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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十五章 海の国ザナドゥ~二度目のバカンス~
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二度目のザナドゥ

 四日後……連結馬車はザナドゥに到着した。

 以前来た時よりも道幅が広くなり、さらに整地されているおかげか揺れもない。

 道の両サイドにはヤシの木みたいなのが植えられ、正門にはアーチみたいなのが掛けられ、しかもガラストンネルみたいになっているのか水が循環していた。


「にゃああ……すごい。まえはこんなのなかったよね」

「わふ……きれい」

「がうう……」

「きゅううん……すごい」


 一号車の展望台で、子供たちが並んで景色を見て感動していた。

 正門でのチェックを終え、まずは不動産ギルドに向かってもらう。行く理由は、俺の別荘の鍵を取りに行くのだ。

 

「ほー、すげえな……これがザナドゥか」


 サスケが展望台から街並みを見て感動していた。

 ロッソたちはもう何度も来ているのか特に感動はないが、バレンやリーンドゥは意外にも初めてなのか景色を眺めている。ウングは静かだが、リーンドゥは興奮していた。


「すっごー!! くんくん……なんかいい匂いしない? おっちゃん、ここすごいね!!」

「リゾート地だからな。ちなみに、砂漠の国もこんな風にリゾートを目指してるぞ」


 ザナドゥの街並みは、前と同じく賑わっている。

 水着の人たちが歩き、キラキラした街並みはまさにリゾート観光地……軍とか兵士とか騎士もいる王国だけど、国王の方針でリゾート開発に力を入れてるから、王国っぽくない。

 サンドローネ曰く国王も遊び人らしいけどな……どんな人なのかね。

 そして、馬車は不動産ギルドへ到着。俺が降りると、ティガーさん、ドギーさんも降りて来た。


「ゲントクさん。私たちもご一緒してよろしいでしょうか……その、別荘の候補地を探してもらうので、ご挨拶はしておいた方がいいと思いまして」


 ティガーさんの言う通りだ。

 さっそく三人で不動産ギルドに入り、受付に向かう。すると、以前不動産を世話してくれたクリスティナさんが出て来てくれた。


「これはゲントク様。お久しぶりでございます」

「どうも。今年も別荘を使うんで、鍵を取りに来ました」

「はい。清掃はすでに済んでいますので、今日からご使用できますよ。と……そちらは?」


 ティガーさん、ドギーさんが一礼。


「初めまして。私は、アメジスト獣人商会から来たティガーと申します」

「私は提携商会の『ドッグ香辛料商会』を経営しています、ドギーと申します」


 お互いに一礼……そういやこの世界、名刺とかの文化はないんだよなあ。

 名刺か……今の挨拶見て、名刺交換を思いだしてしまった。サンドローネに提案してみるかな。


「実は、保養地の視察に参りまして、ザナドゥに別荘を購入したいと考えております……商会の保養所として使う予定でして、規模の大きい別荘地を探しています」

「なるほど……でしたら、不動産ギルドにお任せください」

「ありがとうございます。本日はご挨拶ということで、後日また来ますので、ぜひともよろしくお願いいたします」


 ティガーさん、ドギーさんはぺこりと頭を下げる。

 屈強すぎる獣人戦士が、別荘地を買うために商業ギルドへ……異世界じゃないとこんな光景見れないな。

 ちなみに、ドギーさんたち『ドッグ香辛料商会』も、アメジスト獣人商会の一部として、保養所の購入に関わるらしい。

 クリスティナさんは、ティガーさんから最低条件を聞いてメモをする。


「わかりました。三十名ほどが宿泊可能な保養所ですね……資料を準備しておきますので、ご都合のいい日にお越しください」

「「ありがとうございます」」


 ビジネスって感じ……俺、いない方がいいかな。

 するとティガーさんが言う。


「ではゲントクさん。参りましょうか」

「あ、はい。じゃあクリスティナさん、今年もよろしくお願いします」

「はい。と、そうだ……ゲントクさん。今年から始まる『ザナドゥ・マリンスポーツ大会』のことはご存じですか?」

「まあ、当事者とは言わんですけど、いろいろ関わった案件ではありますし……ははは、楽しませてもらいますよ」

「そうですか。ゲントクさん、あなたの魔道具のおかげで、ザナドゥは観光地として更なる発展を遂げました。いち国民として感謝しています」


 クリスティナさんは頭を下げた……いやもう、恥ずかしいんで勘弁してくれ!!


 ◇◇◇◇◇◇


 さて、再び連結馬車に乗り、近くの宿にティガーさん、ドギーさん一家を降ろした。

 サンドローネの名前で予約を取り、しばらくは別行動。

 すると、サンドローネが。


「シアちゃん、いいかしら」

「わう?」


 サンドローネは、エディーをシアちゃんの元へ。


「お姉さん、これからお仕事で忙しくて、エディーと遊ぶ時間があまりないの。シアちゃん、私の代わりに、エディーと遊んでくれるかしら」

「わふ!! いいの?」

「ええ。エディー、構ってあげられなくてごめんなさい。シアちゃんと仲良くしてね」

『オフゥ』


 サンドローネはエディーを優しくなで、シアちゃんにお願いした。

 そっか……サンドローネはこれから忙しいんだな。エディーも、シアちゃんに任せれば遊びまくれるだろう。

 そして、馬車は俺の別荘へ到着した。

 ここで、ボートを切り離し、プライベートビーチの浜辺まで移動させるんだが……想定外。


「……どうやって運べばいいんだ」


 久しぶりの別荘……でも、プライベートビーチは別荘を突っ切る形なので、ボートのようなデカいものは運べない。以前運んだボートは小さかったので、横から行ける脇道を通って行けたけど。

 すると、ロッソたちが降りて来た。


「おっさん、どうしたの?」

「いや……ボートをビーチまで運びたいんだが、どうしようか迷ってるんだ」


 脇道の隣には岩場があり、とてもじゃないが運べない。

 すると、リーンドゥが来た。


「なになに、これ運べばいいの? よっ……と」

「え」


 なんと、リーンドゥがボートを持ち上げた。

 すげえ……改造したボート、鉄とかで補強してるからかなりの重量があるし、小舟じゃないから持ち上げるなんてできると思わなかったんだが。

 リーンドゥは、岩場まで普通にボートを担いで移動し、岩場をぴょんぴょん跳ねてプライベートビーチへ。そして、ボートを普通に浜辺に置いた。


「おっちゃーん、終わったよー!!」

「お、おお!! ありがとうな!!」

「気にしないでいいよ。ね、ね、ここおっちゃんの別荘だよね!! ねーねー、ウチら別荘買うまでここに泊まっていい?」


 すると、ロッソとアオとブランシュがピクリと反応した。


「……おっさん、泊めるの?」

「……おじさん」

「……おじさま?」

「あ、ああ。まあ……泊めてもいいけど。お前らも泊まったし、いいよな?」

「ほら三人とも。ヤキモチ焼いてるのか知らないけど、ここじゃ喧嘩しないって決めたでしょ? ゲントク、私たちはロッソの別荘に行くから、今夜あたりご飯でもどう?」

「あ、ああ。そうするか」

「むー、まあいいや。じゃあおっさん、またね」

「……荷物置いたら来るから」

「おじさま。リーンドゥにいろいろ壊されないように。それと、わたくしたちの水中スクーター、使わせてもいいですわよ」

「私の水中スクーター、テストしに来るからね!!」


 ロッソたちは連結馬車に乗って行ってしまった。

 残されたのは、俺とサスケ、バレンとリーンドゥとウングだ。


「さて、お前たち。俺の別荘へようこそ!! 部屋は二階にあるから、一番大きな部屋以外は好きに使っていいぞ!!」

「ありがとうございます。ゲントクさん、お世話になります」

「やったー!! おっちゃん、ありがとね!!」

「ありがとよ。それと、日陰あるか? ヤタロウの寝床にしたい」

「へへ、にぎやかでいいな」


 バレンたちは二階へ。

 俺は一階のリビングに入り確認する。


「ん~、もう一年前かあ。すごい時間経過した気がするなあ……」


 リビングは、一年前と同じだ。定期的に掃除をしているようなので汚れはゼロ。

 テラスに出ると、ビーチパラソルがあったので開き、椅子に座って煙草に火を着ける。

 ヤシの木っぽい木の下で、ヤタロウが寝そべっていた。


「ヤタロウ、お疲れ様さん。ゆっくり休んでくれ」

『オゥゥ……クァァ』


 大きな欠伸をすると、そのまま寝てしまった。

 俺は、ビーチにあるボートを眺める。

 パラセーリングボート……いよいよ、パラセイルをやる時が来た。


「おっちゃん!! 見てみて、どうどう?」


 と、ドタドタと階段を降りてリーンドゥが来た……水着で。

 黄色い、しかもけっこう際どいビキニだ。ブランシュに負けず劣らずの巨乳で、しかもうっすらと腹筋が割れているのがまたいい。


「おお、水着か」

「うん!! ねえねえ、ロッソが『水中スクーター』とか言ってたけど、面白いんだよね!! 遊びたい!!」

「き、来て早々遊ぶのか……元気いっぱいだな」

「ねーねー遊ばせてよ。いいでしょ?」

「わかったわかった。確か、倉庫に入れてあるはずだ。置きっぱなしだし、軽く点検してからな」

「うん。おっちゃんも早く水着に着替えてよ!!」

「え、俺も?」


 すると、バレンとサスケ、ウングが水着に着替えて二階から来た。

 バレンはオレンジのハーフパンツに浮き輪、サスケは濃い緑のハーフパンツに麦わら帽子、ウングは紫のトランクスに、口元を隠すマフラーを巻いている。


「お前らもやる気満々だな……」

「へへ、若いからな。な、バレン」

「うん。その~……ボクも、水中スクーターに少し興味があって」

「……オレは別に」

「やれやれ。よーし、ちゃっちゃとメンテするから待ってろよ!!」


 俺は海パンに着替え、若者たちに付き合うべく動き出すのだった。

 二度目のバカンス。今年も楽しく遊びまくるぞ!!

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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~(1)
レーベル:マンガボックス
著者:比内ハツ
原著:さとう
発売日:2025年 6月 30日
定価 726円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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