105.私は、未だ自分を捨てきれない
『それは、この世界が消えてもよいという事でしょうか?』
眩しい光が目の前を支配し、光が人の姿で現れた。自らの意思で出てるくのは初めて会った時以来だろうか。
「やっぱり均等が崩れるとか?」
『気づいていたのですね』
「光って天然なんだろうけど、そこがたまにモヤっとするのよねぇ」
どこか見直したぞと言われているようで、なんとなく素直に喜べない。
「神器の浄化だけじゃ崩壊は免れないって事なのか?」
ラジが不思議そうにしているので紙切れに書いてみせた。
「多分さ、住んでるとわからないかもだけど、この世界って、こんな感じなんじゃないの?」
私は、五角形を描いてケーキカットの様に中心から放射線状に線を引く。更に定規がないから歪むが現状の国々を線で表す。
「本来、五角形になるのが理想。だけど光の国は滅び、風の国内は荒れ模様。闇の神器はどうか知らないけどまあ病んでると仮定します」
闇の国と光の国の点はより中央に印す。
「ようは、神器とそれぞれの属性を持つ国民の安定があって初めて平和になる。そうでしょ?神器代表の光さんや」
『代表というのは理解出来かねますが、そうです』
「リアクション薄いわね」
流石ゆら様とか言われても気持ち悪いので我慢するけどさ。
「っていうか他の皆の反応が意外過ぎるわ」
シンッとなり過ぎじゃない? いやいや、わかるわよ唸る気持ちも。だってねぇ。
「……厳しいな」
呟いたリューさんだけでなく他メンバーの顔はすぐれない。
「だよねぇ。陣地とりで散々戦ってきたんだもんね。光の国なんて機能しているか怪しいし」
国々が生きてないとこの世界は滅ぶのだ。
「リューさんの話だと建物はまだ使われているようだし。まぁ、とりあえず光の国に行って国として再建できるのかが鍵かしら」
そんな事を話しながらも、私はかなりホッとしていた。
何故なら人をこの手で殺めなくて済むかもしれないから。
光が、一瞬私を見て目を細めた。
『甘いですね』
──まるでそう言われたような気がした。




