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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第八章

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第196話 敵合流を阻止

 ネロが差し向けた空中移送機エアブースターの1機は『朱雀』の左舷デッキに着陸した。

 残る2機は、ロケット砲による狙撃を避けるために、2番機が交戦していた地点からは10キロメートル近く離れた場所に着地する。


「十数分で、ラインゴルドのジークフリードが合流するぞ」


 ラインゴルドの空中移送機エアブースターが着陸したことを確認した有本大尉は、対峙している2機のペルセウスの動向を注視した。ここで撤退するのか、それとも徹底抗戦してくるのか。


「こちらがラインゴルトからの増援を得た以上、敵が嵯峨さが州を脱出した部隊と合流しても数の優位とは言えないだろう。さて、どうする?」


 2機のペルセウスは、二連型陸上戦艦へ後退していった。2機を収容した陸上戦艦は、移動できなくなった3連型陸上戦艦を捨て置いて、後退し始める。

 それは、有本大尉の予想通りの行動だ。


「どうしましょう。追いますか?」


「いや、放っておけ。『朱雀』も二連型陸上戦艦を深追いする気はないようだ」


 4機のGV4は、三連型陸上戦艦から離れる気配はない。2隻の二連型陸上戦艦が撤退することは、見逃すつもりのようだ。


「あれは?」


 撤退する2隻の二連型陸上戦艦が、信号弾を撃ち上げた。近衛軍の様式でもなく、星間協定に定める共通様式でもない。


「状況から推測すれば、嵯峨州を脱出した部隊に『合流できなくなった』ことを知らせるものだろう」


 陸上戦艦1隻と重甲機兵を4機失わせ、自軍の損害はゼロ。圧倒的な勝利とも言える。



 空中移送機エアブースターで『朱雀』のデッキ上に着陸したのは複座型のGV3型機で、分隊のリーダー機である。その、SVからの報告により『朱雀』もようやく嵯峨州の状況を把握できた。


「第3戦団のジークフリード6機のうち、3機は駐屯基地の自爆に飲み込まれたと考えられます。そして、トーチス傭兵団の6機のうち2機はGV3X(サンダーバード)が撃破しました。残る重甲機兵は7機でした」


「嵯峨州に残るラインゴルドの重甲機兵は、GV3X(サンダーバード)を含めて6機か」


「西門の防衛施設に第3戦団のジークフリード3機が残っていました。嵯峨州から脱出した軍用輸送車両(クローラー)は、トーチス傭兵団のペルセウスを乗せたものでしょう」


「軍用輸送車両(クローラー)の動きは?」


「嵯峨州防壁の西門へ引き返しています」


「西門に、敵の重甲機兵7機が集結するか」


 八須賀はちすか大佐が、時計を確認する。午前7時30分を過ぎている。日の出に合わせての作戦開始だったので、およそ2時間が経つ。そろそろラインゴルドのB級機体は、バッテリーの補充を必要とする頃だろう。

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