう少年達のルートなんだけど。 このルート上には農村が多数分布している」

 

「ふむ、なるほどな。 赤は信者集め、青は撹乱、緑は赤を護衛するため一定距離を取っての移動と言ったところか?」

 

「さすがレアメス二世! 鋭いですね」

 

 レアメス二世は満足げにうなずきながら椅子にふんぞり返る。

 

 どうやらこの地図に記されていた矢印の色によって役目が変わるらしい。

 

 赤の矢印は一つ。 俺達三人が信者を集めるために農村を回るルートらしい。

 

 そしてそんな俺達を護衛するために一定間隔を保ちながら移動する緑の矢印。

 

「緑の方にはルゥーファちゃん、ルタカ、ありたむさんの三人が固定で回ってもらうよ」

 

「はいはい、ハートちゃん質問! なんで俺達は農村を回るの?」

 

「それは後から説明するよ」

 

「じゃあ違う質問、緑チームのメンバーが固定なのはなんで?」

 

「うーん少年、ちょっとおちつこうかー?」

 

「なんで青い矢印はいっぱいあるの?」

 

「いい加減黙ろうか少年」

 

 『私、気になります!』

 『ぶちょう! バナナはおやつに入りますか?』

 『悲報、ハートちゃんいつの間にか部長になってしまう』

 

 ハートちゃんの目が怖かったから一瞬黙って様子を見る。 しかしコメント欄から煽られているのでここは退くわけには行かない。

 

「ぶちょーーー!」

 

雷魔法ボルト

 

「あぎゃあぁぁぁぁぁ!」

 

 どうやら俺は、悪ノリが過ぎて虎の尾を踏んでしまったようだ。

 

 ◁

 ハートちゃんの計画をまとめるとこうなる。

 

 まず、俺達が農村を回る理由は、畑を荒らしているであろう魔物や盗賊の討伐。 もしくは食料を独占しようとしている悪徳信者たちの掃討。 または食料を運搬しようとしている市民の護衛など、食料をこの国に行き渡らせるための手助けをすること。

 

 こうすることで俺達はこの国全体に食料を供給することに関与したこととなり、食糧不足で悩む国民達の大半からは少なからず感謝されるであろうからだ。

 

「我々が居ることが国民たちにとっての利益になれば、おのずと慕ってくるものは増えてくる。 つまり人助けというのは巡り巡って自分に幸を運ぶのである」

 

 レアメス二世は得意げな表情で言っていたが、おそらくこの作戦は信者を集めるためにはもっとも効率的な策だろう。

 

「続いて、緑チームのメンバーが固定な理由は単純だよ。 ルゥーファちゃんは機動力、ルタカは護衛かつ【生命の産出者】への補助だ」

 

「あたくしの名前だけ呼ばれなかったんだわさ!」

 

 ルタカは以前、ママのスキルを盗んで大量の魔物を生み出していた。 その力をうまく使えば様々なことに応用できる。

 

「例えば王国軍に襲われた際の足止め。 恐竜種を数体生み出せば遺憾なく達成できるよね? 他にも便利な使い方は山ほどある、セットで動いてもらった方が効率がいい」

 

「ハートたん? あたくしの名前はありたむなんだわさ! さっきの説明だとあたくしの名前は生命の産出者になっちゃうんだわさ! それだとまるで、あたくしの存在意義は固有スキルだけになっちゃうんだわさ!」

 

 涙目で必死に声を上げるママだったが、ハートちゃんはニッコリと微笑みながらママの肩に手をおいた。

 

「ソンナコトナイヨ。 ありたむさんは、そうだねー、うーんと……盛り上げ役じゃないか!」

 

「カタコトだわさ! それにめっちゃ考えた挙句に出てきた回答が(むな)しいんだわさ!」

 

 大泣きしながらハートちゃんの腰にまとわりつくママだったが、ハートちゃんはにこやかに微笑みながら左腕を素早く動かす。

 

「ヘブッ!」

 

「恐ろしく早い手刀、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」

 

「うるさいからって物理的に黙らせたにゃ!」

 

 手際よくママを黙らせたハートちゃんを見て青ざめるサナさんだったが、

 

「そういうわけで残りは青チームとして動いてもらうわけだけど、基本的に二人一組で動いてもらうからね?」

 

「おい暗殺者の娘。 それだとあきらかに我が孤立するのだが?」

 

 おずおずと手を挙げるレアメス二世。 先程まで偉そうな態度だったというのに、自分が孤立すると悟った瞬間借りてきたチワワのような顔をしている。

 

「ああ、レアメス二世には別でお願いしたいことがあるから大丈夫。 ありたむさんが召喚したガングロきんに君達と一緒にここに向かってほしいんだ」

 

 ハートちゃんが指を指した地点を見てなんとなく意図を察する。 この地図には赤い矢印が円を書くように伸びていたのだが、矢印を円と例えたなら指さされていたのはその中心点だったからだ。

 

 『レアメス二世は建築王だからな』

 『面白くなってきたじゃねえか』

 『そうなると青チームは二つしかできないな』

 

 視聴者が危惧するように、撹乱のために俺等とは離れた場所を徘徊するのは二チーム。

 

 メメジェットさんラーザさんのてぇてぇ組

 

 ホープさんとハートちゃんのなんちゃって姉妹組

 

「ふむ、貴様の思惑は理解したが、一つ頼みがある」

 

 レアメス二世が深刻そうな顔でハートちゃんに視線を送ったため、この作戦に何らかの問題があったのではないかと危惧する俺達。

 

「コヤツが召喚する筋肉兵士はむさ苦しいからな、召喚するのは美女にしてはくれんか?」

 

 またしても、俺はこいつのアホな提案を予想することができず、全員から盛大なため息を吐かせてしまったのだった。

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