トール-2
「避難者、が…。」
「トールの状況は?」
「…」
「トールの状況は?」
「…高度1000mまで浮上しています。」
「他には。」
「依然として高エネルギー状態。」
「そうか。迎撃準備だ。
15分後に開始。」
「はい。」
「トール次は東京駅方面に進行。
おそらく上野のコアが目的です。」
「そうだな。それまでにトールを地に落とす。でなければ、また爆発が起こる。」
「先の攻撃にてNBミサイルをほぼ無傷で突破。どうする気ですか。」
「無策だ。」
「!」
「でもやるしかない。」
「とりあえず、上野駅付近に避難勧告出します。今からなら助かる。」
「ああ。それに無策とは言ったが、ある程度の時間はある。それまで対策を練ろう。」
『第一次トール作戦会議』
「まずは状況整理から行きます。
現在のトールのデータ移します。
体長は100×100×20メートルの5万立方メートル。地上平面に垂直な軸を持つ双四角錐形。要は平べったい八面体。
内部にコアの反応あり。
コア指数は1.04。
現在の高度は1006m。
NBミサイル等を無効化するほどの装甲。」
「偵察局からの追加情報、読みます。
まず、トールの質量、71,420トン。」
「な、7万トンだと、」
「バカな。トール付近では上昇気流、ジェット気流は確認されていない。どうやって浮いているというんだ。」
「今偵察には再計算を要求しています。
が、計算結果が大きく変わることはないでしょう。
次に上野のコアに着くまでの推定、5時間を切りました。時間はないです。」
「それと、先の爆発について。
まず被害範囲から。まず爆発半径は4.6km。
さいたま新都心全壊。」
「解体局の隊員、死傷者多数。
テア損傷箇所あり。動けはします。」
「具体的な数は。」
「…分かりません。」
「なんでだ。」
「爆発により中心部はおろか、周辺部の通信が絶たれています。現地はほぼ、全滅…。」
「一体、あれはなんなんだ。」
「はい。『拒絶反応』です。」
「…なんだそれ。」
「コアが暴走した現象です。」
「暴走?そんな報告は——」
「あります。五年前。」
「東京都東京駅爆発事件。あれと同じです。」
「……あれが、コアだと?」
「コアは本来、怪獣の中で安定しています。」
「ですが単体になると、エネルギーの逃げ場がない。」
「そこに衝撃が加わると——」
「爆発する。」
「…。」
「今回は落下の衝撃によって爆発しました。」
「トールが意図してコアを爆発させた。と?」
「はい。おそらく偶然ではないでしょう。」
「…五年前の爆発と、一緒か?」
「えっ、」
「はい。五年前の東京都東京駅爆発事件も拒絶反応によるものです。」
「上野の半径5kmを避難させるか。」
「いえ、拒絶反応はコア指数に威力が依存します。クロリスは0.41で半径4.6kmの爆発。
上野のコアは指数0.83…。」
「単純計算で倍ですね。」
「つまり半径5kmを軽く超える爆発。」
「どうにかならんのか。」
「現状、大まかに二つの策があります。
一つは迎撃にてトールを地に落とす。
もう一つはコアを別場所に移動させる。」
「どちらがいい方法だ。」
「正直どちらも得策とは言えません。トールに砲撃が効かないことはもう分かってますし、コアを移動させられる距離はたかが知れてます。」
「…」
「テアしか、ない。か。」
「….」
「テアのパンチならあの装甲に穴一つなら開けられるかもしれない。」
「でも…。」
「テア充熱25%。最短9分しか動けません。」
「無理か。」
「いや、やるしかない、か。」
「『シャワー』で回復し続けられれば。」
「行きましょう。」
「作戦名、とか、つけます?」
「いる?」
「『ヨルムン作戦』とか。」
「なんだそれ。」
「まあ、なんでもいいや。」
『ヨルムン作戦』
「では改めて作戦を。」
「この作戦は簡単に言ってしまえばテアのパンチでトールの装甲を破ろう作戦です。」
「ただテアをトールに届けるだけだと、おそらく倒せない。そこでこの作戦を実現可能なものに理論的に押し上げる必要がある。」
「この作戦の問題はいくつもある。まず一番はなんといっても、テアのパンチであの装甲を破壊できるか分からないところ。です。」
「わかっていることは、ミサイルでも傷のつかないほどの硬さということ。」
「テアのパンチ力は?」
「ミサイルの比ではないですが、それでもトールの装甲を突破できるかには疑問が残ります。」
「盾矛対決か。」
「まあこればかりは当ててみるしかないです。」
「そうか。」
「次に当てた後、どうするか。という問題。装甲を破っても内部のコアを攻撃できなければトールは止まりません。」
「テアが内部に入り、直接攻撃すればいいんじゃないのか。」
「流石のテアも自分の体が入るほどの穴を開けられるとは考えにくいかと。」
「それもそうか。」
「で、どうする。」
「レーザーによる光線照射攻撃で行こうと思います。」
「いけるのか。」
「やるしかない。って感じです。
これをやるとなると、光源と穴とコアとが全て一直線上でなければなりません。」
「おい、お前が実現可能にするっていったんだぞ。」
「まあまあ、別に無理な話じゃないです。」
「やれんのか。」
「二方向あります。上野方面とさいたま市方面。どちらか方角にトールに穴を開ける。そしてどちらかの方に光源を設置していれば、移動しているトールにずっと光線を照射し続けられます。」
「テアの拳から考えて開けられる穴は360㎠ほど。」
「光線は用意できるが、今からだと時間がない。」
「どうにか間に合わせてください。」
「こんなんで成功するのか。」
「現状、可能性は2.8%、ゼロじゃないです。」
「もういい。計画実行にはどれぐらいの猶予がある?」
「あと三時間で用意してください。」
「ギリだな。」
「もう他に作戦はないです。」
「…ちくしょう。」




