三年生
今回がはじめての投稿なので、緊張してます。
なかなか思うように書けていなかったりするので、お見苦しいところがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
俺は常々、人間関係において不器用だと言われる。
まずは小学生の時のこと。
感情表現の乏しさから、同級生のガキ大将に目をつけられ虐められたり。
次に中学生の時のこと。
地元から離れた中学に転校し、親切にも話しかけてくれた男子にそっけない態度で接して、なんだアイツと思われなかなか友達が出来なかったり。
そして現在。
「お前、マジで何なの」
グラウンドから少し離れた、所謂校舎裏と言われる場所にて。
周りを取り囲む数人の先輩が、俺の視線より少し下で睨み上げてくる。
「一年のくせにでしゃばってんじゃねえよ」
低く唸るように発せられた言葉をどこか遠くに聞きながら、練習に戻りたいなあと、ついため息を吐く。
それを勘違いした先輩が、唾をまき散らしながら叫んだ。
「こっちは今年最後の大会に出られるかがかかってんだよ!」
「お前がでしゃばってるせいで、出られない三年の気持ち考えたことあるか?!」
そんなの、考えたことあるに決まってんだろ。
でも、言えない。
またため息を吐く。
俺がもっと、親友のように物事をはっきり言えたなら。
先輩たちに認められるくらい、もっともっと練習に励んでいたら。
こんなことにはならなかったのだろうか。
私立栄清館高校野球部は、甲子園出場回数都内一の名門校だ。
数多のプロ選手を輩出し、昨今ではメジャーリーグに移籍し活躍している選手もいるほどだ。
名門も名ばかりではなく、専用グラウンドにマシーンの数々、そして、選手層の厚さ。
地区大会では決勝までエースを温存し、結果的にエースが登板したのは甲子園の、しかも二回戦からだった。
その栄清館に憧れを抱いていた俺は、中学時代を野球漬けで過ごし、最終的にはエースで四番に抜擢され、大会での活躍もあり栄清館からのスカウトで入学したのだった。
夢にまで見た栄清館での甲子園出場。
入学し、春の大会は新二学年、三学年しか出られないためスタンドでの応援だけだったが、夏の大会へ向け発表されたベンチ入りメンバーの中に自分と、中学からの親友の名があった時は、先輩方への罪悪感もあれど喜びも一入だった。
それから数日経った、ある日のこと。
「おい」
練習後、後ろからかけられた声に戸惑いながらも振り返った。
そこにいたのは、野球部の三年の中でもガラの悪い先輩で。
「・・・何ですか」
一瞬不安が脳裏に過ったものの、何とか返事をした。
「早くグランド整備しろよ。ピッチャーだからって、サボっていいとか思うな。やることはやれ」
「そんなこと・・・」
「口答えすんじゃねえ、早くしろ」
「・・・はい」
何か理不尽な物を感じなかったと言えば嘘になるが、ここは体育会系の縦社会だ。
そういうこともあるとは分かっていたから、すぐに靴を履きかえて、他の一年に混ざって作業に取り掛かった。
それから何日か同じようなことが続き、ついに今日、練習の合間の休憩時間に呼び出されたのだ。
いまだに喚き散らしている先輩は、最初に声をかけてきた先輩ではない。
あのガラの悪い先輩は一度声をかけてきたくらいで、あとは普通に接してくれている。
しかも彼はこの野球部の正捕手で、俺なんかが球を取ってもらっていい人ではない。
そんなことをぼんやり考えていたら、いきなり視界が揺れた。
「聞いてんのかテメェ!!!」
胸倉を掴まれたようだ。
「レギュラー候補に選ばれたからって、調子乗ってんな!!!」
なんて理不尽なんだろう。
悔しかったら、今ここで俺に構っているより練習したほうが先輩にとってもいいだろうに。
つまり、口先だけなのだろう、この人たちは。
三年生だからと言って、必ずしもベンチに、ましてレギュラーになれるわけではないことを、この人は知らないのだろうか。
いや、そんなはずはない。
一年の俺でさえ知っているのだから。
その時。
ジャリ、と誰かの足音が響いて、直後、怒声が脳内に響いた。
「何やってんだ!!!!」
「ぐっ」
掴まれていた胸倉を突き飛ばすように放された俺は、すぐ後ろの壁に背中を打ち付けて変な声を上げた。
「木江、大丈夫か」
急いで俺に駆け寄って来たのは、正捕手の真上さんだ。
初日に俺が注意された、ガラの悪い、否、悪い振りをしていた先輩である。
彼は俺と他の先輩たちの間に入り、その表情は見えないものの、声からして怒りに満ち溢れたような、悲しみに満ち溢れたような、どっちつかずな声色で怒鳴った。
「こんなことして、恥ずかしいと思わねえのかよ!!!!」
先輩たちは黙ってうつむいている。
「選ばれなかったからって腹いせか?!自分たちの練習態度も棚に上げて、三年間をへたすりゃ棒に振るようなことして・・・!!」
誰も、何も言わない。
ただただ気まずそうにしていたり、悔しそうに俯いている。
「監督だって、俺だって、辛いんだよ・・・。苦しいのはお前らだけじゃねえんだよ・・・」
真上さんの声が、小さく掠れていくにつれ、先輩たちの中から鼻をすすったりする音が聞こえてきた。
ここに俺がいてもいいのだろうか。
先輩たちの悔しさや、苦しさは、分かる。
分かるといってもそれは常識的な、一般論として、という意味だが。
静かに壁から体を離す。
それと同時に真上さんが振り返って。
「こいつらが、酷いことしたな・・・」
何かに耐えるような表情に、三年生の先輩たちの、特にチームをまとめ上げるような存在である真上さんの葛藤を見た気がした。
お読みいただきありがとうございました・・・!!
スタートがまた微妙なところから入ってしまいましたが、これからいろんな子たちを出せるように頑張りたい!
大人数動かすの大変だけど、楽しいですね。
次回は主人公が「自分がやらなければいけないこと」「自分がやれること」について考えます。
真上パイセンとか親友とか出ます・・・たぶん。
すみません次回もよろしくお願いします・・・!!!




