俺として
「タイミングは1度きりだからな。行くぞ、ダルド。」
「まあ、やれるだけやってくるか。」
ーエンチャントー
そう言うとプレーンは短剣を金色に煌びやかせた。
「「ギシャァァァァ!」」
「これがあの女かよ・・・変貌しすぎだろ。」
「いいんじゃねぇか?逆にこの姿だとさっきみたいに情が湧かなくて。」
「まあ、情は・・・あんまり湧かないよな。」
金色に煌びやかせた短剣は龍の麓まで行くと、ビリッと斬りつける度に軽快に音を奏出した。一撃、一撃は低いものの俺の剣と違って、斬りつける速度が段違いだ。
斬る度に龍はプレーンの方へ釘付けになり、自分の体をぐるぐるさせている、どれだけ叫ぼうとも、どれだけ暴れようとも縦横無尽に龍の体を移動する、プレーンには全くもって当たる気配はなかった、そうそれはまるで・・・
「迅雷の如く・・・やるね、ズチ。」
「そうだな・・・えぇっ?!え?クロン?」
「え?聞こえてるの?」
「聞こえ・・・てる。」
「なんでだ・・・?まさかあそこで繋がりすぎたからか?」
もう二度と話せないと思っていたクロンに話が聞こえるってことは、あれを試せるか・・・?
「まあ、なんだ、聞こえるってことはクロン、俺の要望に答えられるか?」
「どんなだ?」
「それは・・・」
俺はそう言うと精神の中で話しているのに小声でクロンに伝えた。剣のエンチャントが行けるならこれも行けるだろ。
「うーんと・・・それは前代未聞やったことないから確信は無いけどできると思う。」
可能性がある、それだけで十分だ。
「それじゃあ、俺の合図でよろしく。」
「ギシャァァ!!」
龍の声も段々と枯れてきている。さすがに人間1人で魔力を補っていたら、枯れるだろ。
「そんじゃそろそろ最後と行くか!ダルド!」
そう言うとプレーンは龍の攻撃を華麗に避けつつ、何処かへと誘導している。その誘導先は廊下を使い、龍の速度を上げていった、
「ふぅ、やっと出番か、誘導ご苦労さん!」
一本道の道、速度のあげた龍、その先は拳を構えたダルド、この3つで何をしたいか完璧に分かる、捕まえるために速度を求めた龍のパワーを全部使ってダルドは渾身の拳で殴りつけた。
「こっちも行くぞ、クロン!」
ーエンチャントー
「なんだこれは・・・この違和感・・・」
足に力を入れ蹴りあげると、足の速度は急激に上昇した、まるで風に吹かれたように、やはり正解だったな。
プレーンとダルドの計算され尽くされた、龍へのダメージ、あれだけの攻撃でまだ気絶だ、無駄にしてたまるか!
足を蹴る度に俺に追い風が吹く、まだだ・・・まだスピードを上げろ!
「来たな。」
「はえーなあいつ。」
「30、20、・・・今!」
クロンの合図を聞くと俺の足に全身全霊をかけた、足にかけた力は瞬く間に俺の体をはね上げた、着地点は・・・
もちろん、あそこだ。
「行ってこい。」
「って、うぇ?!うががっ!」
闇の中に体を沈めた俺は足を滑らせ、さっきの龍のように暴れながら滑り入った、今だから言えるのだが、気絶しているんだから別に飛ぶ意味無かったんじゃないのかと。
「本能で動くのはやっぱりやめた方がいいかもしれん。」
「いまさらですか?」
まあ、今更だろうな、だって本能で助けに来ているのだからな。
「っ!・・・伏せて!」
突然のクロンの指示に俺はすぐさま真っ暗な闇の中で1番の低い姿勢をとった。このままだと俺が不利すぎる。
ーエンチャントー
俺は暗闇の中から赤色の石を取り出した、まあ、今は全部黒というか漆黒なのだが・・・
「はぁ?!」
熱い、しっかり俺の手には温度を熱を感じる、なのになんで、なんで周りは明るくならない?!
「闇はいい・・・薄っぺらい約束、無駄な努力、圧倒的格差、そんな心を全部忘れさせてくれる、君もそう思うでしょ?」
あいつだ・・・カゲだ。
「いーや、思わないね。さっさと王女を返しやがれ。」
そう言うとカゲはクスクスと笑いだした、まるで嘲笑うかのように、なんでこいつはこんなに余裕なんだ?外枠はあんなにボロボロなんだぞ?
「それは冗談かい?冗談でももっといい冗談をつきなさいよ。返さないに決まってるでしょ?」
俺は全方位聞こえる声に当てずっぽうで剣を振りかぶった。もちろんその剣は空振りだ。
「無駄、無駄、当たるわけないでしょ?」
剣を振りかぶった瞬間にカゲは自信満々に斬撃を俺にくらってしまった。
俺は間髪入れずに剣を振るが、空振り、空振りする度に攻撃が飛んでくる、それを狙っても避けられる、なんなんだ?
「なんであんたみたいな低脳が勝てると思ってんだよ!小さい頭で考えれば分かるだろ?」
空振り、また斬撃、また空振り。そんな行動の度に俺の体はボロボロになっていく。
「やっぱ、人間ってよくわかんないや、よく分からないのに、私たちを閉じ込める、一生来ない、来るはずのない者の為によ!」
俺はついに蹴りを入れられ、遠くまで吹き飛ばされてしまった、体が動かない、転がった体が悲鳴をあげている。
「ピリオドくん!無理だ!相手は闇だ、助けれるどころか倒せるかすら怪しい!だから早く!ダインを!」
ダイン・・・あいつを使えば俺はこいつに勝てる、あいつの魔物的本能は闇でも関係ないだろう、もしもあの状態で勝てなくても、コンマがどうにかしてくれる、ダインとあいつは強いからな・・・
「・・・だから・・・俺はここで俺として勝ちたい。」
俺はイアルに回復してもらった体をまた鞭を打つようにして立ち上がらせた。息は荒く、血も出ている。
「無理なんだよ!ボケが、低脳はここで終わりなんだよ!」
「クロン、手、貸せ。さっきのやるぞ。」
「ちょっと?!僕の話聞いてる?ダインは?」
「俺として勝たなきゃ意味が無いんだよ!」
頼りきった戦いなんで嫌だ、俺は俺として戦いたい。
「でも・・・」
「うるせぇ!さっさと貸しやがれ!」
「・・・・わがままだね・・・いいよ。でも、死なないでね。」
「死ぬかよ。」
今、わがままな男と、外側が石の中身が神という異色のタッグが、闇の中で戦おうとしていた。
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