3話
ちなみに台詞は
人「」
妖《》
幽霊〈〉
妖化中〈》で区別してまする
明後日には陰陽寮の入寮試験があるという事で、今更、超憂鬱だったりする。
引きこもりは楽だったからなあ・・・今更社会に出ろなんて、酷な事言ってくれるよ。
《旭、また府抜けた事考えただろう》
「オカアサンはエスパーですか!」
《えすぱー・・・は分からないが、嫌そうな顔して溜め息吐いていたらイヤでも気づく。
それから、いい加減母と呼ぶのをヤメロ》
ぎりぎりとアイアンクローしてくる夕霧にギブギブと手を叩けばニヤリと笑った。
超ドSな顔!!
《ギブが何かわからぬな》
「いただだだ!!?
っごめんって!夕霧!」
ますます強い力で握られて視界がボヤけながら謝れば、夕霧は鼻を鳴らして手を離した。
「うー、痛いージンジンするー」
《何度も同じ注意をさせるでない。
旭、僧正坊様が呼んでおる》
「じーさまが?了解〜」
僧正坊は、烏天狗のボスだ。
非常に強い神通力をもっていて、体はビル2階位の大きさ。
THE 天狗!って感じで、真っ赤な肌、長い鼻、高い下駄をはいている。
ちょっと豪快で(という名の大雑把)
ちょっと涙脆い(泣き虫)
そんなじーさまは、夕霧が連れ帰った私を一番可愛がってくれている(まさに孫を可愛がるじーさま)
里の奥にある大きな一本杉の根元に、じーさまがどっしりと座っていた。
「じーさま、呼んだ?」
《おお、旭。
・・・いよいよ明後日じゃのう。じーさま寂しい》
「私も寂しいよじーさま。
出ていくの止めにしない?」
《止めにするか!》
「そうしよ!」
《駄目だ。僧正坊様も何を仰有っておいでか》
《駄目?》
《駄目です》
じーさまとのやり取りを呆れた眼差しで見ていた夕霧は、パシーンと音を響かせ私の頭を叩き、キッパリ言い切った。
そんなスッパリ言わなくても・・・。
「そういえば、じーさまの用事ってソレ?」
《おぉ!忘れておった!
小野道隆は何処におる?》
「おじさん?
あれ?何処に行ったかなあ」
〈ここにいますよ》
取り憑かれたが、鞍馬の山に入ってからは身体のダルさが嘘のように消えていたから、隠れていると分からなくなる。
私の影からぬうっと姿を現した道隆さんにそんな事を考えていると、ふと、のほほんと微笑んでいる道隆さんの額を見て思わず瞬き。
「ん?道隆さん、角生えてない?」
〈生えてきましたねぇ。どうやら、妖化しているみたいだなぁ》
のほほんとした雰囲気の道隆さんに、え、ソレ大丈夫なの?と首を傾げれば、じーさまと夕霧は難しい顔をしている。
《鞍馬の山から神気を吸収したのか。弾かれ消える者も少なくないというのに・・・旭に憑いたせいじゃな》
《鬼神化しているな・・・
腐っても元、陰陽頭だな》
「鬼神?」
《力の強い鬼じゃよ。
赤鬼青鬼は鬼の代表格みたいなもんじゃが、鬼神は力の質が全く違う。ただの鬼は妖力の塊じゃが、鬼神は神通力を有する》
《敵対されると面倒だな・・・まだ鬼神になりきれていない今、消すか》
ぐっと錫杖を握る夕霧に、えぇ?!と声を上げて思わず道隆を庇う。
〈・・・旭、君はイイコだねぇ。
僕が鬼神化したなら、話は早い。契約を交わしましょう?》
《《なにっ》》
のほほんと笑う道隆さんとは対称的に僧正坊と夕霧は声を上げて驚きを露にした。
「契約?」
〈妖と陰陽師が主従の契約を交わすことだね。
お互いの真名を教え合い、陰陽師は妖の人には無い大きな力を借り、妖は陰陽師の霊力を喰らう、という互いに利点がある。
ちなみに、一方的に妖の名前を奪い服従させる悪どい陰陽師も世の中にはいる》
「うわー奴隷みたいに妖を利用するの?サイッテー」
〈お恥ずかしい限りだねぇ。
まあ、そういうわけだから、僕としては、イイコな旭と契約を交わしておきたい。
はぐれの鬼神は格好の的だからね》
肩を竦める道隆さんに、へー!と声を上げた。
「いいよ!私に霊力?があるなら」
《旭!軽々しく頷くな!》
《そうじゃそうじゃ!まずは儂とじゃろ?!旭!》
《僧正坊様は何を仰有っているんですっ!
貴方は駄目ですよ!この里の長でしょう!!
第一!旭と契約するなら、俺でしょう!!》
ワーワーと言い合うじーさまと夕霧をポカーンと見ていれば、スススと寄ってきた道隆さんが、にこりと笑う。
〈今の間にしましょう?》
《《そこ!抜け駆けすなっー!!》》
間髪入れず入った突っ込みに、この人ら漫才トリオなれるわ、とプスリと笑ってしまった。
話の展開早いか遅いか・・・やっぱり早いよねー、日常ないしねー!でも、入寮したら遅くなるはず
*平成26年4月6日(日)→姿を表すから姿を現すに変更。




