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6-1・僕、頭イイZE!

 明日以降、真田さんは道具屋でのバイトを探すことになった。真田さん曰く「稼ぐついでに、この世界の道具を学びたい」らしい。この世界の道具の知識が全く無い真田さんに道具屋が務まるかどうかは不明。


 女子達が退室したあと、魔力で光る直径15㎝くらいの玉の灯りを頼りにして、植物の本(厚い)とモンスターの本・内地版(薄い)に目を通す。


「そう言えば、灯りは魔法なんだね。

 ロウソクとかランプの技術って流入しなかったのかな?」


 紙が現実世界からの流入と解った途端に、今まで当たり前のように使っていた灯りまで気になる。


「魔法で火や光を作れるんだから、物を燃やして作る灯りなんて必要無いんだろ」

「そりゃそうだね」


 植物の本(厚い)には各植物が図示され、日なた、日陰、木の回り、草原など、育ちやすい場所が記されている。モンスターの本・内地版(薄い)には、各モンスターが図示と危険度、森、岩場、水場などの活動範囲が書いてある。


「昼間に遭遇した豚人間・・・オークって言うらしいぞ」

「真田さんを追い回してたっていう半裸の変質者のこと?」

「この村の周辺に生息しているうち、ホブゴブリン、オーガ、トロル、

 それからリザードマン・・・こいつ等には遭遇したくないな」

「オーガとトロルはでっかいから発見しやすい。見たら直ぐ逃げなきゃだね。

 リザードマンってゆートカゲ顔のヤツは水場の近くにいるって書いてある」


 植物の生息場所とモンスターの活動地域を照らし合わせることで、「どの薬草を採取するのが危険か」が解る。・・・と言うか、今までは、そんな初歩すら気にしていなかった。


「ねぇねぇ、依頼を2つ一緒に受けるのってできるのかな?

 同じような場所に生えてる薬草をピックアップすれば、

 纏めて収集できるよね?」

「依頼を受けるのは、1パーティーで1つって決まってる」

「ならさ、僕と柴田くんが、パーティーを組まずに別々で依頼を受けて、

 共同で探すなら良いってことだよね?

 考え方がセコいかな?」

「セコい・・・が悪くないな。明日、似たような依頼があったらやってみよう」


 モンスターの出現パターンを考えて遭遇の危険度を下げ、且つ、依頼を複数個受けて、植物の生態を把握して同一生息域の薬草を纏めて採取する。

 これで、今までと同じくらいの労力で利益は倍!僕「頭イィィィィZE~~~~」かもしんない!


 朝一で冒険者ギルドに行き、柴田くんと一緒に依頼を見て廻り、ちょうど良さそうな薬草探し2つを選んで、パーティーを組んでないフリをして、別々に受付に持っていく。


「さっきの彼と一緒に行動するんだろ?」

「えっ!?」

「それならそっちより、こっちの方が採取地が被ってるよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 受付の人に思いっ切りバレてた。しかも、もっと条件の似ている依頼を紹介してくれた。


「ああ・・・そうなんですか?ありがとうございます。

 なら、そっちでお願いします」


 過去にも、少し冒険に慣れた初級冒険者が「パーティーを組んでないフリをして依頼を同時に複数クリアさせる」作戦をやったらしい。全然、僕「頭イイZE」じゃなかった。まぁ、この世界に来て数日の僕達が思い付くくらいだから、この世界の人達が思い付かないわけが無い。・・・てか、これすら思い付かなければ「この世界の人、どんだけ頭悪いの?」ってことになってしまう。


 

 2つの依頼の同時クリアのおかげで、達成報酬は昨日より多く得られた。この世界の貨幣価値にはまだ慣れてないけど、日本円にしたら多分15000円くらい。この調子で明日も荒稼ぎ(?)をしたい。・・・まぁ都合良く、似た依頼があるかどうかは解らないけど。


 安藤さんは給仕があり、綿本さんは食堂でバイトをしている為、昨日までは、夕食は宿の食堂で僕と柴田くんだけで食べていた。だけど、今日からは真田さんも一緒。真田さんは、ずっと膨れっ面をしている。


「どうしたの?道具屋で雇ってもらえなかったの?」

「ちょっと聞いてくれるぅ~?

 道具屋のオヤジ、『女装してニコニコしてるって条件』で雇うってゆーの!」

「・・・・・・ん?」


 意味が解らない。女子の真田さんに「女装しろ」って、どーゆーことだろうか?


「あたし、男って思われたみたい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ヒドくね?」


 何となく状況が解った。真田さん、年相応よりは少し幼い顔してるけど美少女。でも、ドレスじゃなくて、男の衣装ローブとズボンを着用していて、おかっぱ頭をしている。だから、道具屋の主に美少年だと思われて、「看板娘のふりをすれば雇ってやる」と言われたんだ。

 一周廻って「真田さんの正しい活用方法」だ。


「ドレスを着るべきってことだろ」


 柴田くんが至極当然のツッコミを入れる。


「俊一くん、『女はスカート穿け』なんて女性蔑視だよ!

 ジェンダーレスの時代にそれはダメだよ!」

「この世界にはジェンダーレスが存在しないんだろ?」

尊人みことくんはどう思う?」

「えっ!?えぇ~~~と・・・」


 あれ?聞き違いかな?昨日までは「源」だったのに、いきなり名前で呼ばれたような気がした。


「真田さんは、その服の方が動きやすいんでしょ?

 なら、ジェンダーとか関係無く、今の格好で良いんじゃない?」

「さっすが、尊人くん!良いこと言うじゃん!

 ここが本物の中世ヨーロッパなら、あたしだってドレス着るけどさ」


 中世ヨーロッパでは、キリスト教によって異性装は禁止されており、違反をすると厳しく罰せられた。15世紀フランスのジャンヌダルクは、最終的には戒律を破って男装をした罪(罠にはまって男装をさせられた)で異端とみなされて火刑になっている。


「ここが中世ヨーロッパだったら、真田は火あぶりにされてるってことか?」


 だが、この世界にキリスト教は存在しない。


「中世ヨーロッパっぽい別の場所なんだから、ジェンダーレスでいいの!

 尊人くんだって、賛成してくれたし!」


 真田さんが、僕の知らない世界史雑学と比較しながら男装の正当性を説明してる。だけど僕は、急に真田さんから馴れ馴れしく「尊人くん」と呼ばれたことの方が気になって仕方ない。



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