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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十五章 海の国ザナドゥ~二度目のバカンス~
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二度目のザナドゥへ向けて

 さて、もう六月……月日が経つのは早いぜ。

 濃密な毎日のおかげで、忙しくもあり充実している。

 四大……いや、もう五大商会か。五大商会となったアレキサンドライト商会だが、俺に何か影響あるかといえば特にない。

 忙しいのか、サンドローネやリヒターが顔を覗かせることが少なくなったくらいだ。

 今日も、俺は欠伸をしながら出社……事務所に入り、窓を開ける。


『ほるるる』

「おー、ありがとよ」


 二階の窓から、伝書オウルのバニラが新聞を渡してくれる。

 新聞の契約形態を変え、早朝にバニラが新聞社まで新聞を取りに行くようになった。ついでに、足りない物とかの買い物も任せられる。

 二階の窓辺を少し改造し、止まり木っぽい棒を取り付け、餌用の皿も置いた……鳥のくせに、餌皿から器用にエサを食うんだよなあ。

 室内用の止まり木もあるし、普段は外の止まり木で休み、俺が買い物を頼んだり、早朝には新聞を届けてくれる。

 押し付けられた感じで飼うことになった伝書オウルだが、意外にもかなり役立っている。

 俺は餌皿に、伝書オウル用の練り団子を入れ、水皿にたっぷり水を入れると、犬猫みたいに口を寄せて器用に食べ始めた。

 俺はコーヒーを淹れ、椅子に座って新聞を読む。


「お、夏の新製品か……へえ、冷風機。エアコンとは違うやつか。アレキサンドライト商会じゃないところから出るのか……」


 ちなみに、エアコンは去年発売したアレキサンドライト商会の主力の一つだ。

 今年も夏前の今、注文が殺到しているとか……涼しさが違うもんなあ。


「……ふむ」


 夏か。

 今年もあと一か月で夏になる。もちろん、一か月ほどバカンスでザナドゥに行く予定だ。

 やりたいことのリストに、『パラセイル』や『スキューバダイビング』がある。他にもマリンスポーツは豊富にあるし、ザナドゥではモーターボートエンジンを使った大会が開かれるとか。

 去年は飲み屋とプライベートビーチくらいしか行かなかったし、ザナドゥの観光とかもしたいな。


「よし。ゴーカート作ろうと思ったけど、海用のアクティビティ魔道具作るか」


 ◇◇◇◇◇◇


「おっさん、いるー?」

「おじさま、こんにちは」

「……おじさん、遊びにきた」

「やっほー、いるかしら?」


 一階で作業をしていると、ロッソたち四人が遊びに来た。

 俺は開発していた魔道具をテーブルに置き、汗をぬぐう。


「おう。いやー、暑くなってきた。夏も近いな」

「それそれ。おっさん、果実水飲ませて~」


 ロッソが二階へ。

 するとアオ、俺が作っていた魔道具を見て言う。


「……おじさん。何か作ってたの?」

「ああ。今年の夏もザナドゥに行くからな、今のうちに、使えそうな魔道具を作ってるんだ」

「まあ。ふふ、ザナドゥに行くということは、わたくしたちも一緒ですわね」

「そうだな。その件もあとで話そうと思ってたんだ」

「ね、ね、ゲントク。これはなに?」


 ヴェルデが興味津々なのか聞いてくる。

 

「こいつは『ダイビングボンベ』だ。このボンベの中に『空気』が入っててな、このチューブを通って、レギュレーターを咥えて吸う」


 ファーストステージとかセカンドステージとかあるけど、細かい仕組みは割愛。

 親父と爺ちゃんと旅した時に、沖縄でダイビングやった経験が生きたぜ。

 酸素ボンベ……中には酸素じゃなく、圧縮した空気でもなく、『空気』と彫った魔道具が設置してある。十ツ星の魔石なので、恐らく年単位で空気を放出するだろう。

 

「そして、このジャケットには小型化した水中スクーターが設置してある。着ればジャケットのスクリューが回転して、泳ぎを補佐してくれる。これは普通のフィン……足に着けるヒレみたいなヤツだな。一応、ラバーコブラの皮を使ったスーツも作ってみた。これらひとまとめにして、『ダイビングセット』っていう魔道具だ」

「「「おおおー」」」


 酸素ボンベ、レギュレーター、フィン、スーツに、水中スクーター内蔵のジャケット……これがあれば、スキューバダイビングを楽しめるだろう。

 ちなみに……最初間違えて酸素ボンベの魔石を『酸素』にして、吸った瞬間死にかけたのは内緒だ。試しに『空気』にしたら普通に吸えたのでよかったぜ。

 

「……おじさん。ダイビングってなに?」

「海に長時間潜って、海底の景色とかを楽しむ遊びだな。楽しいぞ」

「……私の魔法なら、水中で呼吸もできる」

「そ、そうなのか? まあ……せっかくだし、俺は自前の魔道具でやるよ」

「私も、一緒に遊んでいい?」

「もちろん。みんなで遊ぼうな」

「……うん」


 アオは嬉しそうに微笑む……うんうん、可愛いやつめ。

 すると、二階からロッソの声。


「ちょっと、なーにしてんの? みんな休憩しようよー」


 とりあえず、ザナドゥに行くことについて、ちゃんと説明しないとな。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 全員で二階に行き、飲み物を飲みながらザナドゥに行くことについて説明した。

 そしてロッソ、クッキーを食べながら言う。


「もちろん、今年もアタシたちザナドゥに行くよ。依頼も溜まってるだろうしね。おっさんが行くならアタシたちも行くし!!」

「そうですわね。それに、マリンスポーツ大会……面白そうですわ。それ、わたくしたちも参加できますの?」

「……遊びたい。おじさんと」

「う、海かぁ……」


 と、ヴェルデが微妙な顔をしている……するとロッソが。


「そういやアンタ、泳げないんだっけ」

「う、うるさいわね。別にいいでしょ……ふん」

「あっはっは。ま、アンタは砂浜でゆっくりしてればいいわ。ね、おっさん」

「泳げないのか……でも一応、ヴェルデ用の『水中スクーター』も作るか」

「なにそれ?」

「ふふふ。ヴェルデ、きっと気に入りますわよ」


 というわけで、ロッソたちもザナドゥに行くことが決定。

 連結馬車もあるし、ヒコロクに引いてもらえば快適な旅ができる。


「さて、夏までにいろいろ作っておくか。向こうに行って遊ぶだけにしたいしな」

「ね、ね、他に何作るの?」

「そうだな……パラセイル用のモーターボートが欲しいな。さすがに向こうで船は買うしかないけど……ヒコロクに牽引してもらえば、連結馬車に引っ張ってもらえるかな。あとジェットスキーも欲しいな……あ、パラセイル用のパラシュートも作らないと。昔、親父とスカイダイビングやった時に仕組みは覚えたからなんとか」

「……何言ってるか全然わかんないわ」

「……私もわからない。でもおじさん、ヒコロクなら何でも引っ張れるよ」


 くくく、急にやる気が出て来たぞ。

 夏に向けて、バカンスの準備……今のうちに、ちゃんと準備しておかないとな。


「よーし、『鮮血の赤椿スカーレット・カメリア』!! おっさんと二度目のバカンスに行くぞー!!」

「「おー!!」」

「私は一回目だけどね。むー、なんかくやしいかも」


 さて、ロッソたちは一緒に行くことになったし……バレンたちにも聞いてみるかね。

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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~(1)
レーベル:マンガボックス
著者:比内ハツ
原著:さとう
発売日:2025年 6月 30日
定価 726円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
オキシシガー!! コ◯ラ!!
オキシシガーとかオキシガムとか知ってたら同輩ですw
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