移動
七日後、ロキシスは出掛けていった。勿論村にはフェンリル、トリマー、フェニックスの3匹を置いていった。勿論、フェンリルのみエリナの要望で獣の姿で召喚されていた。
「しかしロキシス様も人が悪い。我々を置いていくなんて。」
モフモフ、モフモフ。
「そうですか?でもこれも仕方ないでしょう?」
モフモフ、モフモフ。
「確かに、皆さんに何かあればロキシス様も気が気では無いでしょうから。」
モフモフ、モフモフ。
「まあ大会が終われば直ぐに帰って来られるでしょう。それまで待ちましょう。」
モフモフ、モフモフ。
「あのぅ…エリナ様、そろそろ止めていただけませんか?」
「やだ。」
「やだじゃありませんよ!?もう1時間程もそうされているじゃありませんか!?」
「だって気持ちいいんだもん!」
「あなたたちも止めて下さい!」
「いいじゃないか、主の思い人からの寵愛、羨ましいぞ。」
「そうですよ。何文句を言っているんですか。」
「くすぐったいんですよ!」
「しかしエリナ様、もうそろそろお仕事のお時間では?」
「え~、もう少し…もう少しだけ!」
「ひぇぇ…」
フェンリルをモフモフし続けるエリナだった。
その頃ロキシスは道を急いでいた。今回はフライの魔法を使わず、獣の姿で召喚したケルベロスに乗っていた。
「ロキシス様、乗り心地は如何ですかな?」
「フェンリルも良い走りをするが、流石ケルベロス。余り揺れなくて良い感じだ。」
「お褒めの言葉、痛み入ります。」
「しかし済まないな。こんな事でお前を呼び出して。」
「地獄は今暇ですから。少しでも主の役に立てるなら本望です。」
「そう言って貰えるのは恐縮だ。」
「何を仰られる。主の命に従う、それこそ契約したかいがあると言うものです。」
「そういうものか。」
と、難なく歩を進めて街まで着いた。
「ロキシス様、私はどうしましょうか?」
「そうだな、人の姿になってついてくるか?」
「はい。」
そう言うと、何故か以前の紳士の姿ではなく、若い女性の姿になった。
「…その姿は?」
「我々は姿を自在に変えられますので、お嫌ですか?」
「いや、そのままでいい。」
2人で街に入っていくと、入り口でハギャが待っていた。
「ふぉっふぉっふぉっ、ロキシス殿、待っていましたよ。」
「あんたか。毎度毎度鬱陶しいんだよ。」
「まあ今回が最後となるでしょうから。」
「そうなることを祈っとくぜ。」
するとハギャの後ろから前に村に来た男が1人現れて、
「ハギャ様、お時間です。」
「ふぉっふぉっふぉっ、そうですか。ではロキシス殿、それからお嬢さん、闘技場まで一緒に行きましょう。」
そう言って案内を始めるハギャの後ろをロキシスとケルベロスはついていった。
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