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美味しい世界  作者: 眼鏡屋
8/8

さあ、夢の続きを歩もう

 

 ーーーーーなんて、絶望してる場合か?


 散々泣いた。泣き喚いた。

 でも、自分の意思で歩き出したんだろ?

 立ち止まる事なく歩き続ける事。それをもう決めたんだ。悲劇のヒロイン気取ってる場合じゃねーだろ、私!!


 作れない筈がない。だって、覚えてる。


 知識が、レシピが、頭に

  技術が、体に

   道具は、手元に

 何より、作りたいという想いが、私の心に!!


「ヴァニラ、泣いてばかりでごめん。」


 崩れ落ちた足元に力を入れる。震える足に、震える声。大きく深呼吸をした。


 大丈夫。まだ諦めるな。


「証明するわ、私が私である為にも。お菓子を作れる事を。」


「ハッシー……、でもよ……。」


「ヴァニラ、信じてなくたっていいの。不審者の戯言だと思ってくれても構わない。頭のおかしな奴だと思われても仕方がない。でも、チャンスをちょうだい。」


 顔を上げる。

 心配そうな表情のヴァニラ。その瞳にうつるひどい顔の私。

 笑え、声をはれ、それだけで世界は私の味方だ。


「一度だけでいい。私にお菓子を作る場を提供して欲しいの。お父さんは食堂屋さんなんでしょう?調理場を少しの時間、貸して欲しいの。」


「それぐらいなら、頼み込めば貸してくれると思うけどよ……。」


「ありがとう!! 」


 思わず抱きついた。

 尻餅つくかと思われたヴァニラは意外と力があるのか、私を受け止め、抱きしめた。


「ヴァニラ??」


「ハッシーが嘘言ってるとは思ってねーよ。でも、信じられないんだ。……だから、証明してくれ。俺もハッシーを信じたい。」


 ああ、何を絶望していたんだ。

 ここに一人だけだけど味方がいる。

 信じたいと言ってくれる人がいる。


 私は大丈夫だ。

 さあ、夢への第一歩、踏み出したなら立ち止まるな。



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