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第百四章 成り行きダンジョンアタック 22.チュートリアル~ラストステージ~(その9)

「……これはまた……厄介な条件を持ち出されたな……」



 部屋の中で待ち受けていたのは、呪いの剣を手にしたスケルトンフェンサーであった。それ自体が充分以上に強敵なのだが、チュートリアルクリアーの条件というのが、



《ラストチュートリアルです。スケルトンフェンサーを倒して「呪われた剣」を奪い取って下さい。奪い取らないとチュートリアルはクリアーできません。なお、「呪われた剣」となっていますが、プレイヤーが奪い取っても呪われません》



 成る程。対人戦や奪刀の技術はこんなところでも必要になるのか……と、独り感心しているシュウイを他所(よそ)に、テムジンの方はどう対処したものかと苦慮していた。自分は対武器の制圧技術は心得ているし、それはシュウイも同様だろう。しかし、見るからに格上のスケルトンフェンサーを相手に、その技術がどれだけ通用するか……



「あ、テムジンさん。ちょっと試したい事があるんで、先にやらせてもらっても?」

「あ? ……あぁ、それは構わないが……?」



 当惑顔のテムジンと新人たちを尻目に、シュウイは壁に杖を立てかけて、素手でボスに向かって行く。敢えて素手で挑むからには、何か勝算があるのだろうが……



(いや……それにしてもあの杖……何かシュウイ君の言う事を聞いて一歩下がり、自分から壁に寄りかかった……ように見えたが……気のせいだろう、きっと)



 当惑の目で見つめる六対の視線を気にも留めず、シュウイはボスの前に立った。その様子を見て侮ったのか、それとも侮辱と受け取ったのか、スケルトンフェンサーは「呪われた剣」を大上段に()(かぶ)ると、一気にシュウイに叩き付ける。シュウイは僅かに身を(かわ)して踏み込むと、振り下ろされた剣を(さば)くように動き……



「「「「「「……え?」」」」」」



 後ろで見守っていた六名と、ついでに当のスケルトンフェンサーが呆然として立ち尽くした事に、「呪われた剣」はいつの間にかシュウイの手に収まっていた。



(あ~……やっぱり通じたかぁ……)



 ――【奪刀術EX】

 シュウイがひょんな事から手に入れたレアスキル……と言うか新スキルであり、現状ではシュウイ以外に保有していないので、ほぼユニークスキルと言ってよい。

 「歌枕(かつらぎ)流」の奪刀術と【掏摸(すり)】スキルの融合発展によって誕生したこのスキルによって、シュウイは易々と「呪われた剣」を奪い、ついでだからとその剣でスケルトンフェンサーを一撃して、あっさりラストチュートリアルをクリアーしたのであった。



《チュートリアルのクリアーを確認しました》


《チュートリアルクリアーの報酬として、【ダンジョンアタックの心得】というスキルを授与します》


《最初のチュートリアルクリアー報酬として、『先駆けのダンジョン攻略者』の称号を授与します》


《各ステージを死に戻り無しにクリアーしたので、採集品やドロップ品はそのまま持ち帰る事ができます。また、経験値はそのままプレイヤーに加算されます》



 ――というメッセージウィンドウがポップアップしたのを見て、喜んだのは新人たちであった。何しろここのチュートリアルダンジョンは立地柄なのか、宝石やら鉱石やら、上質の採集品が多かったのだ。これをそっくり持ち帰れるとあって、一同大喜びである。(みず)()にしても、採集したヒカリゴケや(ぎん)(りょう)(そう)などの稀少種が生きたまま持ち帰れるとあって、そのボルテージは最高潮に上がっている。……まぁ、首尾好く栽培できるかどうかは腕次第なのであるが。



「……喜んでますけど……クリアーできなかったり死に戻ったりしたら、ドロップは消えちゃったんでしょうか?」

「多分そういう事だろうな。知らぬが仏というやつか」



 成る程なぁと納得するシュウイ。チュートリアルだからと言って手を抜くと、最後の最後で手痛いしっぺ返しを喰らうという訳だ。SRO(スロウ)運営の面目躍如たるものがある。



「それはそうと……シュウイ君は『呪われた剣(そ れ)』をどうするつもりだ? 【鑑定】によると呪いは解けているようだが?」

「――え?」



 指摘を受けたシュウイが【鑑定】してみると、呪い云々の記述は消えて、単なる名剣に変化していた。プレイヤーが使う事を想定しているのだろうが、シュウイとしてはそのつもりは無い。愛杖が()ねそうな気配もあるし。



「う~んと……僕は使いませんから……テムジンさん、使います?」

「いや……自分は弓スキルを育てるつもりでいるからな。ナントにでも売るか?」

「そうしようかな……あ、そうだ。丁度領主からのクエストがあったから、ついでにこれも献上しちゃいますよ」

「ふむ? そういう事情なら、それも悪くない選択肢だな」



 ――という会話が聞こえているのか、シュウイの杖も気のせいか満足げに見える。


 一同それぞれの感興と思惑(おもわく)に浸っていたところへ、



《プレイヤーがダンジョンをクリアーしました。これよりダンジョンシステムが解放されます》



 ――というワールドアナウンスが流れた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 確実に杖に九十九ちゃんが宿ってるっすね しかも感覚からして主の一歩後ろを歩く侍女的な感じ そしてその真横に剣を奪われて唖然としてた骸骨さんが着いてきていそう
[一言] 他の武器を使ったら拗ねるなら、 他の武器を取り込んで形態変化できたり、能力会得できる機能ついてたらいいのに アイテムがプレイヤーの自由を縛ったら駄目だよ
[一言] 第九十二章 トンの町 3.領主館~謁見クエスト~ 「いや、武器だの魔道具だのに関しては、そなたたち『異邦人』の健闘もあって、充分な量が出廻っておる。問題は、そうでない通常の細工物などでな」…
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