すべてあげるから
すべてがあなたのものなのに…
胸に砂嵐のようなノイズが紛れる
いつしか一人の夜が虚しく辛いの
説いて聞かせて分かち合える相手など
とうの昔に逃げていったわ
答えを求めて彷徨い歩いていた
消えないあなたの匂いは
心に温もりをもたらすの……だけど
冷えかけた両手に吹きかける吐息がふえて
胸の明かりはひとつまたひとつと夜の景色に溶ける
星空はなにも語らない
願いはすべて流れたようね
船に乗り見知らぬ国へ気の向くままに雲を追いかけて
あなたに抱かれてきた記憶のかけら
しみじみとこの瞳を濡らしていくように
腕時計の針を何度も見ては
待ち合わせで一人もじもじと街角に佇んだ
あの頃感じたさみしさなんて今は
どこ吹く風のちっぽけな旅の栞に過ぎなくて
行く先々で鳥に出会い花に抱かれるの
羽ばたく姿に目を奪われて命がときめいて
わたしはつま先を高く上げ 唄い踊るわ
それが真実の癒しでないことくらい知っているのよ
言葉の分からない相手の想い
勝手に考えて自分で喜べるエピソードに
変えて来ただけの二次元の旅なのね
あなたは南の空からやってきて
北の大地へと羽ばたき去ってしまった
わたしは今も花を摘み、昔のようにこの子たちの世話
鳥飼いのあなた
犬飼いのわたし
熱烈に燃え上がるように交わした口づけ一夜限りなのにね
引き裂いたのはあの子たち…
いいえ誰のせいでもなかったよね
だけどあなたを選んで……なんて
あなたも出来ず苦笑いよ、いつも
ブーケを作りたくてとっておきの花園へいった朝
言葉も無いままにふたりの冒険終わりを告げたみたいね
終わりを告げられたわけじゃない言葉は無かったもの
胸に残るいびつな不和の響きも
もう…わたしひとりだけのものじゃない
わたしのすべてはあなたに捧げたはずなのに
すべてあげるから
消せない記憶のかけらも
この花束も
読みに来てくださり感謝でございます。




