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職場の大掃除、これまでのこと

 さて、帰って来て二日目……今日は、職場の掃除と用事を一気に済ませることにした。

 まず、朝食を食べて職場へ。

 久しぶりの『オダ魔導具開発所』に来た。ドアを開けて中へ。

 

「うわ、やっぱりな」


 ずーっと閉めていたせいか、埃っぽい。

 俺は窓を全開にして、箒や塵取り、バケツに雑巾を用意……そう、今日は職場の大掃除をする。

 シャッターを開けて日光を入れ、まずは一階の掃除からすることにした。


「さて、今後の作業もあるし……一階の真ん中を広くしないとな」


 まず、ハタキで蜘蛛の巣や溜まったホコリを落とし、掃き掃除、そして拭き掃除をする。

 作業台、作業机の上も綺麗にして、ゴミは全てゴミ袋へ。ちなみにこの世界のゴミ事情だが、町の至る所にごみ焼却場があり、そこにゴミを持ち込むと焼いてくれる。

 ゴミ袋とかじゃなく、バケツにゴミを貯めてそのまま持って行き、ゴウゴウと燃えるボイラーみたいなゴミ捨て場にゴミを捨てるのだ……豪快だな。

 まあ、ゴミ焼却場といっても、煙突のある一軒家みたいなところだけどな。この近くにもある。

 

「うし、一階は終わり……次は地下室だ」


 地下室には、アーマー保管庫と素材置き場がある。

 アーマー保管庫は整備室も兼ねている。ここは掃き掃除と拭き掃除だけ。

 素材置き場も掃き掃除と拭き掃除だ。まあ、素材が全くないので掃除は簡単だった。


「よし。素材でいっぱいになる前に、綺麗に掃除できてよかった……ここ、いずれ大量の素材が入る予定だからな」


 砂漠から戻ったら、作ってみたい物があった。

 構想はあるので、あとで冒険者ギルドに行って、必要そうな素材を大量に仕入れないとな。

 さて、一階と地下は終わり。次は二階だ。


「二階は、事務所に宿泊部屋、トイレにシャワー室か……」


 掃除道具を持って二階へ。

 窓を全部開け、宿泊部屋の布団を出して干し、掃き掃除と拭き掃除……今気づいた。掃除機作ったけど会社に一台も置いてなかったわ。

 ま、まあいい……そのまま、トイレとシャワー室を掃除、事務所も掃除する。

 大福の座布団も干して、冷蔵庫や魔道具関連もチェックし、掃除は終わった。


「うーし。明日から仕事再開だし、綺麗にしておかないとな」

「にゃあー」

 

 と、外から声が聞こえた。

 窓から公園を眺めると、子供たちがいた。


「にゃあ。今日はなにする?」

「がるる、かくれんぼ」

「きゅう、ボールもあるよ」

「わうう、全部やりたい!!」


 ユキちゃん、クロハちゃん、リーサちゃん。そして新しく仲間になったシアちゃんか。みんな仲良しになって安心だ。

 すると、シアちゃんのイヌミミがピコピコ動き、俺を見た。


「わうう、おじさん」

「にゃ? あ、おじちゃーん!!」


 最初に気付いたのはシアちゃんか。なるほど、犬だし匂いでわかったのかな?

 俺は軽く手を振ると、子供たちが一斉に駆け出した。

 一階に降りると、子供たちが尻尾を揺らしながら入って来る。


「にゃああ。おじちゃーん」

「ははは、ユキちゃん。今日も元気いっぱいだな」


 ユキちゃんを撫でる……うん、かわいい。


「がうう、おじちゃん。おへや、かして」

「え? 部屋?」

「きゅう、おべんとうたべるの」

「弁当?」


 よく見ると、子供たちは小さな包みを持っていた。

 なるほど。今日は弁当持参なのか。それで、部屋を貸してほしいのか。

 もちろん、断る理由なんてない。


「じゃあ、二階の部屋を使っていいよ。まだ早いし、弁当は部屋に置いて、公園で遊んでおいで」

「にゃああー」

「がるる」

「きゅうん」

「わふー」


 うーん、かわいい。

 子供たちは二階に弁当を置くと、再び公園へ。

 俺の作った遊具で遊びだすのを二階から眺めていると、『魚座の魔女』ポワソンが合流……そのまま五人でアスレチックで遊びだした。ポワソン、もうすっかり公園の住人だな。

 まあ、遊んでいるならそれでいい。


「それにしても、十二星座の魔女か……」


 俺は事務所のソファに座り、煙草に火を着けた。


 ◇◇◇◇◇◇


 十二星座の魔女。

 俺の前の前の転移者、アツコさんの元でいろいろ学んだ、十二人のエルフ。

 確か……二千年くらい前にアツコさんは転移してきたんだっけ。年齢七十超えのおばあちゃんらしい……この辺は若い子とかじゃない、お約束ではなかった。

 まだ、エルフが森で狩りとかしていた時代に、アツコさんは転移してきた。


 最初に出会ったのは、『水瓶座の魔女』ラスラヌフ・アクエリアス。

 海の国ザナドゥで相談に乗ったっけ……ラスラヌフは、この世界に下水関係や水道関係の設備をもたらした偉人だとかなんとか。


 次に出会ったのは、『牡牛座の魔女』エアリーズ・タウルス。

 スノウデーン王国、温泉の町レレドレで出会ったんだよな。デカい温泉水脈が見つかって、それに関する相談を受けたんだっけ。

 エアリーズは、『熱』に関する魔道具を生み出した、これまた偉人……すげえな。


 で、三人目は外で遊んでる『魚座の魔女』ポワソン・ピスケス。

 魔導文字の開祖で、魔道具の始まりだっけ……どう見ても六歳の幼女にしか見えないけどな。

 今はクライン魔導商会で『雷』の研究してるんだっけか。


 四人目は、『射手座の魔女』ストレリチア・サジタリウス。

 弓の開祖だっけ。そういや、その辺よく聞いてなかった。

 東方の国アズマの会った、酒飲みお姉さんってイメージしかないな。


 五人目は『双子座の魔女』ヘミロス・ジェミニとゲミニー・ジェミニ……二人で一人だから、一人でカウントしていいとか言ってたっけ。

 こいつらは『教育制度』を浸透させたんだよな。学校……昔は好きじゃなかったけど、歳を取るともう一回通ってもいいなーなんて考える時がある。


 六人目は『獅子座の魔女』リオ・レオ。

 こいつは戦いの天才。戦ってるところ見たことないけど、ロッソが強いって言うからめちゃくちゃ強いんだろうな……腹筋とかすげえ割れてたし、身長高いガチムチの女戦士だった。

 

 七人目は、『蠍座の魔女』ルピオン・スコーピオン。

 薬学の天才だっけ。話によると、ルピオンは数多くの薬品を作り出し、多くの人々を救ったとか。きっと今頃、スパイスとか薬草を採取してんのかな。


 そこまで考え、俺は煙草を灰皿へ押し付ける。


「あと、名前だけの魔女……ああ、大食い大会に『天秤座の魔女』がいたな。あと、銀行家の『蟹座の魔女』……えーと、整理するか」


 あと出てきてないのは……『山羊座』と、『乙女座』と、『牡羊座』か。

 会ってないのも含めると五人……ああ予言する。絶対、どこかで、会う!!


「……まあ、いいか」


 さて、十二星座の魔女について考えていたが、俺も腹減ってきた。

 子供たちがここでメシ食うみたいだし……トレセーナのところで、丼飯でもテイクアウトしてこようかな。


 ◇◇◇◇◇◇


 ステーキ丼をテイクアウトし、職場に戻って来た。

 ユキちゃんたちが弁当を広げ、俺もその輪に混ざってステーキ丼を広げる。

 なんでお弁当? って聞いてみたら、毎度毎度俺がお昼を子供たちにご馳走しているのが申し訳ないからだとか……まあ、気にしていないけど親としては気になるのだろう。

 すると、クロハちゃんとシアちゃんが俺のステーキをジッと見ていた。


「がうう、おにく」

「わう……おいしそう」

「ははは。少し分けてあげるよ」


 ステーキを二人の弁当箱へ。するとシアちゃんとクロハちゃんがおかずを俺に。


「がうー、おかえし」

「わうう、わたしも」

「おお、ありがとうな」

「にゃあ。わたしもー」

「きゅうう、わたしも」


 うーん、おかず交換会になってしまった。なんか学生時代を思いだすぜ。

 子供たちと弁当を食べ終えると、子供たちはそのままお昼寝だ。

 布団を敷くと、四人並んでスヤスヤ寝始める……かわいい。

 俺は部屋のカーテンを閉め、ゆっくりと部屋を出た。

 そのまま事務所で一服……さて、掃除も終わったし、あとは子供たちが起きるまでのんびりするか。

 明日から仕事の再開だ。


「さて、そろそろアレを作ってみるか……少し、図面を書いてみるかね」


 この日、俺は新しい挑戦をすべく、図面を書き始めるのだった。

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