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126 .閉塞感は好きじゃない

「ったく、私は攻められるより攻める方がいいのに!」

「ブハッ」

「ゲホッ」


前後の人が盛大にむせた。ちなまに一人は水を飲んでいる最中で、もう一人は飲食はしていない。唾液を詰まらせたのかしら。まだ若いのに嚥下機能が心配である。


「ラジとナウル君、なんか文句あんの?」


歩きながらも前後に苛立ちビームを放てば先に降参したのはナウル君。


「……卑猥な事を言うからですよ。ダッ」


なんか寝ぼけた事を言い出したので、とりあえず目を覚ませと小さな頭を軽くはたいとく。


「ナウル君、君はカブちゃんで爆睡してたのにアホな事を言うんじゃありません。この場所、水攻めって嫌だって言いたかったの」


普通に怖いじゃない!


「あ、でも水がいる」


普段は無表情、たまにテレが可愛い神器で水の少女(年齢不明)


「嫌な事まで思い出した」


可愛らしい口調から出た台詞。私は自分の体を撫で見下ろす。


「そんな重くない……はず」


あるべき箇所に脂肪が少ないのが問題なのよ。


「ユラ様」

「ん?」


先頭にいた光の国のお姫様、フルーレちゃんに呼ばれたが、なんだか表情が強張ってるような。


「フルーレちゃん、ここは一本道?」

「はい。もう少し先に塞がれていなければ、出口につながる扉があります」

「オッケ、早く地上にでましょう」


高さはあっても閉鎖的な空間は苦手だ。なんとなく彼女の表情が気になりつつも悩んでも仕方がないのでまずは出口を優先する事にした。




* * *



そう時間をかけることなく言葉は悪いけど、自分が巨人の国へ迷い込んだのかというくらい縦長にドデカイ観音開きの扉の前に到着した。


「ねぇ、とても美人とイケメンだけど、いやにリアルな石像ね」


その扉の左右には、これまたビッグサイズの男女の石像が建っていた。


「フルーレちゃん?」


彼女は俯き、その華奢な身体が震えている。

やっぱりおかしい。


「マイン、やはり私には出来ません」

「ここまで来てしっかりしなよ! 俺がやる!」

「駄目っ!」


なにやら兄弟は言い合いをし始め、じれったくなったのか、マイン君は彼女の首にかかるネックレスを力任せに引きちぎり、何故か石像の一体に投げつけた。


「ユラ様、もっと離れて!」


リアンヌさんがいち早く反応し私の盾になるように前に出てくれたけど、遅かった。


「光っ防御壁!皆を守って!ちょい傷ついてもとかなしで無傷にして!」


最近、雰囲気で察しろは難しいようなので短い文で可能な限り指示を詰め込むという練習をしていた。


これで、とりあえずセーフ。


『無理ですね』

「へ? ツッ」


光の声と突風が同時だった。いや、差はあったに違いない。


というより。


「これっ不味いじゃん!皆っ!」


超強力な掃除機に吸い取られてる?!踏ん張りがきかず足が地面から離れて。


「生理的に嫌なんだけどー!!」


吸い取られて行く先は、石像の口。


「ユラ様っ」


逆さまに見えたのは、普通に立っている二人。


フルーレちゃんとマイン君。


「あ〜ぁ、まだまだ甘いな」


言葉にしたはずの声も爆風で消えた。





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