表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

2話

5年前、私は本当に突然タイムトラベルした。




普通の街中を歩いていたハズなのに、瞬きしたら、そこは緑の濃い木々が生い茂った森の中だったのだ。


「え・・・?」


キョロキョロと辺りを見回して、此処はどこなのか調べようと足を一歩踏み出せば、ビタンッッと、顔から転けた。


「え?え?え?」


下を見下ろせば、だぼだぼの恐らく服。

手を見れば、記憶にあるよりムチムチとして小さな手。


「ち、ちぢんでる??」


夢、夢だきっと!白昼夢を見ているんだ、絶対!


じゃないと、こんなこと、有り得ないし!


自分に言い聞かせて、でも、髪を撫でる風とか、土の匂いとか、転けた時に多分擦りむいた、ヒリヒリするおでことか。


全部、現実なんだと言っているようで、小さくなると涙腺も緩くなるのか視界はあっという間にボヤけた。


《何を泣いている》


「ぅえ?」


《・・・・・・顔から出るもの全部出しているな》


「(かめん・・・・・・?)」


《どうした。


何故ここにいる?此処はお前が一人で来れるような場所じゃない。


早く里なり都に帰れ》


ぶっきらぼうにそう言った仮面の男は、口調とは裏腹に慎重に私の顔を拭いた。


というか、町ならともかく、里や都ってナニソレ。


「おにいさ、ここ、どこ?」


《・・・・・・此処は鞍馬山だ》


「くらま・・・・・・?」


《そうだ。京の北にある山だ。


お前は何処から来た?誰と、来た?》


「きょ、きょうと?

わたし、なんできょうとに?きづいたら、ここにいたの」


《私が知るわけがない。


それに、キョウトではない。京のみやこだ。平安京と呼ばれているではないか》


平安京・・・・・・それって、鳴くよ鶯のやつ?千年前の?


タイムトラベル?なんで私が?

身体が小さくなっているのもそのせい?

どうして?


ワケが分からなくて、またぶわりと涙が溢れた。


《んな!?何故泣くのだ!》


ワタワタする仮面のお兄さんに、ちょっとだけ申し訳なく思いながら、でも理解できない状況に涙は溢れ、流れ続けた・・・・・・多分鼻水も。ごめんね汚くて。






泣き続ける私を、お兄さんは散々悩んで抱き上げたら、そのまま飛んだ。・・・・・・飛んだ?!


背中から真っ黒の翼を出して、あっという間に大きな杉木の天辺に到着すると、そこからの景色を私に見せた。


・・・・・・うん、平安京だ。

コンクリートも、線路もない。

碁盤の目のように広がる、教科書そのままの都。


気が遠くなりそうになっていれば、空気が震えた気がした。


《なに・・・・・・?》


「でかー」


真上に亀、正面に赤い鳥、左に多分龍、右に白い虎。


それぞれが、ジーーっとこちらを見ていた。亀は見下ろしている。


「なんでこんなにみられてるの」


《(四方の守りが顕現するなど、都が移され200年、初めての事ではないか。


・・・・・・この娘を見ているのか) 》


しまいには、仮面のお兄さんにまで見下ろされ、どうしたら良いの私。


イロイロ驚きで出てたモノも引っ込んだよ。


結局、亀たちは段々薄れていき、最後は見えなくなった。うーん、謎だわ。


「(で、私は何時まで抱っこされてたら良いのかなー?


というかこの仮面のお兄さんはマジ何者よ。なんで羽生やしてんの?これは突っ込むべきよね?突っ込まないとダメよね?)」


《(泣き止んだかと思えば何故唸っておるのだ人の子は謎過ぎる)》


お互いにジィッと見つめあい、何故か仮面のお兄さんはバサッと羽を大きく広げた。


「え゛」


《・・・・・・お前を我が里に連れ帰る。放置したら面倒な事になりそうだしな》


「ゆうかい?」


《人聞きが悪いな。


少なくとも、この場より雨風防げるだろう。


人の子は、酷く脆弱だからな》


そう言うと、杉木を蹴り、翼を羽ばたかせた仮面のお兄さんは複雑なルートを凄まじい速さで飛んだ・・・・・・正直吐きそうです。




この時の私は、余りのスピードにグロッキーになり、仮面のお兄さんが何者かわからない状況でお兄さんの里である烏天狗の里に連れてこられ、目を回している間に私の仲間入りが決まっていた。


私が正気を取り戻して目覚めたのは、仮面のお兄さんに誘拐され、半日が過ぎた後。


《私は烏天狗。そして、此処は烏天狗の里だ》


「へ・・・・・・?」


《これから、行く場所が無いのだろう?


ならば、この里の仲間として、この里で暮らせば良い》


「はい?!」








「・・・・・・という経緯で私はこの里に来たのよねー」


昔話をすれば、道隆さんは爆笑し、夕霧は居心地が悪いのかムスッとしている。


《結果馴染んだのだから良いではないか。


小野はいい加減笑うのをやめろ》


〈ゲホッ・・・・・・っ腹が捩れるかと思ったわ。


しかし、千年も先からやって来たとは納得した。旭は随分他の者とは気配が違うからなあ〉


「?そうなの?初耳」


《違うな。ナニが違うとは上手く言えないが、そこらの人間とは違う 》


「未来人だからかなあ」


〈さて、なあ?


(僕としては四神の顕現がかなり気になるけど・・・・・・今はいっか!)〉


道隆は結構雑だった・・・・・・








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ