リンク•オルブライト、協会へ
リンク•オルブライトは18歳であった。幼い頃に両親が失踪し、父親の知人のルドルフに引き取られ、移住したのが11年前である。学校を出て、彼はフロウウィンになるつもりであった。父もルドルフもフロウウィンだったが、単にそのあとを追おうと思った訳ではない。自分はフロウが使える、ならばその力を人のためにという生真面目な正義感が彼の背中を押していた。
「いよいよ明日か、リンクよ。」
「うん。」
フロウウィンとなる前夜、ルドルフとリンクは居間で話していた。
「協会には話してある。OBの私の紹介だから面倒な試験も一部は省かれるだろう。」
「ありがとう、ルドルフさん。」
「かまわんよ。お前に対する私の最後の役割だ。しかし、グレンの息子ということは伏せていいのか?」
リンクの父親、グレン•オルブライトは協会のフロウウィンだった。リンクが産まれる前に協会を退会していたが、かなり腕利きと知名度が高い人物であった。リンクはそのグレンの息子であるということを協会には告げない気でいた。
「うん、いいんだ。僕は父のフロウウィンだった頃を知らないし、変に注目されるのも嫌だしね。」
リンクはどちらかと言えばおとなしい性格である。目立たず、一歩引いたところで行動するような性格だ。
「まあそのことを隠しても何か支障がある訳であるまい。お前の好きにするといい。」
「そうするよ。明日は早いからね、もう寝るよ。」
「ああ、おやすみ。」
「おやすみ、ルドルフさん。」
リンクは自室へと戻っていった。ルドルフはまだ居間に残りもの思いふけた。
(あの夜、リンクを連れて村を出た日から11年…。今となればあっという間だった…。私も55になるか。グレンよ、お前はこれで良かったか…?)
リンクを育てた11年が脳裏に浮かぶ。ルドルフはこれまで独身であった。子供など育てた経験も無く、苦労をした11年。人としての常識を、フロウの使い方をリンクに教えた。
(フロウを教えたことが正しかったのか、今だに私にはわからない…。グレンは戦わぬ平穏を望んだのか、戦士としての日々を望んだのか…。リンクは戦士を選んだ。自分にフロウが使えることを自覚し、私に教えを乞うた。大きな分岐点だったろう。私も悩んだが、本人の意思を優先した。しかし、本当に良かったのか今でも疑念が残るのは何故なのだろう…。)
リンクは自分の子ではない。どのように育てていけば良いのか、グレンとリンクのどちらの意思を優先させれば良いのか、何もわからない手探り状態の育成だった。もっとも、グレンの意思はルドルフにもわからないが。




