第三話 不思議な鏡を持つ女
今は昔
あるところに美しい女がいました。
女は不思議な鏡を持っていました。女は鏡に語りかけました。
「鏡よ鏡、世界で一番、美しいのはだあれ」
鏡は女の名をつげました。女は満足して、来る日も来る日も鏡に語りかけました。
ところが、ある日、鏡は女とは違う女の名を告げたのです。
女はその女を鏡に映し出させました。美しい少女が映し出されました。少女はある国のお姫様でした。
女は考えました。この女が自分より美しいのなら、この女をブサイクにしてやればいい。この少女の母は死んでいました。女はその国の国王である少女の父に嫁ぐことにしました。
国王と姫は女を快く迎えてくれました。
女には特技がありました。お菓子作りです。おいしくて、健康に悪くて、美容にも悪いものを姫にたっぷり食べさせました。そのせいか、姫は、みるみる太っていき、醜くなっていきました。ですが、女は傍目にはお菓子を作ってあげる優しい義母にみえました。
そんな、ある日のこと、王様が姫に七人のこびとをお土産に連れて帰ってきました。
小人たちは姫をみるなり、思いました。
「うわっ!無理!」
ですが、姫はやさしい人柄であったので、小人たちとすぐに仲良くなりました。小人たちは姫の健康のために王様に国の一角で畑を作ってもらいました。
畑仕事が性にあっていたのか、姫はだんだん、健康になっていきました。女はあせりました。
姫が畑仕事をしていると聞いた王様は女を連れて、畑にやってきました。
姫は日に焼けて真っ黒になっていました。そして、筋肉もりもりになっていたのです。女は安心しました。
女に畑になっているりんごに目をとめました。
「そうだ。このりんごで・・」
女は悪巧みをするのでした。
それから、しばらくして、姫に婚姻話がもちあがりました。相手は隣の国の王子様です。王様の子供は姫一人なので、婿入してもらうことになりました。
姫を一目、みるなり、王子様は思いました。
「うわっ!無理!」
ですが、そこは王子様、紳士的にお姫様に接しました。
なんやかんやで婿入りした王子様や、姫、国王に女は危険な白い粉をたっぷりつかったアップルパイをふるまいました。そう、姫の畑で作ったりんごをつかったアップルパイです。
運動もしないでおいしいものばかり食べていた王様とと王子様は早死してしまいましたが、畑仕事など適度な運動をしていた姫と小人たちは無事でした。
姫は王様と王子様がなくなったときは、とても悲しみましたが、畑仕事に気を紛らわせているうちにますます、日に焼けて筋肉をつけまくって健康になっていきました。
小人たちはといえば、とても優秀でした。なので、国の政務は小人たちが担っています。
そして、女は、今日も鏡に問いかけるのでした。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのはだあれ」
次回は衝立の中の女です。




