第5話 外から助ける人も、だいたい危ない(代理商・仲立人・問屋)
休憩、という言葉を信じた私が浅はかだった。
たしかに紅茶は出た。
焼き菓子も出た。
椅子にもたれて息を整える時間も、ほんの少しだけあった。
けれど、机の上から書簡の束は消えていなかった。
帳簿もある。
支配人もいる。
そしてノアは、当然のように次の紙を用意していた。
「ノア」
「はい、お嬢様」
「これは休憩ではなく、次の戦いの準備だったのではなくて?」
「お嬢様がお元気を取り戻されましたので」
「否定しないのね」
「紅茶の効果でございます」
「紅茶を盾にしないで」
ロッテが、空になった皿を片づけながら、小さく頷いた。
「お嬢様。糖分は大切です」
「その糖分の後に、また難しい言葉を出す気でしょう」
「はい」
「はい、ではないのよ」
ロッテは、空になった皿を盆に戻しながら、顔だけにこりとした。
かわいい顔で容赦がない。
最近そうなったのか、前からそうだったのか。
考えるのはやめた。
ノアは、ながれるような動作で机の上に新しい紙を三枚置いた。
きれいに、逃げ道をふさぐように。
代理商。
問屋。
仲立人。
私は、そっと椅子を引こうとした。
「お嬢様」
ノアの声が背中に届いた。
「まだ何も言っていないわ」
「お帰りになろうとされました」
「椅子の具合を確かめただけよ」
「では、そのままお座りくださいませ」
「確認した結果、立った方がよいという結論に至ったのだけれど」
「立っていても、支払期限は近づいてまいります」
「あなたたち、最近それを言えば私が座ると思っているでしょう」
「はい」
「素直ですのね…」
負けた。
まただ。
椅子に座り直した途端、ロッテが紙の角度を直した。
逃がす気がない手つきだった。
「それで」
私は三枚の紙を見た。
「これは何?」
「家の外から商会を助ける方々でございます」
ノアが答えた。
「外から助ける人」
「はい」
「助けてくれるなら、ありがたい話ではなくて?」
「ありがたいです」
「なのに、なぜ三枚も紙があるの?」
「助け方が違いますので」
「助け方にも種類があるのね」
「商いの世界では、だいたい何でも分かれます」
「そこは貴族社会を見習ってほしいわ。面倒なところだけ似ないで」
ロッテが帳簿を開いた。
「お嬢様。商会の中にいる補助者が支配人や使用人なら、外にいる補助者もあります」
「外にいる補助者」
「はい。商会の中に雇われているわけではないけれど、商いを助ける人たちです」
私は、少しだけ肩の力を抜いた。
中にいない。
雇われていない。
なら、少なくとも執務室の扉の前に立ちはだかったりはしない。
たぶん。
「その顔は、少し安心されましたね」
ノアが言った。
「していないわ」
「さようでございますか」
「あなた、外にいないものね」
「私はお嬢様のお側におりますので」
「そういう言い方をするから話がずれるのよ」
ノアは一度だけまばたきした。
まったく反省していない顔だった。
ロッテが一枚目の紙を指した。
「まず、代理商です」
「代理する商人?」
「おおむね近いです」
「珍しく褒めたわね」
「代理商は、一定の商人のために、継続して取引の代理や媒介をする人です」
「継続して?」
「はい。一回だけのお手伝いというより、決まった相手のために、取引をつないだり、代わりに進めたりします」
「家の外にいる、取引係みたいなもの?」
「かなり近いです」
ロッテが頷く。
なんだ。
今のは分かった。
少しだけ、紙がこちらを向いた気がした。
「では、代理商は便利なのね」
「便利です」
ノアが答えた。
「こちらの代わりに、遠方の取引先と話を進めてくれることもございます」
「遠方?」
「港町や国境沿いなど、アルマーシュ家の者がすぐには動けない場所です」
「それは助かるわね」
「はい」
「でも、便利な人はだいたい危ないのでしょう?」
私がそう言うと、ノアは目を伏せ、ロッテは帳簿の端をそろえた。
やめてほしい。
それはもう答えだ。
「危ないのね」
「便利な者には、注意も必要です」
「最近、そればかりね」
ロッテが二枚目の紙を指した。
「次に、問屋です」
「といや?」
「はい」
「問いかける人?」
「違います」
「早いわ」
「問屋は、自分の名前で取引します。でも、その取引は他人のためにします」
私は首を傾げた。
「自分の名前で、他人のため?」
「はい」
「それは、どういう顔をすればいいの?」
「少し困った顔で大丈夫です」
「もうしているわ」
ノアが、机の上に置かれていた香料の見本瓶をそっと動かした。
「たとえば、お嬢様がある香料を売りたいとします」
「ええ」
「ですが、アルマーシュの名を直接出さず、専門の商人に売買を任せることがあります」
「なぜ名を出さないの?」
「相場や取引先、土地ごとの慣習に詳しい者に任せた方がよい場合があるからです」
「その人が、自分の名前で売る」
「はい。ただし、実際にはこちらのために動いている」
「仮面をかぶった味方?」
ロッテの手が、帳簿の上で止まった。
「詩的に言うなら、そうかもしれません」
「帳簿係から詩的認定を受けたわ」
「帳簿上は問屋です」
「戻るのが早いわ」
私は二枚目の紙を見る。
問屋。
自分の名で、他人のために。
少しややこしい。
けれど、商いではありそうだった。
こちらの名前を出さない。
かといって、誰かの名前を借りるわけでもない。
その人の名前で動く。
中身はこちらのため。
ずるいような、賢いような。
まだ好きにはなれない。
「では、問屋も味方なのね」
「味方にもなります」
ノアが答えた。
「にも?」
「取引の相手から見れば、その問屋こそが表に立つ相手でございます」
「また外から」
「はい」
「商いの世界、外からばかりね」
「信用は、外から見える姿で決まることが多いですので」
私は息を吐いた。
また信用だ。
便利な言葉になってきている。
それが少し嫌だった。
ロッテが三枚目の紙を指した。
「最後に、仲立人です」
「仲立ちする人?」
「はい。これは分かりやすいです」
「本当に?」
「他人同士の商いを、間に入ってつなぐ人です」
「夜会にいる、顔の広い伯爵夫人みたいなもの?」
ロッテは一拍置いた。
それから、かなり慎重に頷いた。
「かなり近いです」
「ほら、あの方々は誰と誰が知り合いで、どの家とどの家が相性がよくて、どこに話を通せばよいかを全部知っているでしょう」
「はい」
「それで、扇で口元を隠しながら、“まあ、それでしたらこちらの方をご紹介できますわ”とおっしゃるの」
「お嬢様、急に生き生きされましたね」
「社交界の話なら少し分かるもの」
ノアが、扇もないのに口元だけで笑った。
「では、仲立人は、商いの夜会における顔の広い伯爵夫人、でございますね」
「急に怪しくなったわ」
「分かりやすいかと」
「分かりやすいけれど、怪しいわ」
ロッテが帳簿の余白に、短く線を引いた。
「ただし、お嬢様。縁談ではなく取引です」
「分かっているわ」
「結ばれるのは家同士ではなく、売買や契約です」
「急に夢がなくなったわ」
「帳簿上は、その方が正確です」
私は三枚の紙を眺めた。
代理商。
問屋。
仲立人。
どれも、商会の外にいる。
なのに、無関係ではない。
屋敷の中だけで商いは終わらない。
遠くで話をつなぐ人がいる。
自分の名で動く人がいる。
相手と相手を引き合わせる人がいる。
アルマーシュの商いは、私の知らない場所で、ずいぶん前から動いていた。
少し腹立たしい。
「お嬢様」
ノアは、三枚の紙の端をそろえた。
「外から助ける者は、便利でございます」
「ええ」
「ですが、便利であるほど、誰が誰のために動いているのかを見誤ってはなりません」
「誰が、誰のために」
「はい」
私は三枚の紙を見た。
代理商は、決まった商人のために動く。
問屋は、自分の名で他人のために動く。
仲立人は、他人同士をつなぐ。
似ているようで、違う。
味方に見える人。
間に立つ人。
表に出る人。
名前を出す人。
名前を出さない人。
ああ。
人間関係まで分類される。
商いの世界は、時々、遠慮がない。
「ロッテ」
「はい」
「これ、全部覚えないと駄目?」
「最初から全部でなくて大丈夫です」
「本当に?」
「今日は見分け方だけです」
「見分け方」
「誰の名前で動いているか。誰のために動いているか。誰と誰をつないでいるか」
私は指で三枚の紙を順番に押さえた。
「代理商は、決まった相手のために継続して助ける」
「問屋は、自分の名前で、でも他人のために取引する」
「仲立人は、他人同士の取引をつなぐ」
「少し分かったわ」
「大変よい進歩です」
ロッテが素直に褒めた。
褒められると少し嬉しい。
悔しいけれど。
ノアは、三枚の紙の横に一通の書簡を置いた。
「では、実物を見てみましょう」
「実物?」
「こちらは、港町リュカオンから届いた書簡です」
「港町」
「香料の買付けについて、間に入る者からの申し出でございます」
私は一瞬、三枚の紙を見比べた。
代理商。
問屋。
仲立人。
そして、書簡。
「つまり、今から見分けろということ?」
「はい」
「急に試験が始まったわ」
「実務でございます」
「もっと嫌な言葉になったわ」
ロッテが書簡を開き、読みやすいようにこちらへ向ける。
丁寧な文面だった。
港町リュカオン。
香料商ギルド近辺の取引。
買い手と売り手の紹介。
条件の調整。
成立時の手数料。
私は、紙と書簡を何度も見比べた。
「これは、仲立人?」
「理由は?」
ノアが尋ねた。
先生みたいな顔をしている。
執事で、支配人で、そのうえ先生。
増えすぎではないか。
「ええと、買い手と売り手を紹介して、条件を調整して、成立したら手数料をもらうから」
「はい」
「自分の名前で売るわけではない」
「はい」
「アルマーシュのために継続して動く、というより、その取引をつなぐ役に見える」
ノアはすぐには答えなかった。
書簡に目を落とし、私の指が押さえている三枚の紙を見て、それから頷いた。
「正解でございます」
ロッテも小さく拍手した。
私は思わず背筋を伸ばした。
「今のは」
そこで言葉が止まった。
悔しい。
でも、少し嬉しい。
「お嬢様は、飲み込みが早くていらっしゃいます」
「褒めるなら、もっと早く褒めてもよかったのよ」
「褒めすぎると、油断なさいますので」
「あなたは本当に執事なの?」
「はい。お嬢様の執事でございます」
「教育係ではなく?」
「必要であれば」
「増えたわ」
ロッテが、次の書簡を出した。
「では、こちらは?」
「まだあるの?」
「港町は一通で終わりません」
「港町、働き者すぎよ」
次の書簡には、別の商人の名前があった。
アルマーシュ商会のために、今後も継続して香料取引の相手方を探し、条件交渉を行いたい。
私は紙を見た。
「これは、代理商?」
「理由は?」
「継続して、アルマーシュのために、取引先を探したり条件を話したりするから」
「はい。大変よく整理できていらっしゃいます」
ノアがまた褒めた。
私は視線を紙に戻した。
さっきより悔しい。
さっきより少し、嫌ではない。
「では、最後です」
ロッテが三通目を出した。
「まだ本当に最後?」
「この分類では最後です」
「分類では、という言い方が怖いわ」
三通目の書簡には、見慣れない商人の名があった。
自らの名で香料を仕入れ、アルマーシュの依頼に基づき、指定先へ販売する用意がある。
私は紙を見た。
自分の名で。
他人のために。
「問屋」
「はい」
「理由は、自分の名前で取引するけれど、アルマーシュのために動くから」
「その通りです」
ロッテが嬉しそうに頷いた。
「お嬢様、三つとも正解です」
「私、今かなり偉いのではなくて?」
「はい。大変ご立派です」
ノアが、すぐに言った。
早い。
早すぎる。
「あなた、そこで迷わないのね」
「お嬢様を褒めることに迷う理由はございません」
「そういうところよ」
私は顔を逸らした。
ロッテは笑いかけて、帳簿に目を戻した。
執務室の空気が少しだけゆるむ。
すぐに、紙の山が視界へ戻ってきた。
紙はまだ多い。
取引先も多い。
知らない言葉も多い。
見えなかったものが、少しだけ見えた。
それで減る紙は一枚もない。
アルマーシュ商会は、ノアだけで動いているわけではない。
ロッテだけで支えられているわけでもない。
遠くの港町。
街道沿いの商人。
名前も顔も知らない仲立人。
こちらの名を背負わずに動く問屋。
継続してこちらを助けようとする代理商。
そういう外の人たちも、アルマーシュの信用を見ている。
こちらが返事をしなければ、彼らは離れていく。
こちらが誰を信じるか間違えれば、家の名は傷つく。
「ねえ、ノア。外から助ける人がいるのは、ありがたいわ」
「はい」
「でも、少し怖い」
ノアはすぐには頷かなかった。
指先で書簡の端をそろえる。
「その怖さは、なくさなくてよいものです」
「また難しい言い方をする」
「商いでは、怖がるべきものを怖がれることも大切です」
ノアは書簡を一通、上に重ねた。
「信用は、善意だけでは守れません」
冷たい言葉だった。
なのに、突き放された感じはしなかった。
そこが少し腹立たしい。
「誰が味方か。誰が間に立っているだけか」
「ええ」
「誰が、自分の名前で動いているのか」
ノアは最後の紙を指で軽く押さえた。
「誰が、アルマーシュのために動いているのか」
「そこを見るのね」
私は三枚の紙を重ねた。
「少しだけ、分かってきた」
言い切ってから、少し後悔した。
ノアの手が、次の書簡へ伸びた。
「調子に乗らないで」
ノアは残念そうな顔をした。
ほんの少しだけ。
見なかったことにした。
今日はもう、見ないことにしたいものが多い。
「今日はここまで」
「いいえ」
ノアが、穏やかに言った。
「いいえ?」
「まだ、日は高うございます」
「今、さらっと恐ろしいことを言ったわ」
「支配人、よそ見禁止、外から助ける者たち。ここまで確認いたしました」
「ええ。だから十分ではなくて?」
「最後に、実際の書簡をいくつか分類して終わりにいたしましょう」
「それ、終わりと言いながら増えているわ」
「復習でございます」
「復習は増えないものでは?」
「商いでは増えることもございます」
「今だけ商いを嫌いになりそうだわ」
私は椅子から立とうとした。
その瞬間、ノアが静かに扉の方へ目を向ける。
そこには、いつの間にか新しい茶器を持ったロッテが立っていた。
「お嬢様。紅茶のおかわりです」
「包囲されているわ」
「補助です」
ロッテは茶器を置いた。
音はしなかった。
包囲の手際だけがよかった。
「外から助ける人の話をした直後に、中から補助しないで」
ノアが机の上に、三通の書簡を並べた。
「では、お嬢様。こちらは代理商、こちらは問屋、こちらは仲立人でございましたね」
「答えを先に言ったわね」
「はい」
「試験ではないの?」
「本番はこれからでございます」
「本番?」
ロッテが、さらに書簡の束を置いた。
「こちらが、未分類です」
「増えた!」
「実地確認です」
「仕上げという言葉で人は逃げられなくなるのね」
ロッテは否定しなかった。
否定してほしかった。
私は、机の上の紙の山を見た。
代理商。
問屋。
仲立人。
商人。
支配人。
よそ見禁止。
私の辞書に載せたくない言葉ばかりが増えていく。
誰か、薔薇とか宝石とか、そういう単語を混ぜてほしい。
ノアは逃がす気がない。
ロッテも、帳簿を閉じない。
支払期限は、こちらの心の準備など知らない顔で近づいてくる。
「分かったわ」
私は椅子に座り直した。
ゆっくり座ったつもりだったけれど、たぶん少し荒かった。
「もう少しだけ付き合うわ」
「ありがとうございます」
「ただし、終わったら本当に休憩よ」
「もちろんでございます」
「その“もちろん”が信用できないわ」
ノアは手袋の皺を直した。
楽しそうに見えたのは、たぶん私の気のせいではない。
「信用は大切でございます」
「それを言えば許されると思わないで」
では、私は何を信用して、この紙の山に向かっているのだろう。
ロッテの帳簿メモ
※ここから少しだけ、ロッテの帳簿メモの難度を上げていきます。
条文番号や現実の例も少し出します。
本編だけ楽しみたい方は、読み飛ばしていただいて大丈夫です。
帳簿係としては読んでいただきたいですが、お嬢様の休憩時間も大切ですので。
今回のお話は、商人の外側にいる補助者です。
商会の中にいる支配人や使用人とは別に、外から商いを助ける人たちがいます。
代理商
商法27条
代理商は、商人のために、その平常の営業の部類に属する取引の代理または媒介をする人です。
ただし、その商人の使用人ではありません。
ポイントは、「特定の商人のために」「継続して」「代理または媒介をする」ところです。
恋愛でたとえるなら、あなたの恋人探しを、継続して一緒に手伝ってくれる友人です。
「あなたに合いそうな人はいませんか」と探したり、話をつないだり、場合によってはあなたの代わりに条件を確認したりします。
毎回違う人のためにふらふら動くのではなく、「私はこの子の味方です」と決めて動きます。
ロッテ的には、専属恋人探し補助者です。
言い方が少し重いですね。
帳簿上は代理商です。
なお、専属だからといって、勝手に相手を選び放題という意味ではありません。
余計なお世話は、人間関係でも商取引でも事故になります。
問屋
商法551条
問屋は、自分の名前で、他人のために、物品の販売または買入れをすることを業とする人です。
ポイントは、「自分の名で」「他人のために」売買するところです。
ここが少しややこしいです。
取引相手から見ると、表に立っているのは問屋です。
しかし、経済的には、裏にいる依頼者のために動いています。
恋愛でたとえるなら、あなたが名前を出したくないので、友人が自分の名前で相手の好意や条件を確認してくれる場面です。
表に出ているのは確認役の友人です。
でも、その確認は友人自身のためではありません。
あなたのためです。
表に出ている名前と、実際に利益を受ける人がずれる。
ここが問屋の気持ち悪いところです。
現実のイメージとしては、証券会社を思い浮かべると分かりやすい場合があります。
お客様の注文に基づいて売買を扱う場面では、表に立って取引を処理する業者がいます。
ただし、現在の証券取引には金融商品取引法などの特別なルールも関係します。
ですので、ここではあくまで「自分の名で、他人のために売買する」という理解のためのイメージです。
帳簿上は、誰の名前で取引しているかと、誰のために動いているかを分けて見る必要があります。
恋愛でそれをやると、だいたい揉めます。
商法でも、見間違えると揉めます。
仲立人
商法543条
仲立人は、他人同士の商行為を媒介することを業とする人です。
買いたい人と売りたい人など、取引相手同士をつなぐ役です。
自分が売主や買主になるわけではありません。
誰か一人のために継続して動くというより、取引したい者同士を引き合わせる役割です。
恋愛でたとえるなら、合コンの幹事です。
あなたと相手を引き合わせ、場を作ります。
本人が交際するわけではありません。
「この二人、条件が合いそうですね」と席を整える人です。
ただし、商法上は縁談ではなく商行為です。
結ばれるのは心ではありません。
売買契約です。
ここを間違えると、お嬢様がまた変な顔をされます。
ロッテ的まとめ。
代理商は、あなたの恋人探しを継続して手伝ってくれる味方。
問屋は、あなたの名前を出さず、友人自身の名前で好意や条件を確認してくれる人。
仲立人は、あなたと相手を引き合わせる合コン幹事。
見分けるときは、次の三つを見ると分かりやすいです。
誰の名前で動いているか。
誰のために動いているか。
誰と誰をつないでいるか。
代理商は、特定の商人のために動きます。
問屋は、自分の名前で取引します。
仲立人は、当事者同士をつなぎます。
なお、問屋に似たものとして、物品以外の取引を扱う準問屋もあります。
準問屋は商法558条です。
ここまで来ると、お嬢様の休憩時間が消えます。
ただし、休憩時間が消えても、支払期限は消えません。
私は恋は分かりません。
ただ、誰の名前で近づいたのか、誰のために動いたのか、誰と誰を引き合わせたのかは、あとで揉めます。
揉めるものは、帳簿係の守備範囲です。
商法でも、だいたい同じです。




