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128.さて出るぞ!

「はい、という事で脱出方法について良い案がある人は挙手をお願いします」


誰も挙がらない。


「先程、試してみたのですが力が使いづらいんですよね」


ナウル君がポツリと呟いた。


「そうね。国から離れているのを差し引いたとしても、これ程力を感じないのは珍しい」


リアンヌさんの手のひらで半透明の美しい鳥が羽ばたいたのも一瞬でその姿が崩れていく。


「おそらく此処は墓場だろう。既に知っているようだが」


モーさんの言葉で皆の視線は私に集中した。いや、注目されるのは昔も今も苦手なんだけど。


「そうね。水の国にいた時に教えてもらった」


ただ、何処にあるかは知らなかったようだけど。


「光の国では、お願い事をする時に生贄を捧げていた。剣術、魔力が強い者を戦わせて勝者に褒美をとらす。願いは大抵叶えられた」


この吸い込まれた空間は意外と広いにかかわらず圧迫感というか息苦しさを感じる。


「その続きは?」

「願いの代償は命。本人達はソレを知らなかった」


よくバレないで何十年も続けてきたもんだわ。


「その家族はどうしたんだ?」

「知らない。ただ、楽な最後は迎えられなかったようよ」


『この話を思い出す度に人間って愚かな生きもんだっておもうわな。死んでもなお恨みつらみだぜ?』


嬢ちゃん、俺は教養ってのが抜けてんだとリューさんはことあるごとに言っていたけど違うわよ。


「リューさんって気持ちいい程頭の中が整理整頓されてるのよね」

「アレは単純なだけだ」

「あの子は単純なんですよ」


ラジとリアンヌさんが、切り捨ててきた。でも、そこにあったかさがあるんだよね。


「あ、水の国に居たとき効果抜群だったからやってみよっか。ナウル君の出番よ!」




***


「どう?」


床に指先をつけ礼をした体を起こし周りを見渡して見るも。


「うーん、変わらず暗い感じね」


私が魔力というものを持っていないのを差し引いても以前に太極拳をしている最中には腕輪がきらきらしたり、何かしら目に見える変化があったのに。


「以前見させて頂いた時に比べて本来の力がでていないようにみえますわ」


リアンヌさんが遠慮がちに呟いた。


「流石リアンヌさん。怠けて呼吸しか整えてなかったのと足場がなぁ。閉鎖的で息苦しさもあるからかも」

「ですが、少しは」


ナウル君が手のひらサイズの魚を作ると青白く光る小魚は空中を気持ち良さげに泳いでいる。


「世界遺産並の古い物に申し訳ないけど、脱出優先の為、壊すか」


思えば、地の国では城を壊滅させで水の国の元要塞の城も一部破壊してきた。


「死者でなきゃ、この際どうでもいっかな」


命優先である。


「ならば防御する者、この器を壊す者に分かれるか」


ラジが分担する為に人選を提案してきた。


「そうね。あとは今回は神器の水に働いてもらおうかな」

『えー!!』


私の言葉でポンッと水が人の姿で現れた。空中に浮く10歳児くらいの女の子の表情は、もの凄く不満そうである。だが、私だって物申したい。


「あの時に聞いていなかったみたいだけど、私は、重くないからね!」


よし。言ってスッキリしたぞ。


『だって』

「だってじゃないくてお願いね。全て水がやってとは言わないから。ですよね?」


戦経験豊富な方々や魔力を沢山もっている子がいるんですもの。


「あ〜自分で決めたけど溺れたら嫌だなぁ」

「相変わらず余裕ですよね。舌を噛みますよ」

「君、辛口だけど実は面倒見がいい損するアニキタイプよね」


そのちょびっとへそ曲がりなのがナウル君のチャームポイントでもあるけどさ。


「……なんか気持ち悪くなってきた」

「ちょ、出す前に言って下さいよ!?」

「ナウル君、そこはまず大丈夫ですか?って気遣いみせるべきよ」


現在、水の神器に頼んでこの閉じ込められた空間に水を急ピッチで溜めているので揺れが酷いのよ。まぁ水に作ってもらった球体の中にいるから濡れる心配はない。


とはいえラジ達の球体も合わせると計三つ水中に球体を浮かせているわけだから、時折球体同士や壁に当たるのだ。


「あっ、口までもう少しじゃない!」

「最初、ラジウス様達が出口を作るんですよね?こんな暗がりで互いの表情も分からないなか破壊するタイミングをどう合図するんですか?」


あ、考えてなかった。



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