~大山倍達・オーク殺し~ 【小人テレビ・異世界異種族格闘技完全生中継!冒険者大山倍達がオークに挑む!】
~大山倍達・オーク殺し~
【小人テレビ・異世界異種族格闘技完全生中継!冒険者大山倍達がオークに挑む!】
「さぁ、始まりました!全国1億5000万人の小人格闘チャンネルファンの皆様!お待たせ致しました!実況はワタクシ小人族アナウンサー、フルタッチーがお伝えします!解説は力技なら任せろ!巨人族の格闘家アンドーレさんです!よろしくお願いいたします。」
「……よろしく。」
「ここは異世界の森の中であります!木々が生い茂りどこから敵が出てくるかもわかりません!」
「そんな森にただ1人足を踏み入れた男!それが現世で熊殺しの異名を持つこの人!そう!大山倍達であります!」
「アンドレさんどうですかねぇ?異種族格闘技戦としては最高のカードが組まれましたねぇ!」
「……そうですね。」
「さぁ出てきましたオーク!歩くオーク民族大移動! まさに歩く重戦車、身体の大きさが違います!」
「人間の大山倍達選手に対して、体格差は実に――これは大変なことになっています!」
「ルールなんてオークには通用しませんからねぇ、アンドーレさん。」
「……そうですね。」
「武器の使用、噛みつき、体当たり、投げ技! 何でもありです!」
「……オークですからね。」
「おっと! アンドーレさん、早くも核心を突きました!」
「大山倍達も静かに動きだし間合いを取っています!」
「おーっとオークが大きく振りかぶって殴ってくるーーー!」
「なんと!大山は真正面で受け止めず、掛け受けで攻撃の軌道を外したァア!なんということだーーー!」
「……まともに受けたら死にます。」
「おっと!大山倍達!オークの懐に、すーーーっと入り込み!掌底打ちであります!」
「オークが左右の腕を交互に振ってきたァア!その猛攻をかわしながらその腕を取った大山倍達!形勢逆転かァァ!」
「さらに上から腕を振り下ろしてくるオーク!まさにオーク山脈、1頭民族大移動であります!」
「おーっと!オークのこの力任せの攻撃を大山倍達手刀上段受け!!そのまま一瞬にして間合いを詰める!時空瞬間移動であります!正拳回し打ち!」
「オークが距離を詰めて組み付こうとしております!まさに絶体絶命、万事休すか!?アンドレさんはどうご覧になりますか?」
「……このまま組み付かれたら、死にます。」
小人カメラが大山倍達をズームする。
「すっーーっ。」と息を吐く倍達。
そのまま倍達は一歩引いて猫足立ち。
オークの体勢が一瞬前に流れた。
踏み込みながら下突き。
「チェーストォオオオオオ!」
「紫電一閃の攻撃!オークが崩れ落ちたァア!」
「人類が素手でオークに勝った瞬間であります!こ、これは……歴史的瞬間だーーーー!どうですか?アンドレさん!」
「……勝ちました。」
小人レポーターがカメラと一緒に大山倍達に近づいていく……
トコトコトコトコ
「現場と繋がったようです!現場のマッナーベアナウンサー!?聞こえますかー?」
「はい!現場のマッナーベです!早速、オークに勝ちました大山倍達さんにインタビューしてみたいと思います!」
トコトコトコトコ
さらに近づく。
「大山倍達さん、少しインタビューお願いします。倍達さんは何故冒険者に?」
「武の道の探求は断崖をよじ登るがごとし。休むことなく精進すべし。だ。」
「それでオークの森へ?」
「実践なくんば証明されず、証明なくんば信用されず、信用なくんば尊敬されぬ。つまりは……」
「武の道において真の極意は体験にあり。よって体験を恐るべからず。恐れず進むべし。ということだな。」
「それでオーク戦を?」
「正義なきオークの力は暴力であり、力なき正義は無能である。」
「質問はそれだけか?礼にはじまり礼に終わる。一同、礼!!!!」
マッナーベアナウンサー
フルタッチーアナウンサー
解説のアンドーレも立ち上がり礼をする。
こうして世紀の【異世界異種族格闘技完全生中継】は幕を下ろした。
♢♢♢♢♢♢
その後、大山倍達は冒険者の傍ら、アトランティスに空手道場を開き後進の育成に力を注ぐこととなる。
【異世界総極真道場】
それがその道場の名である。
大山倍達は数回の転生の後に輪廻へと還ったのだった。
大山倍達アトランティス最後の言葉。
「アトランティスに!礼!!」
【大山倍達について】
大山倍達は、極真空手の創始者として知られる武道家です。
その生涯は梶原一騎原作の漫画・アニメ『空手バカ一代』のモデルとなり、作品では「熊殺し」など、大山倍達をめぐる数々の伝説が描かれました。
1964年には極真会館を設立。直接打撃制の空手を追求し、海外への指導者派遣などを通じて、極真空手を世界へと普及させました。
本作では『空手バカ一代』へのリスペクトを込め、
「もし大山倍達が異世界でオークと戦ったら?」
というお話にしてみました。




