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トレーラーの上の戦い

 100km/sのスピードの風は結構応える。


 中程まで行った時、運転席の窓から半身を乗り出す黒のサングラスを掛けた男の姿が見えた。手には拳銃を持っている。

 振り返りざま俺に向かって数発撃ってきた。


 身体をひねって無理な体勢で撃っているので、普通は当たるはずがないのだが、偶然とは恐ろしいものだ。2発目の弾丸が俺の目の前のコンテナの壁に当たり火花を発した。

 たかを括っていた俺はバランスを崩し狭い足元を滑らせ、トレーラーから落下した、いや、落下しそうになった。


 戦闘モードになっていた俺の右腕は、咄嗟にトレーラーの横に出ていたパイプを掴み、辛うじて時速100Km/Sで走行中の車からの墜落死から救ってくれた。


 だが、それを見ていた運転席の男は、執拗に撃ってくる。

 今度は、全く当たる気配はないが、また偶然が起きてもつまらないので、そのまま運転席から死角となるトレーラーの下に身体を移動させた。大型車両なので、俺一人ぐらい難なく隠れることができる。


 さて、ここからどうやって運転席を襲うか・・いろいろと考えているうち、目の前で黄色いプロペラシャフトが廻っていることに気がついた。エンジンの回転を後輪に伝える金属製の太い部品だ。

 何のことはない。要するにトレーラーを止めれば良いのだ。


 俺は、左手と両足の引っ掛かりを確認し、右腕をフリーにした。

 「ブゥ・・ン」という戦闘モード特有の唸りを耳に、頼りの右腕で力いっぱいプロペラシャフトを殴りつけた。


 「ゴン!!」

 重い金属同士がぶつかり合う低く鈍い音が響いた次の瞬間「ギャリギャリーーー」という金属の擦りあう不快な音が響き渡り、どこから出ているのかよく判らない火花が舞い散った。

 殴られたプロペラシャフトは、変な形にひしゃげ「ガコンガコン・・」と異音を発しながら廻り続けている。

 だが、その回転はみるみるうちに遅くなっていき、それに合わせトレーラーのスピードも落ちていった。


 俺は、頃合を見計らって、車の下から再びコンテナの方へ身体を移動させていったが、運転席から身を乗り出すサングラスの男の姿は見えない。

 スピードが落ち、風の抵抗が少なくなった分、素早く動くことができるようになった俺は、博士にもらった新しい足をコンテナの横に引っ掛け思い切りジャンプした。

 一息に運転席のドアのところまで辿りつく。


 運転席にはさっき撃ってきたサングラス男がいた。

 懸命にハンドルを操作している。スピードが落ちている原因が判らないのだろう。


 俺は、戦闘モードの右腕でおもむろにドアを引きちぎると、そのドアごと運転席の中に押し込み、サングラス男を反対側のドアから押し出してやった。

 サングラス越しでも十分判る引きつった表情が、スピードが落ちたとはいえ50km/s位の車からドアとともに落下した恐怖を物語っていた。


 運転席を占拠した俺は、放っておいても止まるトレーラーをブレーキをかけて止まらせた。


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