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101/132

101.キレた私は叫ぶ

「ユラ!」

「笑える。まさかの結末だわ」


気づけば異世界に飛ばされていた。最初こそ私の態度は無知なお子様だっただろう。


「だから考えてきた」


軽口を叩いていたけれど、一つを決める為に仕事の時の何倍も慎重になった。


無駄な犠牲を出さないように。


「なのにコレか。ラジにしては乱暴ね」


腕に痛みが走り原因の元の顔を見た。


「いい加減にしないか」


真面目くさった顔も心配しているから強く掴まれた腕も、今の私には響かない。


「痛いから」


すぐに緩められた手から腕を抜き、人の部屋だという認識が既にない私は、叫んだ。


「光っ! 出てきなさいよ! 他の皆も!」


確かに帰る為に条件を承諾した。だけどさ。


「ユラっ! 力を抑えろ!」


バルコニーへ出た私の心は怒りしかない。


「──光、剣になれ」


切っ先に集める。


風、水、火、地の力を全て。


「残念、まだ一つ足りてないわね」


だけど、いい。


「ラナール! エレール!」

「ユラっ止めろ!」


ラジの制止を無視し、ありったけの力を込め空へ剣を振り上げた。


──来い。


放った力により雲が千切れていく。


希望の光とはほど遠い、まるでこの世の終わりのような光。


「おいっ! 爆発音と揺れがって、やっぱりお前か!って神器か? なんでそんなズラッといんだよ!」


「ユラ様! 何事ですか?!」


振り返れば、半壊した部屋の先に皆の顔。


「あ、ゴメン。今更だけど怪我ない?」


少しスッキリし冷静になった私は、彼らに怪我の有無を聞いたけど、皆は険しい顔のみなので気まずくなり空を見上げた。


「ま、そんなもんよね」


たかだか人間一人にトップが来るわけ──。


『来られましたよ』


光の諦めた声と同時に皮膚が粟立ち、銀の粉雪と強い花の香りが鼻を刺激する。


『私達を呼びつけるなんて驚きだわ。まぁ来ちゃう私達もどうなのかしら? ねぇ、ラナール』


冬の神と春の神、二人が壊れたバルコニーの縁に立っていた。


「ひぃ!」


後ろで悲鳴と誰かが倒れたであろう音がした。





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