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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十五章 海の国ザナドゥ~二度目のバカンス~
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準備完了!

「リヒター、ハンドルを右に」

「はい」

「よーし、アクセル踏んでくれ」

「わかりました」


 ハンドルを切ると舵が動き、アクセルを踏むとスクリューが回転。

 ブレーキを踏むと前部のスクリューが回転し、『第二アクセル』を踏むと後部中央に設置したスクリューが高速回転した。

 現在、俺とリヒターは、パラセーリングボートの最終チェックをしていた。


「よーし、これで完了だ。ありがとな、リヒター」

「はい。ふう……完成ですね」


 リヒターがボートから降りてくる。

 まだ水辺で試走していないが、パラセーリングボートは完成した。

 パラシュートも予備を含めて完成したし、強風を当ててのテストも終わった。

 さらに、スキューバダイビングを楽しむための魔道具も完成したし、旅に必要な道具などの準備も終わった……つまり、いつでも海に行ける。

 すると、会社の前に連結馬車がやってきた。


「おーいゲントク。持って来たよー」

「おーう、ありがとなイェラン」


 イェランが、連結馬車を運んで来た。

 公園の中に停車……ちょっと邪魔で申し訳ないが、勘弁してほしい。

 イェランは、連結馬車を引いてきた馬を馬具から外し、一緒に来た御者に任せて俺たちの方へ。


「ゲントク、注文通りに作った新車両もくっつけてきたよ。ちょっと重量も増えたけど……」

「今回は、ヒコロクだけじゃなくヤタロウもいるから問題ない。どれ、見せてくれ」


 連結馬車の新車両を見る。

 最後部に、これまでより少し横幅の広い車両が連結されていた。

 さっそく中に入る。


「おお、いいねいいね!!」

「ほお……これはこれは」

「ふふん、どうよ」


 新車両……その名も、『大浴場車両』である。

 その名の通り、大浴場だ。シャワー車両を外し、新たに作った。

 男女別。定員は四名ずつだ。広さは六畳間くらいで、浴槽が一つに洗い場が三つずつだ。


「時間の関係で『サウナ車両』は間に合わなかったけど、連結馬車の新しい車両として売りに出せるね。今回も、アタシらでテストしてからの実装になるね」

「連結馬車、売れてんのか?」

「当然。アレキサンドライト商会も馬車組合に加盟してね、新型の馬車として、いろんな馬車商会で活躍してるよ」


 馬車組合とは。

 エーデルシュタイン王国で走る馬車の組合だ。まあ、バス業者みたいなもんだ。

 エーデルシュタイン王国、敷地全体は恐らく北海道レベルの広さだ。しかもそれ全体が一つの大国で、相当数の種族が生活してる。

 北海道レベルの敷地の国……何百万人いるんだろうな。俺には理解できん。

 なので、敷地内の移動手段である馬車の商会だけでも、百以上はあるのだ。


「そういや、連結馬車……連結数は少ないけど、町中で走ってるの何度か見たことあるな」

「けっこう導入してる商会も増えてきたからね。ちなみに、ザナドゥではすでに走ってるよ」

「へぇ~」


 と、連結馬車について喋っていると、子供たちがやってきた。


「「「「おじちゃーん!!」」」」

「ん? おお、ちびっこたち」

「にゃああ。おじちゃーん」

「がうう」

「きゅうん」

「わうー」

「おお、なんだなんだ」


 子供たちが飛びついてきた。

 そして、ユキちゃんが言う。


「おじちゃん。おじちゃんのおかげで、みんなとりょこうにいけるー」

「ははは、そりゃよかった」

「わうう、これにのるの?」

「がうう、でかい」

「きゅん、たのしみー」


 子供たちは連結馬車を見て喜んでいた。

 そして、子供たちは俺から降り、何やらゴソゴソやり始めた。

 

「にゃあ。おじちゃん、ありがとー」

「がうー、これ、かんしゃのしるし」

「ありがとー」

「わうう」


 クロハちゃんが、一枚の紙を俺に渡してきた。

 受け取ると……そこには、俺らしき似顔絵が書いてあった。

 四人で書いたのか、『おじちゃん、ありがとう』と書かれてる。


「……おお」

「にゃあ。おじちゃん、いつもありがとー」

「がうー」

「きゅうん、ありがと」

「わうう、かんしゃ」

「あはは。ゲントク……ゲントク?」

「……ううう」


 やべえ、目頭が……俺、こういうの弱いんだよ。

 俺は似顔絵を受け取り、リヒターに言う。


「リヒター、いくらでも出す……エーデルシュタインで最高級の額縁、仕入れてくれ」

「は、はい」

「みんな、ありがとうな。ううう……俺、この世界に来て一番嬉しい」


 俺は、この世界で最高のプレゼントを手に入れた。ううう、嬉しい!!


 ◇◇◇◇◇◇


 さて、場所を居酒屋に変え、俺とリヒターとイェランは飲んでいた。


「いや~、超嬉しい。子供たちのプレゼントなんて初めてだぜ~」


 額縁が手に入るまで、絵は会社の金庫に入れて厳重にしまっている。

 俺は焼き魚を食べながら言う。


「とりあえず。海に行く準備は完了だ。あとは行って遊びまくるだけ」

「ゲントクさん。私は一応、お嬢と仕事もあるので……」

「あ、アタシは最初はヒマだし付き合うよ」

「よし。じゃあイェラン、俺の別荘に泊まれよ。飲み屋街も近いし、観光もできるぞ」

「いいね。って……アンタねえ。前も言ったけど、独身の女を家に誘うなっつーの!!」

「俺は気にしないけど」

「アタシがするの!! ったく……宿に泊まるからいい」


 イェランはエールをぐびぐび飲む……俺は気にしないんだけどなあ。

 

「じゃあ、最初はスキューバダイビングからはじめて、リヒターが動けるようになったらパラセイルやるか。くくく、楽しみだぜ」

「ザナドゥかぁ。アタシ、初めてなんだよねえ」

「今年は、視察がメインですので、そこまで忙しいことはないかと……ゲントクさん、一応、ラスラヌフ様がいることも忘れないでくださいね」

「あ、そういやそうだった」

 

 『水瓶座の魔女』ラスラヌフ。そういや、ザナドゥにいるんだっけ。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 数日後……会社の前には大勢が揃っていた。


「にゃああ!」

「ユキ、こっちにおいで」

「おっさーん!! 荷物おっけーだよー」

「……ヤタロウも繋いだぞ」


 ロッソたち『鮮血の赤椿スカーレット・カメリア』が四名、バレンたち『殲滅の薔薇(アナイアレーション)』が三名。

 ユキちゃんにスノウさん、シュバンにマイルズざんと四名。

 ティガーさん親子が五名。ドギーさん親子が三名。

 そして、サンドローネにリヒター、イェランと三名……そして。


「いやー、すげえ数だな、おっさん」

「ああ。でも、多い方が楽しいだろ」

「だな。でも……オレも参加してよかったのか? 別に案内とかできねえけど」

「いいんだよ。一緒に遊ぼうぜ!!」


 そして、サスケ。

 前にリヒターたちと飲んでいた時、たまたま会ったので誘ったのだ。

 仕事も忙しくないので、一か月の休暇を取ることにして一緒に行くことになった。

 合計二十三名。連結馬車も数を増やしたので、みんな乗ることができる。

 俺はヒコロクとヤタロウに近づいて撫でる。


「お前たち、連結馬車が増えて重量あるけど、頼むな」

『わうう』『おふう』


 任せなベイビー……と、言っている気がした。

 全ての準備が完了したので、俺が代表でみんなに言う。


「えー、これから海の国ザナドゥに行きます。ヒコロク、ヤタロウの速度から計算して、四日ほど車内で過ごしてもらいます。腹が減ったら食堂車へ、バーカウンターもあるので酒も飲めます。あと間食は売店で……大浴場もあるので、自由に使ってください。というわけで……皆さん、海の国ザナドゥに行くぞ!!」

「「「「「おおー!!」」」」」


 さあて、二度目のザナドゥ、準備万端で行くぜ!!

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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~(1)
レーベル:マンガボックス
著者:比内ハツ
原著:さとう
発売日:2025年 6月 30日
定価 726円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
586s2p3l4ab73qyuj2dvfjdibos4_645_11i_1hc_1rgkw.png

お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
おじちゃん、ありがとう
魔術文字で「亜空間」って書いたらアイテムボックス的なものが作れそうですねw
「ハンドルを右に」のセリフが有名な誤植「インド人を右に」を思い出して開幕でフフッとなってしまった…クソゥ。 前回のザナドゥより人数が多いのでどんなワチャワチャがあるのか楽しみです!
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