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影の勇者~2度目の異世界転移~  作者: yusaka
三章 新しい仲間 懐かしい場所
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寄りたい場所

 いつも通りにいつの間にか眠っており、そしていつの間にか目が覚める。今回も同じだ。

「ふぁ~、おはようございます」

 誰にともなくそう呟く。いやほら、なんか習慣っていうか、一人暮らしのときもこんな感じだったしな。

 というより俺……よくあんなことがあってこんな平然と眠れたな。いや確かに、過ぎたことを気にしても仕方ないっていう風に思って眠ろうとはしたさ、うん。……そう思った後の鮮明な記憶がない。

 ……俺そんなにすぐに寝たのかよ。

 なんか昨日のことをなんとも思ってないみたいで嫌だな。

「うん、おはよう」

 そう思いながら俺は頭を掻く……あれ?

 えっと、何か今幻聴みたいなのが……

「ソラ? どうしたの?」

 そういってすぐ横から顔をひょこっと出したのはフレイだ。……あれ、横から?

「うおっ!」

 疑問に思った俺は理解した。フレイは俺と同じベッドに入って、どうやら寝ていたらしい。

「……お前いつからそこに」

「えっと。私、いつの間にか寝ちゃったでしょ? それで夜中に目が覚めちゃって。そしたらなんか、ソラと一緒に寝たいかなぁ~、なんて思って」

 思い出しながら話すように言ったフレイ。

「いや、何でそんなこと思うんだよ」

「わかんないよそんなこと。ただ、そうしたいって思ったんだから」

 何でそうしたいと思ったのかが謎だ。だってほら、俺と一緒に寝たって何のメリットもないじゃないか。

「あれ、御早いですね」

 そう言って近付いてきたのは今しがた起きてベッドから降りたフランだ。

「おはようございます、マスター、フレイ。ところで、なぜフレイがマスターと同じベッドにいるのでしょうか?」

 朝の挨拶の後、フレイを見、そして俺を見てフランはそう聞いた。

「こいつに聞け、こいつに」

「だから、ソラと一緒に寝たいってなんとなく思っただけなんだってば!」

「……なるほど、大体事情はわかりました」

「えっ、マジか!」

「はい。恐らくマスターが眠った後にフレイが目覚めてマスターのベッドに潜り込んだ、というところでしょう」

 俺の問いにそう頷いて答えたフラン。いやすげーなフラン。こんだけの会話でわかるなんてな。まったくその通りだ。

「ですがマスター、そのようなことなら今までも幾度となくあったでしょう」

 ……う、うん、うん。確かにさ、確かにあったさ。そんで今と同じようにびっくりしたりしていたさ。だけどやっぱ――

「慣れない、慣れないんだよ。確かに二年前()にもこういう事はあったさ。だけど慣れないんだよ!」

 少し怒りを含めて言った。

「それにさ、俺何回も言ってたじゃん? そういうことやめろって」

「はい確かに私自身も言われました」

「えっ、フランちゃんもこうした事あるの?」

「ええ」

「ほぇ~、やっぱりフランちゃんもかぁ」

 感心したようなフレイ。いや感心する要素どこにもないよね?

「マスター、やはりこの件に関してはマスター自身が慣れていただくのが一番の解決方法になると思うんですが」

「断る! 何で俺が女と寝ることに慣れなくちゃなんないんだよ」

「別に抱くわけじゃないんだからいいんじゃないかな」

「いやそもそも話が…………おいメリア、勝手に部屋に入ってくんな」

「えー、いいじゃん別に」

 俺らの会話にそう入ってきたメリア。いつの間にか部屋に入ってきていた。

「というよりも……フレイちゃん。ソラと一緒に寝たいのはフレイちゃんだけじゃないよ?」

「えっ?」

「そうそう、私も言おうと思っていたんです。フレイ、マスターと寝たかったなら私にも声をかけてくれればよかったと思うんです」

「そうだよフレイちゃん、私にも言って欲しかったなぁ。そしたら私もソラ一緒に寝れたのに」

「ああ、そっか。でも私、フランちゃんもメリアちゃんもこういうことしたかったって今の今まで知らなかったんだけど」

「それについては今知ったことですし、これからはぜひそうしてください」

「じゃあ、これからはそうするね」

「……それって俺を前にして話し合うことですかね?」

 思わずそう聞く。

「「「駄目?」」でしょうか?」

「……いや、なんかもういいです」

 おかしいのは俺じゃない、俺じゃない……はずだ。

「でもソラって、ちょっと変だね」

「フレイ、それどういう意味だ」

 いきなり変といわれると、少しイラってくる。

「だってソラさ…………」

「だって俺が、何?」

 口ごもるフレイに聞いた。

「……あ」

「あ?」

「あ、あんなことをするんだから、てっきりそういうことには慣れてると思ったのに」

 その一言で、この場が凍りついた。

 ――――あれ? もしかして俺、夜の間に寝ぼけてなんかやっちゃった?

「そ、それって、どういう?」

「だ、だからぁ……あ、あんなに、気持ちいいことしてくれるんだったら一緒に寝ることにぐらい慣れてるって思ったんだよ!」

 ……ああ、これは本当に何かをしでかしちゃったのかな?

「あ、あんなに、気持ちいいこと……何、何よそれっ! 私のほうが前から好きだって行ってたのにっ! 何でこんな会って一日もしてない子とはしちゃうのよっ!」

 なんかメリアがものっそい剣幕で俺をまくし立ててくるんですが。

「記憶にございません。きっと勘違いだようん」

「逃げるなぁっ!」

 いやだってホントに記憶にないし……はっ、そうか!

「メリア、多分これは夢痛てててててっ!」

「夢じゃない! 現実逃避しないで!」

 だからって頬を思いっきり抓るのはきつ過ぎるって。

「でも、ソラからそうされるまでは気付かなかったんだよ? だって、フランちゃんあんなに涼しげな顔で受けてるから……まさか、あんなに」

「フランちゃんもって一体どういうことよ!」

 ああ、余計に混沌としてきちゃったじゃないかよ!

「フレイ! お前変なこと…………ん? フランも?」

 根も葉もないことを言ったと思って注意しようとしたが、

 フランが涼しげで受けて、そして気持ちいいこと……いやこれはしかし、もしかして。

 今までの全て、まさか勘違い、か?

「メリアちょっと落ち着いて」

「落ち着けるわけないでしょ!」

「いいから落ち着け!」

 強めに言うと、少し耳と尻尾をたらしながら正座し始めた。

「……たぶんな、フレイが言っているのは、髪を梳くときの話だ」

「髪を、梳く?」

「ようは俺がフレイを研いだってことだよ」

「研ぐ……えっ! もしかして、あれって気持ちいいの?」

「うん」「はい」

 フランを研ぐ、という行為を知っているメリアによる驚きと共に出た質問はフラン、フレイの二人によって肯定された。

「じゃ、じゃあ今までのは」

「そう、全部勘違いだよ。俺も、お前もな」

 そう言うとメリアはほっとしたようだ。

「なんだぁ、そういうことだったんだね」

「だけど何でそれで俺が女と寝るのに慣れてるなんて思ったんだ?」

「だ、だって…… あの感覚は、その、えっと、た、たぶんエッチしてるときと同じだよっ!」

「……えっ?」

 な、何馬鹿なことを言っちゃってるんでしょうかフレイは。

「メリア気にするなこれは幻聴だ」

 これ以上この話を拡大させたくない。頼むから無反応で頼む。

「ソラ? どういうことなのかな? 説明、してくれるよね」

 ……口に出して頼めばよかったかな?


 結局、フランに説得してもらった。いや俺が説得するよりもあいつが説明したほうが絶対にわかってくれるし。何より俺がめんどくさくなくてすむし。

 そのおかげでその金髪っ狐は普通にパン&スープ食ってるしね。いや、でもあんなぶっとんだ話――少なくとも俺はそう思っている――を説明されて普通なのもどうかと思うんだけど。

「朝からお疲れ様です」

 部屋のドアの方向から視線は感じていたけど、やっぱこいつか。

「……ユミア、やっぱ見てたのか。少しくらい収拾するの手伝ってくれてもよかっただろうに」

「ディニギルと楽しく見てました」

「うん、なかなか面白いね、あれは」

 ユミアとディニギルと駄弁りながら食事をする。俺たちの食事ももちろんパン&スープだ。

「お前もか。お前、もしかしておれの事哀れんでたりする? とてつもなく大変そうだなぁ、なんて」

「君が思っているのとは違う意味だと思うけど、まあ確かに哀れみはした、のかな」

「あ? 違う意味で哀れむって何?」

「普通なら気付くと思うことに気付けないことに、だよ」

 ああ……さっぱりわからない。

「まあそんな事は気にしないで。それより次はどこに行くのですか?」

「行き先は大陸の中心こと新・王都だし、次はレティスだろうな」

「まあそうなりますね」

「そうなると、二つの道があるね」

 ディニギルが今言った二つの道とは、一つは街道沿いに行く方法。まあ普通ならこっちを選ぶ。だって安全だから。ただ馬車を使わないで徒歩で行くと、長いんだよ道のりが。少なくとも丸一日以上は掛かるかな。

 そして二つ目は……魔の森を突っ切る、というものだ。

「俺的には魔の森を突っ切っていったほうがいいと思うぞ」

「何故でしょうか?」

「いや単純に早いし」

 そう、早い。徒歩でも半日あればレティスに余裕で着く。

「それにちょっとした小遣い稼ぎも出来るしな」

「小遣い稼ぎ、かい?」

「ギルドの依頼だよ、魔の森関係の」

「私は別にかまいませんが」

「僕もいいけど、でも特にお金は必要ないと思うけどね。こう言うのは何だけど、お金だったら僕、メリア、ユミアの三人で当面の間に必要になる額は持ってると思うけど」

 まあ確かにそうだ。でも、俺が言いたいことの意味とは違う。

「働かざるもの食うべからず、ってやつだよ。要は、このままだと俺は何もしていないのに三人が貯めた金で、俺はタダ飯を食うことになるわけだよ。それが俺は嫌なんだ」

 俺がそう言うと、ユミアとディニギルはなんとも微妙な表情になった。

「あれ? 俺が言ってることおかしいかな」

 自分的にはまあまあ正論だと思うんだけど。

「いえ、別におかしくはないですよ。ただ……」

「気にしすぎじゃないかな? 僕達はただ単に勝手にソラについていくって言って、それを君が容認してくれている形なんだから」

「いや、気にし過ぎでも何でもそうしないと俺の気がすまないんだよ」

「面倒ですね」

 放っておきたまえよ、(チミ)

「ていうか、行くの? 魔の森」

 いきなり横からそうメリアが問いかけてきた。

「まあ、いいんだったらな」

 そう言ってユミアとディニギルを見ると――

「大丈夫だよ」

「お任せします」

「――らしい」

「そっか……ごちそうさま!」

 言ってメリアは、食器を食堂付近の返却口へと持っていった。

「そういえば確か、メリアとソラが会ったのは、魔の森でしたね」

「まあな」

「へえ、じゃあそこでもしかしてソラがメリアを助けたりとかしたのかい?」

「いや、逆だよ」

「逆?」

「ああ。俺がメリアに、瀕死のところを助けられたんだ」

「瀕死? なんでだい? ソラくらいだったらあんなところでそんな事には」

 不思議そうにディニギルが聞いてきた。

「まあ、確かにあの頃なら別にあんなところで死ぬようなことにはならないんだけど……あん時は、自棄になってたしな。すごく無茶に魔物倒して、そんで重症を負ったところをってことだ」

「自棄、か。何か嫌なことでも」

「ああ、バリバリあったよ」

 あれは正直、堪えた。この世界に来てからその時まで、この世界で経験した一番嫌なことの第一位だからな。そう、一番と一位という言葉で重ねがけするくらいな。

「ああ、後はあれだ。実を言うと今までのは建前だから」

「えっ?」

 おっと、いきなり話を戻しすぎたな。

「魔の森のことだよ。確かにあそこを突っ切ったほうが早いと思うし、小遣い稼ぎもしたい。ただ、あそこに行きたいのはただ単に寄りたいからだよ」

「寄りたい、のかい? 自分が瀕死になったところに」

「え、駄目?」

「いや、別にいいんだけどね。好んでそんなところに行くのは珍しいと思ってね」

「あー、まあ確かにね」

 まあだけど、あそこも俺の思い出の場所のひとつなんでね。

 メリアと初めてあった、な。


 さて、朝食を食べ終わった俺達は、早速魔の森関係の仕事を探しに行こうということになった。

「フラン、フレイ、行くぞ」

 俺たちと違って飯を食う必要のない二人は俺の部屋で待機させていた。まあ、昨日はそれをすっかり忘れていたので連れて行ってたけどな。

「そういえばマスター、皆様とのパーティーはもう組んだのでしょうか」

「あっ! そういえばそうだな」

 確か昨日広場にギルドカード落として、それをフランが拾って、ディニギルとフレイにフランを紹介したら影の勇者うんたらかんたらで確かにうやむやになってたな。

 そのことを皆に話すと、

「まあそれはギルドに言ってから決めましょう」

「正式な登録も必要だからね」

 と言われた。

 で、実際に俺達はギルドへ来た。

「んじゃ、大体3000Eくらいの依頼を目安に三個程度とろうか」

「あ、これなんかいいんじゃない? ボスゴブリン五体討伐だって。報酬10000Eだよ」

「指針を一つで超える額の依頼って……メリア、お前何聞いてたんだよ」

「え、でも出来るでしょ?」

「……わかったよ、じゃそれで一つな」

「マスター、これなんかいかがでしょう。魔の森に生える薬草採取、報酬は一人で抱えきれる量で200E,最大3000Eです。マスターにはうってつけじゃないでしょうか?」

「それいいな。じゃそれ二つ目で」

「これは? ゴブリン掃討一体100E、ノルマは十体で最大二十五体まで、だってさ」

「三つ目も決まりと」

 なんか、すごくあっさり決まったな。やっぱり魔の森が近いから魔の森関係の依頼が多いな。後、大体が冒険者駆け出しの奴がやるようなものだ。まあ、俺もRe:冒険者駆け出しなんだけどね。

「なあメリア、そのボスゴブリン討伐って、ランク何?」

「えっと、Dだよ」

「Dって、俺受けられるのかな」

「いざとなったら私達の誰かが受ければいいんだよ」

「いやそれじゃ意味ないんだよ」

 結局俺タダ飯食らいみたいになっちゃうんだって。

「まあともかく、まずはパーティーの編成からでは?」

「ああっと、そうだったな」

 ユミアに言われて俺は受付に向かうと、そこにはすでにディニギルの姿があった。

「パーティーの編成の承認をお願いします」

「では、パーティーのメンバーをお願いします」

「ソラ・アオノ、メリア、ユミア・ルキル、ディニギル・サイハン」

「ソラ様、メリア様、ユミア様、ディニギル様の四人ですね」

「はい、でパーティーリーダーはソラでお願いします」

「いやいやいやおいおいちょっと待てや!」

 思わずそう突っ込んでしまった。

「どうしたんだい?」

「いや、どうしたんだい? じゃないよ! なんで俺がリーダーなんだよ!」

「いやだって、皆で話し合ったら満場一致だったよ」

 ディニギルに言われて他の二人を見ると、二人とも頷いていた。

「その皆になんで俺が入ってないんだよ!」

「でも別に、リーダーだからって特に何かあるわけじゃないし」

「……あ、そうなの? じゃあ別にいいけど」

 まあ、なんかめんどくさい事がないならいいんだけどさ。

「でも、よく考えたら俺たちって結構ランク天地の差だしパーティーなんて組めるのか?」

「それについては大丈夫です」

 俺の問いかけに答えたのはディニギルでもユミアでもメリアでもなく、受付の人だった。

「ソラ様はすでに例外リストに入っているので」

 あ? 例外リスト?

「何それ」

「とても素晴らしい技能を持つ方に対応するためのリストです。リストに記名されている方は例外措置を受けることが出来ます。今回の場合、本来ならばパーティーの中で一番ランクの高い人がパーティーリーダーになるという決まりがありますのでソラ様がパーティーリーダーになることは出来ません。さらにはパーティーリーダーはおろかSランクの冒険者とパーティーを組むことも出来ないですので」

「そ、それが例外リストに入っていると?」

「例外措置を行なうことになります」

「つまり、パーティーに入っても、パーティーリーダーになっても大丈夫、と?」

「はい」

 ……いつの間にやらそんなリストが出来ていたとは。

「お前ら、これ知ってた?」

「でなければパーティーの話なんてしませんよ」

「だが、俺がこの例外リストに入っているって何でわかったんだよ」

「まあ、昨日僕と決闘していた時と、その時に入ってきたフレイとの戦い。両方ともこのギルドの人は見てたと思うけどね」

 あー確かにそんなこともあった気がするなぁ。…………昨日の夜のことが印象的過ぎて忘れてた。

「はい。とてもソラ様が優秀ということで本部にも確認を取って例外リストに記名、という事になりました」

「はあ、そうですか」

 なんか、ホントに二年前とは劇的に変わっていてもうお腹いっぱいですよ。

「あ、それはそうと依頼受けたいんですが」

「はい、承ります」

 まあもちろん、例外でDランクも余裕でしたよ。


「よし、依頼はもうOKだな」

 ギルドを出て宿に戻った後、俺の部屋で最後の確認だ。

「道具と食料は?」

「宿へ戻ってくる途中に必要な量は買いました」

 そういってユミアは俺に道具と食料の入った袋を渡してきた。俺はそれを、『収納空間』に入れようとする。

「えっ! ちょっと、ソラ、それはなんだい?」

 いきなり俺の目の前の空間に割れ目が出来たことに驚いたんだろう。ディニギルがそう聞いてきた。

「ああ、まあこれはレティスに向かってる時に教えるよ」

 そう言って、俺は荷物を収納空間に入れた。

「あ、うん。ぜひよろしく」

「ああ。とまあ、準備はこんなところだろうな」

 ディニギルに頷き俺は言った。

 そして俺たちが宿を後にしようとした所に、そいつが来た。

「おや、もう出かけるんだね」

「ああ、キーニアルか。次はレティスだよ」

「レティスか。あそこにも私達の宿はあるので、どうぞご贔屓にお願いします」

「はいよ。また会おうぜ」

 商人言葉になったキーニアルにそう返事して、俺達は宿を出た。

「ああ、そうそう。レティスで今ちょっと問題があるらしいんだ」

 と、再び呼び止められる。

「問題? 何だ?」

「最近、あそこでは悪夢とか、淫夢とかが流行ってるらしいよ」

「流行ってるって、病気じゃないんだから。だけど悪夢はともかく、淫夢はごめんだなぁ」

 俺がそういうとキーニアルは笑った。

「まあ、大丈夫だとは思うけど、気を付けるに越したことはないからね」

「ああ、貴重な情報ありがとうよ」

 俺がそう言って宿を出ると、ありがとうございました、と後ろから聞こえてきた。


「じゃあ、行きましょうか」

 レティスへの門の前、ユミアがそう言った。

「そうだな、ユミア」

「これからよろしく頼むよ、ソラ」

「ああ、よろしくディニギル」

「二年で私が強くなったの見せてあげるね」

「楽しみにしてるよ、メリア」

「私も頑張るよ!」

「マスター、私もいますからね」

「いざって時は頼むぞ、フラン、フレイ」

 そういうと二人は頷いた。

「よし、じゃあ行くぞ! レティスへ!」

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