2-1・肌の色が土色の小っちゃいオッサン
30分くらい経ったかな?時計が無いから解らない。
「スマホ・・・ポケットに入れておけば良かったな」
授業中はスマホ禁止。真面目にカバンの中に入れてたから離ればなれになっちゃった。スマホがあれば直ぐに親に連絡して迎えに来てもらったり、位置確認をして帰宅できたはず・・・と考えると手放してしまったのが悔やみきれない。
「おなか減ってきた」
もちろん弁当もカバンの中。謎の袋には、乾燥した肉とか乾パンみたいなのとかビスケットっぽいのが入っている。隕石騒ぎで、僕と一緒に飛んできた?災害時の非常食かな?震災が起これば学校が避難場所になるんだから、こ~ゆ~のが常備されているのは納得ができる。
「だけど・・・あんまり食べたくない」
ちょっと白く濁った水も入ってた。
「スポーツ飲料・・・ではなさそう」
誰かの持ち物かもしれないし、濁った水なんて飲んだらお腹を下しそう。
「それにさ・・・」
食料は「学校常備の非常食」と解釈すれば納得できるけど、剣は触って良いのかどうかも解らない。袋に入ってたA2サイズの紙に至っては意味不明すぎる。どこかの国の地図?それとも、ただの落書きだろうか?
「どうしよう?」
人影一つ見えない。このまま待ってるってのもマズいような気がしてきた。
「林みたいになってるのは公園かな?」
徒歩で2~3分の距離。何にも無かったら戻ってくることにして、とりあえず剣と食料袋を持って行ってみることにした。
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日が遮られてるから、原っぱよりもヒンヤリしててチョット寒い。林より森の方が木が多いんだっけ?林は人工的で森は自然にできてるんだっけ?この際どっちでもいいや。
「・・・何にも無い」
周りと比べて、僕が世間知らずなのは認めるけど、僕の住む玄滋津市に、こんな大きな林や原っぱがあるなんて知らなかった。地元のことくらい、もう少し知っておいた方が良いな。
ただでさえ何も目印が無い場所だ。変に探索して迷子になったら困る。チョットだけ林に入って、軽く見て回って、最初にいた場所に戻ることにした。
ガサガサッ!
「ひぃっ!」
風が吹いたわけじゃないのに、葉が擦れて揺れる音がした。人?動物かな?兎や狸なら良いんだけど、熊だったらどうしよう?
恐る恐る、音のした方を覗き込む。我ながら、メッチャ腰が引けているのが解る。智人に見られたら笑われそう。櫻花ちゃんに見られたら呆れられそう。
「・・・・・・・・・・」
目が合った。肌の色が土色の小っちゃくてハゲたオッサンが5人。斧とか大きいナイフを持ってる。めっちゃリアルな質感で、着ぐるみを着た子供達・・・には見えない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
周りと比べて、僕が世間知らずなのは認めるけど、僕の住む玄滋津市に未開の地があって謎の原住民が住んでる・・・なんてのがありえないことくらいは解る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
え~~~と・・・智人が指南してくれたゲーム内で見たことある。レベル1の時は1対1で辛勝。レベル3くらいで数匹を倒せるようになった。今の僕ってレベル幾つ?・・・てゆーか、なんでゲームのモンスターがいるの?
「うわぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ!!!ゴブリンだぁぁぁっっっ!!!」
意味が解らない。意味が解らない。意味が解らない。状況が全く飲み込めない。
逃げる。逃げる。逃げる。最初にいた場所を確認する余裕も無く、枝葉を掻き分けて逃げる。
鏡で見なくても、顔面蒼白なのが解る。智人に見られて笑われたり、櫻花ちゃんに見られて呆れられても構わない。
小っちゃいオッサン達が奇声を上げながら追ってきた!
「ひぃぃぃっっっ!!」
意味が解らない!意味が解らない!意味が解らない!
ヤバい、泣きそうだ。・・・てか、今の僕、絶対泣いてる。
持ってる剣が重くて走りにくいので、後ろに向かって投げる!ちゃんと狙ってないから当たらなかった!
逃げる!逃げる!逃げる!
持ってる袋が邪魔で枝葉を掻き分けにくいから、後ろに向かって投げる!当たらなかったけど、小っちゃいオッサン達は足を止めて袋に群がってくれた!
チャンスだ!今のうちに引き離す!
目視で確認できないくらい引き離したので、身を隠すことにして木の昇る。
「・・・ダメだ」
木登りなんてしたことなかった。頑張って1mくらい昇ったけど、手足が震えていて、しがみついてられなくて墜落した。パニックになってて、できもしないことをやっちゃった。
逃げてきた方向の葉が擦れて揺れる音がする!小っちゃいオッサン達が追い掛けてきた!
「ヤバいっ!」
食料の入った袋だけじゃ満足してもらえなかったみたい。今更だけど、話したら敵じゃないって解ってもらえるかな?ゲーム内で何匹もやっつけちゃったから許してもらうなんて都合良すぎかな?
「もう・・・ダメ・・・かも
夢なら覚めてっ!」
諦めかけたその時・・・
「源かっ!」
「・・・へ?」
剣を握った力石先生が飛び込んできて、僕を庇うように立って小っちゃいオッサン達に対して構える!
顔が厳つくて、いつもはチョット怖いって思ってるんだけど、その時の僕には、力石先生が救世主に見えた。




