111.あれ? 干渉できないはずだよね?
「仕方がないから行ってあげる」
小ワニが悩んだ時間は壁にかかっている時計で約1分か。
「よし、君も今日から仲間よ」
「頭悪い奴の仲間なんてごめんだね」
ビスクドールの様な透明感のる顔だけど中身はホンっと可愛くないわね。まぁ、ここまでは計画通り。
「次は、私のお願い事を」
「嫌だね」
ムッ!
「相手が話をしている時は、まず最後まで聞く!」
ああ、ここが職場仕様なので若い営業の子を叱った気分である。何か言いたそうだが黙ったのでよしとしよう。
「まずは一つ目、水の木の育て方について。二つ目は魔法か魔術か知らないけど本体ではなく中身が来たときに迎え撃つ方法を教えて。あと一つは」
「ちょっと、僕が叶えるなんて言った? それに図々しよね」
また人が話しているのに切ったわね。この子も教育が必要だわ。まぁ、むくれた頬は正直可愛くなくもないが今は先を進めないとギャラリーが飽きだしている。
「マート君!暇だからって椅子を転がして遊ばない! ナーバスさんも受話器を触らない!」
君達はお子様なのか? 緊張感が全く無いんですけど。
「流石に他のメンツは…ダメダメじゃないの」
ラジとモーさんはPCに釘付け。いや、物珍しいのは理解できるけどさ。
「キュキュ!」
「マトモなのはノアだけね」
肩にいるノアがここに居るではないかと主張してきたので撫でてあげれば、尻尾はプロペラのように揺れご満悦である。
「で、最後は何?一応聞いてはあげるよ」
おや?興味はあるのかな。
「まぁ、あくまでもなんだけど。神器達は融合できるか否か。又は神器の任を解く事は可能なのか」
付箋をバラして遊んでいた小ワニの手が止まった。あ、猫の肉球のやつ、私の付箋じゃないの。気に入っているんだから止めてよね。
「本気で言ってるの? だとしたら、ゆらってえげつないね」
私の無言の睨みで付箋から手を話したもの、珍しく視線が強い。
化け物を見るような視線は初めてだわ。
「何に対して? 神器の事なら大真面目よ」
でも、気にしてられないのよ。冗談を言う時間すらおしい。
「ふーん。とりあえず水の木はコレあげる。二つ目は見てみない事にはわからないな。ただ、本体が死ねば終わりだよね」
「いや、距離が問題なのよ」
投げてきた本を受け止めながら、会話は続くも伝わっているのかしら?離れているせいでやっつけられないのが悩みだって言っているんだけどな。
「前にダッガーが現れた際、少しだが手応えをかんじたが」
ラジがPCから顔を上げ参加してきた。やっと一人参加してきたか。
「あの黒歴史か。でも、致命傷ではないわよね? それにどうやって相手がダメージを受けたってわかるのよ?」
「なんとなく」
首を傾げ答えてきたのがソレか。
「ラジにしては曖昧ね」
「視覚では見えない。感覚で感じるとしか言えないな。掛けろ」
「ありがと」
私の膝にマントが落とされた。そういえば、夏はエアコンで寒くて年中ひざ掛けを愛用していたな。
「いっそう、そいつに頼めば?」
小ワニが興味がないと言わんばかりの顔で器用にラジだと示すも、もやもやする。
「確実に捕まえる事が出来るのが理想なの」
「面倒くさいな。あ、役に立つかは分からないけどコレも読んでみたら?」
しょぼいよ小ワニ。手を抜かないでよと文句を言いつつ本日二度目になる投げられた本をしっかりと受け取る。
いや、貰える物は、とりあえずなんでも頂戴しておく。
「ケチつけるのはなしだよ。それで三つ目の神器についてだけど、ゆらの考えている案だと神器の自我もなくなるよね。まぁ、あくまでも仮定だけど。あと開放、ようは人として生きれるのかっていうのは、なくなはいかな」
可能なんだ。
「聞いておいてなんだけど、神器は、光達そのものだと思っていたから不可能だと思っていたけど」
色々考えを広げられそうじゃない。
「せっかくだから、本人達に聞いてみなよ」
シャラン
「えっ、光?」
『ユラは、我々を疎んじているのですか?』
腕輪同士がぶつかり合い綺麗な音を奏でた瞬間、目の前には、闇以外の神器が全員人の姿でで現れた。
『ボク、邪魔なの?』
「え、風、何泣いてるの?!」
『いらないなんて知らなかった』
『しんじらんねー』
ちょ、ちょっと!
「小ワニー!」
何してくれちゃってんのよ!
「ユラ! この椅子を国で使いたいからくれ!」
「ユラ様、このデンワというのは中を開けてもよいでしょうか?」
「ユラ、悪い。なんか押したら色が変わった」
あっちから、こっちから呼ばれ、神器達は泣いたり怒ったり。
「だ〜っ! 無理っ! 一人ずつ喋りなさいっ!」
ホントに疲れる!
しかも神器は干渉できないんじゃなかったの? だから気にせず聞けると思ったのに。
「色々だいなしだわ〜」
「キュ」
「慰めサンキュ」
ノアに頭を手でポンポンされた。
やはり癒やしはモフモフである。




