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㋑いつものカレールーを買うー我が家のカレーレシピ
今は昔、女がいました。
今日の夕飯に悩みながら歩いていた女は、ふと見慣れぬガチャガチャの前で足を止めました。
「すべて手書き 我が家のカレーレシピ」
誰かの家の「秘密」を覗き見るような、いけない好奇心に抗えず、女は百円玉を投入しました。ガチャン、と重いレバーを回すと、古ぼけた白いカプセルが転がり落ちてきます。
中に入っていたのは、掠れた字で書かれた「岩本家のカレーレシピ」でした。
女は期待に胸を膨らませ、丁寧に畳まれた紙を開きました。そこには、ただ一言、力強い筆致でこう記されていました。
「岩本家のカレーレシピ。カレールウの箱の裏を読め」
女は思わず天を仰ぎましたが、その日の晩、結局スーパーで一番馴染みのあるルウを買って帰ることにしたのでした。
となむかたりつたえとや。
ここまでお読みいただきありがとうございました!入りきらなかったお話は、別作品の『(奇想短編箱:へのへのもへじの枠に収まらなかった物語たち』に投稿しています。よろしければお読みください。こちらも300文字〜の短篇です。お時間はとらせません(^_^;)
https://ncode.syosetu.com/n1413mc/




