幻影肢 4
信号待ちで手紙を開いては閉じ、小さな渋滞に引っ掛かっては読み返し、繰り返し繰り返し便箋の隅々まで見渡していた。
まだ足りない。
もう一度読もう。
いつものルートを辿り、急ぎ向かったのは自分のマンション。
直樹は手紙を握り締めたまま、部屋へと走り込む。
「…………………………」
ベッドに腰を掛け、パクの文字を追った。
横になって体勢を変え、また最初から読んだ。
一文字ずつ眺めてみる。
じっくりと読んでみる。
それを何回も何十回も繰り返した。
手紙の最後に書かれている電話番号も覚えてしまうほどに。
文面を目で辿りながら、どうしようと直樹は考える。
この場合、すぐに電話を掛けた方がいいのか。
それとも一度手紙での返事をした方がいいのか。
答えが出ぬまま読み耽り、気づけば部屋に戻って1時間ほどの時が経っていた。
その飽くことのない夢中を断ったのは、不意に聞こえてきたピンポーンというチャイムの音。
しかしそれを直樹は一度無視し、手紙を読み続ける。
するとまた、ピンポーン。
二度目の呼び出しに、直樹は手紙を持ったまま読む行為を止めることなくインターフォンまで歩き、モニターを覗き込む。
そこに立っていたのは琢磨。
「……何や、どうしたんや、こんな時間に」
『イヤ、公園からな、車通ったの見えたから。ほんでマンション来たら車停まってるし、何か仕事あるかなー思うて』
琢磨と交わしたこの一言の間も惜しむように、直樹は「入れ」と一言告げ、オートロックを解除する。
モニターの中の驚いた表情を見て、無理もないと思った。
仕事でもないのに他人をすんなり部屋へ入れる心境なんて、俺にとってはレアなことだ。
直樹はそのまま廊下を渡り玄関まで進むと、部屋のドアを開けて琢磨が上って来るのを待つ。
すぐに姿が見えてきた琢磨は、マンションの通路を走って来ながら、
「どうしたんニイニイ。エライすんなり入れてくれるやん」
そうやな。
しかもドア開けて待っとるし、俺。
「まぁ何でもエエよ。入れ」
直樹はそう言って琢磨を部屋に招き入れた。
「今日スーツ、クリーニングに出したから、返すん2~3日待ってな」
それへの返事は上の空。
「あ、おう……うん」
直樹は手紙を読むのをまだ止めない。
「それ何?仕事の書類?手紙?」
「うん……おう」
おざなりに応えながら、再びベッドの上に座った。
琢磨も当然、空返事をする直樹に気づいている。
彼は手紙から目を離さない直樹に、
「コーヒーでも淹れようか?」
「………」
「冷たいヤツ?ぬくいヤツ?」
「…おう、…うん」
「………」
直樹の態度を見てそれ以上何を言うこともなく、琢磨は静かにコーヒーの用意をし始めた。
アイスコーヒーを作ってベッド横のテーブルに置き、直樹を気遣ったのか自分も黙ったままコーヒーをちびちび飲んでいる。
どのくらい時間が経ったのか。
やがてグラスが汗をかき、サイドテーブルに水溜りを作り、氷が全て解けた頃、直樹はフーッと一つ大きく息を吐き、やっと手紙をベッドに置いた。
そして、ここでようやく部屋に琢磨がいることを思い出す。
「何やねんニイニイ、一生懸命……何かあったん?ヤバイこと?」
「ヤバイこと……うーん、大ごとやなぁ」
電話をするべきか手紙を書くべきか、そんなことで悩んでいる自分が少し幸せだった。
ただ琢磨に、自分が友人のことではしゃいでいる、そんな姿を見られたくはなかった。
「何やねん、大ごとって。ケンカか?」
琢磨の言葉に、直樹は素の笑顔を見せながら応える。
「お前、何でもかんでもそんな風に考えるなよ。俺も揉め事ばっかりしてんのとちゃうぞ」
それから自分の横に琢磨の淹れたコーヒーが置いてあることに気づいた。
「あー、氷解けてしもうたな。淹れ直そうか?」
普段ならそれもアリ。
「あー、かまへんかまへん」
直樹はそう言って、そのアイスコーヒーを一気に飲み干した。
琢磨はいつもと違う直樹の様子に違和感を覚えたようで、心配そうにこちらを見ている。
その視線に気づきながらも、終始口角の上がった自分の態度を止めることはできなかった。
直樹は立ち上がると、
「もうじき昼やな。昨日はオッサンに奢ってもろうて、そやな、今日の昼は俺が奢ったろうか」
「えー、マジで?コンビニ弁当?買うて来ようか?」
「アホウ、何言うとんねん。何で俺がコンビニ弁当なんざ食わなアカンのや。せやな、うなぎでも食いに行くか」
「うなぎ!?マジで!めっちゃ高い店?」
「当たり前やろ。俺が行くんや。天然うなぎの上等なヤツよ」
「マジかよー。昨日からえらいツイとるな、俺!最近お金なくて、昼いうたらこんな袋いっぱい入ったあるロールパンしか食べてなかったからなー」
「よっしゃ、ほんならうなぎで決まりやな」
足取り軽く2人で玄関に向かって歩いている途中、廊下に置かれた電話の留守電ボタンが点滅していることに気づいた。
ここへ電話してくる?
……メグミか?
そうか、アイツも連れてったろか。
そう思いながら留守電の再生ボタンを押した。
『―――― ピッ!1件のメッセージがあります。○月○日午前○時○○分。
……あー……秋月?これ、番号合うとるんかなぁ。秋月の家でよろしいか?一条やけどな』
一条?
メグミからだとばかり思っていた電話は、昨日久し振りに再会した一条からのものだった。
直樹と琢磨は並んでそのメッセージを聞く。
『ちょっと状況的にな、お前の会社に電話するんが難しゅうてよぅ。昨日話した件でお前に大事な用事がある。俺は3日後には日本を発つからよぅ、3日間は待つけどなぁ…。ま、今日・明日・明後日、夜の7時…19時にな、○○区の○○町にある○○○○って店の裏の路地で待っとるから。15分しか待たんぞ。お前がこのメッセージ、いつ聞くんか分からんけど、今日から3日やからな』
一条の声はそこでプツリと切れた。
昨夜一条の言っていたことが思い出されたが、もうその辺は構わない。
今後の自分の展望を決めなければいけないのは分かっているが、今は昨夜の余韻に浸っている場合ではなく、ただただ自分の起伏は軽快だった。
「一条って、昨夜パーティーにおったニイニイやろ?」
「おう、そうや」
「日本発つって、どっか外国行くん?」
「おう、そうや。何ぞ悪さしたんちゃうか。高飛びやー言うとったぞ」
「高飛び!?……そうなんや。大事な用事言うとったけど、何なん?」
あくまで、今の直樹の起伏は軽快だ。
「さあ?海外でゆっくりする言うとったからなぁ。自慢話ちゃうかー」
「………」
「そやなぁ。3日後には発つってことは、餞別くらいしたらなアカンなぁ」
そんな話をしながら、2人は部屋を出る。
「アイツ、酒好きやからなぁ。今日はちょっと奢ったろか」
滑らかに饒舌である直樹とは裏腹に、神妙に慎重に話を聞いている琢磨。
一条の言う用事が気になるのか、さらに聞いてくる。
「3日待つ言うとったけど、今晩行くんやろ?」
「お?そうやなぁ。まぁ仕事あるけど、俺がおらんでも大丈夫やろ。今晩行くやろなぁ。あと2日足運ばすのも悪いしな。何があるか分からへんし」
そこで琢磨は顔を上げ、申し出た。
「それ、俺も行っていいかな」
「ハア?昨夜も仕事休んどるのに、今日も休むってか」
「うん、まぁそうなるね。っていうか、俺も行くし」
「来たってお前、酒飲まれへんやないか」
「イヤ、お酒はいいよ、飲まんから。エエやろ?」
「…ま、別にお前がおってもエエやろ。よっしゃ、ほんなら今日はこのままウロウロして、その足で○○区まで行くか!しかし腹減ったなー!」
「………」
軽く歩を進める直樹を、琢磨はじっと見つめている。
今の直樹は琢磨のそんな態度も、一条がわざわざ自分を『大事な用事がある』と呼び出したことも気に留めることはない。
昼の間に、済ませておかなければならない仕事は済ませておいた。
直樹と琢磨は約束の時間の少し前には、一条の言った○○○○という店に到着していた。
そこは小さな喫茶店。
2人は向かい合ってお茶を飲んでいる。
直樹は時計を見ながら、
「もう7時ちょっと過ぎとるやないか。呼び出しといて遅刻ってどういうことや」
「………」
「よっしゃ、ついでや。今晩はお前にもメシ食わしたるわ。一条と3人で焼肉でも行くか、なあ?」
「……うん」
今日は琢磨の返事に少し間が空く。
しかしそんなことは気にならない。
この日1日、会話の主導は全て直樹が握っていた。
普段は琢磨が話し、それに直樹が相手をするという形なのだが、今日ばかりは直樹の起伏がそれを許さなかったのだ。
「しかしほんま、時間守らんの好かんのよな、俺。キャーン言わしたらなアカンなー」
その、誰が見てもいつもと違う直樹のテンションに、琢磨はずっと戸惑っている様子だった。
彼は言い難そうに、アイスコーヒーに刺さったストローを掻き回しながら、
「……ちゅーかニイニイ……留守電には店やのうて裏の道で待ってる言うてなかったか?」
「、あ!」
「7時15分まで待つ言うとったけど、あと2~3分しかないで」
琢磨の言葉に、直樹は慌てて席を立つ。
「しもた!そやったな。お前、いつから気づいとったんやソレ」
「………」
琢磨は座ったまま、黙ってテーブルを見つめている。
それを見下ろし、直樹は少し笑みを浮かべながら言った。
「お前、気ィ付いとったんやったら早う言うてくれよ。細かいこと忘れてしもうとるやんけ、こっちゃぁよぅ」
急いで店を出る直樹の後を、琢磨はゆっくりとついて行く。
一条が指定した店の裏手は、街灯も少なく薄暗い路地。
ビルとビルの間を走る狭い通路には、辺りの店から出るゴミ袋が点々と置かれている。
目的の人物は、路地裏に踏み込むと同時に見つけることができた。
タバコを吸いながらビルの壁に凭れ掛かっている、一条の姿。
「おい、一条!」
歩み寄りながら直樹が声を掛けた。
一条はそれに、左手をスッと上げて応える。
「昨日聞いたばっかりでエライ急やな。そんなに急がなアカンのか」
直樹がそう問うと、一条はタバコをピンッと指で飛ばし、口を開いた。
「おう。昨夜遅くにな、確証が取れた。せやから朝早い時間に電話したんやけどな。…ま、今晩お前が来てくれたからな、すぐにこの後日本を発つよ」
「え!?この後?お前、俺から餞別フンだくろう思うて来たんちゃうんかよ?食事くらい奢らせろや。ご馳走するよ」
「餞別?餞別なぁ。それも大事やけど、もっと大事な話や」
そこで一条は直樹の背中に張り付くようにして立っている琢磨に気づき、笑顔を見せた。
琢磨もニコッと笑い返す。
「……昨夜も話したけど、結構重要なことや」
「重要?」
「………」
一条が琢磨にちらちらと視線を遣る。
その様子に、直樹は背後に向かって、
「ちょっとお前、向こうへ行っとけ」
「………」
しかし琢磨は動かない。
「何や?俺、ちょっとコイツと重要な話があるから、お前向こうへ行っとけや」
二度促すと、ようやく琢磨は2人の間の空気を読むように何度もこちらを振り返りながら、その場から少し距離を取った。
「で?何の用事?3人で焼肉行こかーって話しとったんや。ここ暑いしよぅ。どうや、一緒に、」
誘う直樹の言葉を折るように、一条が一言告げた。
「片桐正悟」
「……ッ!!?」
思わず息を詰めた。
一条は直樹の正面へと、立ち位置を変える。
「岡崎タケシ」
「―――― ッ!!!」
今度こそ、息が止まった。
2つの名前を聞き、頭の中で何かが弾け飛んだ。
正気に返ったとでも言うべきか。
「2人共、お前に関係のある名前や。そやろ、秋月」
「………」
「今回の用件はな、立花マサオ」
「ッ!!」
ビクッと体が揺れた。
「立花についてな、お前に報告がある」
―――― 立花
この『立花』という苗字
『マサオ』という名前
忘れていたワケでもない。
恐らく別人であれ同姓同名の人間がいれば、俺は有無を言わさずソイツを手に掛けていたのではないか。
―――― タケシをこの世から消した、男の名。
「お前も立花をずっと探しとるいうんは知っとった。アイツ、高飛びしてずっと海外に身ィ隠しとったんや。なんぼ探しても見付からんわな」
「………」
一条はもう一度壁に背中を預け、タバコに火を点けた。
隣の大通りで車が行き交う騒音の中、タバコの葉が燃えるジジジッという音まで聞こえるほどに集中していた。
「片桐っちゅーのはな、俺の行っとった高校の2コ上におったんや。立花はあの頃から、片桐の腰巾着やっとったよ」
「………」
「俺も立花に強盗紛いのことされてな、舎弟が1人死によった。アイツは岡崎を撃ったその日の夜のうちに、俺の舎弟も殺しよったんや。あの頃、俺はまだ駆け出しでなぁ。必死に立花探したけど、とっ捕まえることができんでよぅ。穂積のオヤジとの付き合いもまだなかったし、人探すんも限界があったんよな。……ま、俺の話はエエか」
一条の話を黙って聞いている。
一言一句、聞き逃してはならない。そう判断した。
「立花……あいつはな、2人も人を手に掛けて、何の謝罪も報復も受けずしゃあしゃあと生きてやがる。お前んトコの場合は、代わりに片桐が死んだな」
「………」
「お前、岡崎タケシとツレなんやろ?片桐殺りに行ってお前がパクられたんも俺は知っとるんや。アレは岡崎の仇取りに行ったんやろ?」
……不意に、パクの手紙を思い出した。
パクと美奈子の間に生まれた子供の名前が『タケシ』であることを今、思い出した。
「お前が立花探しとるのも知っとったしな。ま、長いことやっとる分、ウチの方が先に見つけたよ」
直樹は一言も喋らない。
「穂積のオヤジの関係と、まぁ俺の力不足やな。ウチの組織の解体で、俺は立花には何もできん。逃げて隠れなアカン存在になっとるからな。今回何でお前にこの話をしたかっちゅーと……お前んトコで立花を見つけたとき、お前がまた無茶するんちゃうかなぁ思うてな。
俺が間に入りゃ……ん?間に入る?俺はそんな上等ちゃうな…。人づてなら、お前も冷静に考える時間があるんちゃうか思うてな。だから、俺からお前に伝えたかった。何や知らんが、お前はウチの組織内では嫌われとったけど、俺はお前嫌いと違うたからな」
次の瞬間、直樹はいきなり一条の胸倉を両手で掴み上げた。
「……ッ」
俯き、小声で呟く。
一条は顔色一つ変えることなく、直樹にされるがまま壁に押し付けられている。
火を気遣い、体から離した右手のタバコの灰が、ひとかけら風に舞った。
「…何?よう聞こえん」
「……ッ住所は………立花が今どこにいるか、テメェ知ってんだな!!?」
今の直樹の頭の中では、一条の姿すらターゲット。
力を込めた両拳の前、あらん限りの声を張り上げ、直樹は吼えた。
「ようやくかッ!!やっとだぞオォッ!!!」
一条は静かに、怒りで血走った直樹の激情を見つめている。
「これまで!!これまでなアッ!!炙り出そう思うて火も放った!エサも吊るした!なのに見付からなかったんだよアイツは!!!」
直樹もまた人脈の限りを尽くし、立花の行方を追っていたのだ。
「やっとか!!ようやく!!ようやくウゥ――――ッ!!!!」
その時、一条の胸倉を掴み上げる直樹の腕をそっと握る腕がもう一本。
……琢磨。
琢磨は黙ったまま、ブルブルと震えるほどに力を込めたその腕をギュッと握り、直樹の目を見つめてきた。
そして何度も首を横に振る。
「何だテメエッ!!アッチ行ってろっつっただろ!!」
怒鳴りつけ、直樹は全力で琢磨の腕を振り払った。
「一条!!言え!!早く言え!!!立花どこにいんだ!?早く言えエェ――――ッ!!!」
力任せに壁へと押し付けられるも、一条は落ち着いたまま用意していたかのように直樹に問いかけた。
「お前、それ聞いてどうするんや」
「!!そんなもん決まってんだろ!ブッ殺してやるよ!!」
「誰が?」
「誰がア!?ウチの組織総出でいたぶり殺してやる!!いいから早く言えッ!!ヤツはどこにいんだよ!!?」
一拍置き、一条はもう一度直樹に問う。
「組織?…もう一回聞こか。今更誰が、立花殺すって?」
「!!!」
「訴えられたら訴え返す。恨まれたら恨み返す。コレ、オモロイか?選択に幅があるっちゅーんは、その人間の価値やろう。何が言いたいんか分かるか?自分が忙しいからコッチは誰々に頼もう…迷ったときは片方を諦められる、その余地っちゅーのは、その人間のデカさや。俺にお前の幅を聞かせてくれんか」
「……ッ」
駆られるままに握り締めていた力が、少し和らいだ。
「組織ってことは、この赤いお兄ちゃんもか。ま、それもエエやろ。俺はリタイヤする身や。他人が今からやろうとしてることに、どうこう口出しできる身分とちゃう。止めはせんよ」
直樹は掴んでいた一条の胸倉から完全に手を離した。
乱れた着衣を正すこともなく、一条は続けて言う。
「蛇の道は蛇やろう。俺ら2人が認め合うたところで、世間様から見たら俺らなんざヨゴレの一片や。人の格好してメシ食って風呂まで入る、ゴミやろう。ただ、……ただな、」
直樹は視線を上げ、一条の顔を見た。
「岡崎は死んだし、もうこの世にはおらん。俺の舎弟もそう。今更立花殺ったところで、何かが残るんか?何かが返ってくるんか?お前の命令で動くお前の身内のモン……要するにお前に間引かれたソイツは、誰の責任でまた蛇の道通るんや?」
迸る何か。
ギリギリと、自分の拳から指が擦れ合う音が聞こえる。
「俺は責任果たしたつもりや。秋月、あとはお前が決めろ。この話、どういう方向で持って行くか、決めるんもまたお前や。このままコッチへおるんもお前の自由。お前も含めた誰かをファームへ行かすんも、お前の自由や」
言い終えると、一条はポケットから1枚の紙切れを取り出し、直樹の目の前に差し出した。
俯き拳を握り締めたまま、それを手に取ろうとしない直樹。
それを横から掻っ攫うように受け取ったのは、琢磨。
その行為に、一条は琢磨の赤い頭をポンポンと二度叩くと、街灯の見える車道に向かって歩き出した。
やがて立ち止まり、こちらを振り返る。
「一応フツウの挨拶もせんとな。お前ら、元気でやれよ!また会うかもな」
残された2人はしばらくその場で立ち尽くす。




