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『俺だけドロップ率∞のバグスキル持ちだった ~底辺探索者のダンジョン配信が、いつの間にか世界最強チャンネルになっていた~』  作者: やまご


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第73話 書き換えられる世界と、書き換えさせない意志

空は閉じている。だが、確実に“向こう側”は近づいていた。


目に見えない層が一枚、また一枚と現実に重なり、街の輪郭が静かに侵食されていく。

建物はそこにあるのに、“そこにある理由”が薄れていく。


「……来るわ」


アリアの声は落ち着いていたが、その手はわずかに強くなっていた。


次の瞬間――


世界が、塗り替わる。



「再構築、開始」



その声と同時に、景色が“別のもの”に変わった。


夜の街が消える。


代わりに現れたのは、白い空間。


上下も、奥行きも曖昧な、ただ“広がっているだけ”の場所。


リゼが息を呑む。「……何これ」


カイが低く答える。「現実を消して、基準空間に置き換えた……」


つまりここは、“それ”のフィールド。



「対象:ユウト・カグラ」


声が響く。


今度は、逃げ場はない。



「再定義を行う」



その瞬間。


俺の体が“分解”される。



「……っ!」



感覚がバラバラになる。


視覚、聴覚、触覚。


全部が“別々のもの”として切り離される。



「ユウト!」


アリアの声が遠い。



「個体を構成する要素を分離」


「最適構造へ再構築」



つまり。



“俺を書き換える”。




だが。



「……やめろ」



自然に言葉が出た。



「それは」



意識が、まだ繋がっている。



「俺が決める」



その瞬間。



バキッ。



音がする。



分解された感覚が、再び繋がる。



「……自己定義、維持」



“それ”の声がわずかに揺れる。



俺は息を吐く。



「……勝手に触るな」




そのとき。



空間がさらに歪む。




「再構築レベル上昇」




今度は、直接じゃない。




“世界ごと”書き換える。




白い空間が変形する。




重力が変わる。



時間がずれる。



存在のルールが変わる。




「……!」



立っていられない。




だが。




アリアが手を引く。




「……離れないで」




その声。



強く。




俺は頷く。




「はい」




その瞬間。




理解する。




一人じゃ足りない。




“二人で定義する”。




「……アリア」




「分かってる」




言葉はいらない。




存在干渉。



同時発動。




今度は。




“世界に対して”。




「ここは現実だ」




宣言。




白い空間が揺れる。




「……外部定義侵入」




“それ”が反応する。




俺は押し込む。




「俺たちは、ここにいる」




アリアが続く。




「この世界は、消えない」




二人の意志が重なる。




その瞬間。




空間にヒビが入る。




現実が戻ろうとする。




「……干渉、増大」




“それ”が圧を上げる。




再構築。



さらに強く。




だが。




今度は耐える。




俺たちは、動かない。




「……っ!」




限界が近い。




そのとき。




頭の奥で。




記憶が繋がる。




――世界を戻した

――存在を繋いだ

――何度も繰り返した




「……そうか」




全部じゃない。




でも、分かる。




“やり方”を。




俺は目を開く。




「……一回壊せばいい」




アリアが一瞬止まる。




「何を?」




俺は答える。




「この再構築」





“それ”の定義を。





その瞬間。




存在干渉。



最大出力。




今までとは違う。




“触る”んじゃない。




“ずらす”。




再構築の基準を。




わずかに。




ズラす。




「……!」




“それ”が初めて大きく揺れる。




「基準不一致」




「再構築、失敗」




白い空間が崩れる。




現実が戻る。




夜の街。




空。




すべて。




戻る。




俺は息を吐く。




「……はぁ……」




アリアが支える。




「大丈夫?」




俺は頷く。




「……なんとか」




だが。




空を見る。




“それ”はまだいる。




そして。




声が響く。




「……確認」




「お前は」




「“再構築を破壊できる存在”だ」




完全に。




認識された。




俺は苦笑する。




「光栄ですね」





その瞬間。




空がさらに深く歪む。




今までとは違う。




“本体”。





アリアが小さく言う。




「……来る」





俺は頷く。




「はい」




手を握る。




強く。





次が。




本当の最終局面。





第73話 完


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