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転生したらうちの柴犬が最強でした~おまけで転生した犬が俺より強いってどういうこと!?~  作者: 深水映
第3章 獣人の奴隷少女

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15/50

15.人間の里へ

「見ろ、シバタ! 人間の町だ!!」


 タンポポの咲き乱れる山道をしばらく下ると、緑の麦畑の中にポツポツと民家が見えてくる。


 なんとものどかな光景だ。


「町というか......村だな」


 キラキラと春の日差しを反射する透き通った用水路。

 板を置いただけの橋を渡ると、ついに俺たちは森を抜け平地に出た。


 モンシロチョウがヒラヒラとあぜ道を飛んでいく、ポカポカとした陽気の中、サブローさんを連れて歩く。


「うーん、お散歩日和だ」


「そうだな」


「ワン」


 上機嫌でお尻をプリプリ振って歩くサブローさん。


「ああ、サブローさんの肛門は相変わらず目に入れても痛くないほど可愛いなぁ。んん......ギャワイイィ」


「肛門を......目に??」


 トゥリンが眉をひそめる。


「いや、何でもない」


 いけないいけない。折角仲間ができたんだから、変なやつだと思われないようにしないと。


 俺は視線をサブローさんの肛門からくるりん尻尾に移した。


 ゆったりと大きく尻尾を振って歩くサブローさん。


「よしよし、機嫌も良さそうで何よりだ」


 尻尾は犬の感情のバロメーターだ。

 犬が嬉しい時に尻尾を振ることは知られているが、それ以外にも様々な感情を俺たちに伝えてくれる。


 怒り、不安、怯え、喜び――


 だが目の前のサブローさんはゆったりと落ち着いて、足取りも軽やかに見える。


 しばらく山道を歩いて疲れているかと思ったが、足取りも軽やかで元気そのものだ。


 俺は自分の足元をチラリと見る。


 俺もしばらく山道を歩いたはずなのに全然足が疲れない。痛いと感じたことすらない。もしかしてこれが猟師のブーツの効果なのだろうか。


「水虫を治しただけあるな」


 農道をしばらく歩いていると、分かれ道に突き当たった。


「どっちだ?」


 俺は地図を広げた。


 が、マルザ村長お手製の地図は非常に……なんというか大雑把で、位置を確認するのに読解力を要する。


 俺たちが地図を広げ「あーでもない、こーでもない」と揉めている所へ、タイミングよく農家のお婆さんがやってきた。第一村人発見だ。


「あのーすみません」


 コミュ障の俺がどうしようか迷っていると、トゥリンがなんの躊躇もなくお婆さんに声をかける。


「あれま!!」


 お婆さんは心臓発作を起こしそうなほど飛び上がる。


 ん? なんだ?


「お婆さん、この道はどっちに進んだらいいんですか?」


 トゥリンが気にせず地図を指さしたが、お婆さんは目を大きく見開いたままだ。


「それよりアンタ、その獣は!!」


 お婆さんサブローさんを指差し怯えたような顔をする。


「ああ、俺の飼い犬......いや、使い魔です」


「よく見てください、可愛いでしょ?」


 俺とトゥリンがサブローさんを交互に撫でて安全なのをアピールしたが、お婆さんはブルリと体を震わせた。


「あれま、使い魔! そうか。よく見たらあんた、エルフだね。エルフの不思議な魔法でも使ったのかねぇ......くわばらくわばら」


「それで、あの、町に行くにはどっちに」


 お婆さんは茶焼けた道を指さす。


「右さ行けばオラホノ村につくけんど、オラホノ村には宿も食い物屋も何も無ぇよ」


「そうなんですか。じゃあ、左の道は?」


「こっちはオラガの町に続いてる道だ。ちと遠いが宿をとるならこっちだべな」


「ありがとうございます」


 ペコリと頭を下げると、お婆さんは「くわばらくわばら」と言ってそそくさと去っていった。


 俺とトゥリンは顔を見合わせた。


「とりあえず左に行ってみるか」


 天気もいいしと、俺たちはオラガの町に向かってゆっくりと歩き始めた。



◇◆◇




「何だか雲行きが怪しくなってきたな」


 お婆さんと分かれてから少しすると、急に辺りが暗くなってきて冷たい風が吹いてきた。


 俺が腕まくりした袖を元に戻しながら空を見上げると、トゥリンが厳しい顔をして道の先を指さす。


「急ごう、シバタ」


「ああ」


 トゥリンは狩りで外に出ることも多いし、天候の移り変わりに敏感なのだろう。


 歩くペースを上げ、オラガ村へと急ぐ。


「町が見えてきたぞ」


 遠くにうっすらと見える木造家屋。

 ビルのような大きな建物はないが、沢山の家がある。山のそばだけど、思ったより都会かもしれない。


 ほっと息をついたその時、額にポツリと雨だれが落ちた。


「あ、雨」


 ポツポツと黒い点が地面を染め始める。


「ヤバいぞ、急げ!」


 俺たちは町へと急いで駆けていった。

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