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ほっとレモン  作者: こすもすさんど


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13/99

13話 汚名と勇名、紙一重

 振替休日が終わった、その翌日。


 文化祭も終わった今、今日からはまた通常授業になる。

 全体で見ればその通りなのだが、約数名はそうでもなかったりする。

 その数名の内の一人である俺は、今日からは生徒会の下っ端として、クリパの準備会に参加することになる。


 ……尤も、その前に俺は『暴力沙汰』を起こした問題児として、学園中から白眼視されるんだろうなぁ。

 人の噂も七十五日、一時的なことだとは分かっていても、果たして二ヶ月半もそれに堪えられるだろうか。


 今日という日を鬱に思いながらも、重い足に鞭打って俺はトボトボと通学路の並木道を往く。


 幸いと言うべきなのか、擦れ違う生徒全員が俺を見ては腫物でも見るような態度を取ったり、陰口を叩かれるようなことはなかった。

 俺の見聞きしないところではどうなっているか知らんが。


 ともかく俺が危惧していたような事は杞憂に済んだようで、すんなりと学園に到着し、しれっと玄関ロッカーで上履きに履き替えて、自分のクラスの教室へ。


 ここまではともかく、問題はクラス内だよなぁ。

 だって自分のクラスのクラスメートが暴力沙汰を起こしたなんて知ったら、嫌でも気になるだろう。


 何食わぬ仏頂面を作りつつ、入室。


「あ、おはよう海石くん。待ってたよ」


「お?」


 入って開口一番、目を輝かせて雪乃が待ち構えていた。

 そしてその隣には夕莉も。


「聞いて聞いて海石くん。昨日、夕莉から連絡があって、クリパの準備会を手伝ってくれるんだって!」


「おぉ、別に一般生徒でも参加出来るんだな。良かったな夕莉」


 ふむ、文字通りの有志としての参加は自由なわけか。


「あれ?もう知ってたの?」


「知ってるも何も、昨日に会ってそのことを話してたからな」


 なぁ夕莉、と俺は彼女の方に視線を向ける。


「そうそう。昨日、忘れ物取りに学園に来たトコで、椿見つけてね、そのまま一緒に出かけてたってわけ」


 夕莉が頷くのを見て、雪乃は「そうなんだ?」と小首をかしげる。

 

「だったら、話は早いかな。今日の放課後は、大丈夫?予定とか入ってない?」


「俺は問題ないな」


 と言うか、どうしても外せない用件を除いて、ほぼ必ず空けなければならないんだろうけどな。


「あたしも今日はへーき」


 夕莉も問題なし。


「うんっ。それじゃぁ今日の放課後から、早速クリパの準備を始めようと思うの。海石くん、夕莉、頼りにしてるからね!」


「期待を裏切らない程度には頑張るよ」


「まっかせなさーい!」


 俺は控えめに、夕莉は堂々と頷く。


 雪乃からの今朝の用件は以上のようで、ホームルームが始まる前に自分の席に着く。


 鞄から勉強道具やら何やらを机の中へ放り込んでいると、


「おはよう、椿」


 俺の席から見て右斜め前の席にいるイケメン……というか、一見すると女子と間違えられかねないほどの美形男子が声をかけてきた。


「ん、おはよう昌磨」


 俺も挨拶を返す。

 誠二を含めてつるむことの多い男友達の、『蓮花昌磨れんげしょうま』だ。


「聞いたよ。一昨日、雉隠さんを助けようとして、他校のチンピラを返り討ちにしてやったんだって?」


「あー……、昌磨。間違っては無い、間違っては無いんだが、出来ればその話はしないでくれると助かる」


 昌磨が誰からそれを聞いたのかは知らないが……どうやら俺の暴力沙汰が、英雄譚のようになって広まっているのかもしれないな。


「そうなのか?まぁ、そうしてくれって言うなら……」


 俺の様子から何か察してくれたのか、昌磨はそれ以上は聞いてこなかった。すまんな。


 ホームルーム前の予鈴が鳴り響く。

 さて、今日も一日頑張りますか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 暴力沙汰ではあるけど、弱きを助けというか、結構目立ってそうな夕莉を助ける為に止むを得ない正当防衛と皆に思われているのかもしれませんね。 よくやった!とは言われないかもしれないけど、温かい目…
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