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ほっとレモン  作者: こすもすさんど


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12話 卵をシェアしよう

 食品売場にて、カートに買い物カゴを乗せていく俺、その隣に夕莉。


「今日はこれから何作るの?」


 早速夕莉が、昼食は何を作るのかと訊ねてくる。

 とは言え俺も「今日はこれの気分だからこれを作ろう」と目的買いをしに来たのではない。


「んー、今日のお買い得とか値引き商品見て決める」


「うわー、主夫感丸出し」


「主夫感があって何が悪い。こういう節約の積み重ねが、後々になって活きるんだよ」


「そう言う発言がますます主夫感出てるんだけど……」


 夕莉は何故かちょっと引くように苦笑する。なんでや。


「うるさい。何にせよまずは卵だ卵。卵が無ければ始まらん」


 まずは真っ先に卵のコーナーへ向かう。

 さていつものように六個入りのものを買おうとするが、


「……六個入り、無いね」


 夕莉が横から代弁してくれた。

 いつもは並んでいるはずの六個入り卵が、今日はがらんどうである。

 それもそのはずだ、卵のコーナーには特売のタイムセールのポップがでかでかと主張している。

 きっと開店前から狙っていた奥様方が多数いたのだろう。


「残ってるセール品は、十個のやつだけか……」


 その十個入りの卵も残りわずかだ。

 けれど、一人暮らしで十個は多いんだよなぁ。意識して減らしていかないと、気がついたら賞味期限が切れてるとかあるし。

 賞味期限は切れても問題は無いんだが、何だか負けた気分になるのは気のせいではないはずだ。

 だからといって、セール対象外の四個入りを買うのもなぁ。一個あたりの価格を考えれば、ここで四個入りを買うのは愚策。

 うーむ、困った。


「……はいっ、あたしから提案があります」


 不意に、夕莉が挙手してきた。


「なんだ?」


「今ここで十個入りを買います。その後で、あたしが四個分の代金を払って、帰りに卵四つをいただきます」


「あぁ、なるほど。それはナイスアイデア」


 とりあえず今ここで十個入りを買って、四個を夕莉が買い取り、その後で夕莉の自宅前で卵四つを渡せばいいわけだ。


「でしょー?」


 そう言って、夕莉は十個入りの卵をカートに入れた。


「せっかく卵がたくさんあるし、親子丼でも作るか」


「あーいいな、親子丼っ。あたし最近食べてないかも」


 今日の昼食の献立を決めて、必要なものをカートに入れ込んでいく。




 セルフレジにて会計を終えると、スマートフォンの電卓機能で卵一個あたりの価格の計算をしていた夕莉が、財布から小銭を渡してくれる。


「はい、卵四個分の代金。先払いね」


「毎度ありー」


 夕莉から小銭を受け取り、財布の小銭入れにジャラジャラと流し込む。

 折りたたんで鞄の片隅に押し込まれたエコバッグに食品を詰め込む。

 さて、帰りますか。




 雉隠家の前まで帰ってきたら、夕莉は一度家に戻って、卵のケースを手に戻ってくる。

 十個入りのケースを開けて、その内四個だけを夕莉の持つケースに移す。


「はいよ、四個渡したな」


「ごくろーさまでーす」


「それじゃ、また明日な」


「うん、今日は付き合ってくれてありがと。またねー」


 軽く手を振り合って、夕莉がドアに入るのを見送ってから、俺も自宅への帰路を辿る。


 明日か。

 正直、不安しかないんだが……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当、椿と夕莉の関係が熟年夫婦のような付かず離れずな関係で尊いです。 これは恋愛感情に結び付かないのも分かるくらいにいつも、いるのが当たり前みたいな気安さからくるんでしょうね。 高校生でも…
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