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プロローグ
第一印象が肝心である。
「人は見た目が九割」という言葉があるくらいだ。
ありふれた日常の一幕、しかしそこに僅かなりともドラマチックな要素があったとするならば——その瞬間は、人の心へと格段に深く刻まれるものだろう。
だからーー
(風よ!)
なぜか無風に近いこの場を少しでも演出する為、風魔法を使って桜の木を揺らす。
理由は単純である。無風だったからだ。
ざぁーっと舞い散る花びら。
落ちたハンカチ。振り返る少女。それを拾い、差し出す青年。
これぞまさにーー最初の出会いのスチル画面。
ぺこりと頭を下げ、慌てて走り去る少女を見送るのは、この国の王太子にして攻略対象者の王道ルートであるオスカー・ド・アルディア。彼はどこか夢を見るような顔で、小さくなっていくその背中を見つめていた。
(なんか、見送るのが逆だった気がするけどーーとにかく、つかみはオッケーよ!!)
よっしゃあー!!と頭に木の葉を乗せながら力強くガッツポーズをしたのは、最後の卒業パーティーで断罪される予定の『悪役令嬢』である、コーデリア・ロゼ・アルメリア公爵令嬢その人だった。




