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きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第二章 家族
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このままでいい、でしょ?(玉兎視点)

あれから、しばらく時がたった。


わたしはいまでも有栖さんの家に住んでいる。


有栖さんは嫌な顔一つしていなくて、ずっと私を受け入れてくれている。


「有栖さん、またお仕事行くの?」


「ああ。行ってくる」


有栖さんが何の仕事をしているか知らない。でも、有栖さんの関心が私以外に向くことがいや。

有栖さんがわたしのそばからいなくなるのがいや。


「有栖さん、行かないで」


袖をつかんで必死に引き寄せる。


「つき……?!」


バランスを崩して倒れこんできた有栖さんを閉じ込めるように抱きしめる。


「ねえ、行かないで。ずっと一緒にいて?」


「しかし、」


気に食わない。


有栖さんがわたしを拒むのが気に食わない。


「ねえ、ずっとこのままでいようよ。行かないで?」


どうすればいい?


どうすれば、有栖さんが離れずにいてくれる?


なんでもするからさ、だから、私を見て。離れないでいて。


「……いいよ。ずっとここにいる」


有栖さんはスマホを取り出してどこかに電話をかけた。


「あもしもし、有栖です。……はい、辞めたくて。……はい……はい。失礼します」


しばらくして振り返った有栖さんは穏やかにほほ笑んだ。


「仕事を辞めた。これで、いつまでも一緒にいられる」


「本当?よかったぁ」


有栖さんの肩に頭をうずめてぐりぐりする。


「だから安心しな。寝ていいよ」


「うん……」


でもね、ひろこちゃん。

わたし、知ってる。


わたしが寝た後に仕事に行っていること。

本当はやめてないこと。


全部全部知ってる。


でもわたしはそれを言わずに、有栖さんの腕の中で眠る。

そうしていたら、有栖さんはずっとわたしのそばにいてくれるから。


「おやすみ」


きっとこのままじゃいけない。でも、このままでいい、でしょ?


有栖さん、好きだよ。


掛け替えのない、わたしの友人。


あなたは、いつまで私のところにいてくれる?

一応完結になります。後日談とか番外とか載せられた載せます

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