第1話『ハーフの幼馴染』
新連載です!
ラブコメです!楽しんで貰えたら嬉しいです!
「ん……もう、朝か?」
スマホでセットしたタイマーがうるさく鳴り、俺――桐生零は起きた。身体をゆっくり起こし、スマホのロックを解除して、タイマーを止める。
「七時半か」
春休みが終わり、今日から新学年、新学期だ。俺は、高校二年生になる。俺は地元から離れた高校に通っているため、一人暮らしをしている。そのため、起こしてくれる両親はいないし、遅れないように早く起きないといけない。
「よっと……」
ベッドから降り、スタスタと歩いてドアを開ける。この部屋はマンションの一室で、両親が用意してくれたものなのだが、俺が住むには広すぎて、あと三人くらいは余裕で過ごせるスペースがある。
「なんでこんな広いところにしたんだか……」
これはもう、毎日のように呟いていることだ。しかしまあ、広い部屋は別に嫌じゃない。物も沢山置けるし。――と、なんともまあ掃除が出来ないような言い回しだが。
「適当に食って、着替えて行くか」
トイレをササッと済ませ、高校の制服を着ながら何も塗っていない食パンを食べる。休みの日なら丁寧な食事をするが、学校の日はそこまでするのがめんどくさい。
「歯磨き歯磨き……」
二分程度で歯磨きも終え、俺はカバンを手に持って玄関を出た。
◆◇◆◇
「えーっと、俺は二年二組か」
マンションから出て二十分くらいだろうか。俺は高校に着くと、靴箱で自分の組と出席番号を確認した。
――で、すぐにスリッパに履き替えて階段を上る。
教室に入って、出席番号で席を確認しながら、自分の席に座った。もう、全ての生徒は来ていた。そりゃそうだ。うちの高校は八時十五分からHRが始まるが、現在ちょうど八時である。
「――あ、もう十五分か」
適当に過ごしていたら、すぐ時間は経った。そして教室に入ってきたのは若い男の先生だ。先生は教卓につくと、
「えー、二年二組の担当になりましたー。一年間よろしくな」
と、なんとも簡単すぎる自己紹介? をした。いや、名前言ってないし、自己紹介なのか怪しいが。
「今日はオリエンテーションだから、すぐ終わるぞ。昼前には帰れるな」
おっと、忘れていた。なら、授業が終わったらすぐ帰ってゲームでも勉強でもしておくか。
「んーじゃ、オリエンテーション始めるぞー」
◆◇◆◇
――あっという間に、オリエンテーションは終わった。保護者へのプリントだったり、その他もろもろを渡され、クラスは解散。俺はすぐにカバンを持って、教室から出た。
――友達がいない訳じゃない。ちゃんといるし、心配しないで欲しい。俺はただ、すぐ帰りたいだけだ。
「そういや、昼飯どうするか。コンビニ弁当で良いかな」
そんなことを呟きながら靴を履き、俺は靴箱から姿を消す。
――校門まで歩いていると、何やら男子が三十人ほど集まっているのが見えた。そこは一年生の靴箱だ。知らない人しかいないし、新一年生だろう。
「なんであんな集まってんだ? めっちゃ可愛い子いて、連絡先聞いてるとか?」
まあありそうな想像をしながらも、俺はスタスタと歩き続ける。別に恋人がいるなんてことはないが、正直興味ない。
――俺が一年の靴箱の前を通る時だった。俺は、時間が止まったように動きを止めた。地面になにか見つけた? なにか忘れ物をした? ――否、靴箱で男子が群がっている少女の顔がハッキリ見えたのだ。
「な、んで……」
一目惚れ、なんてそういうのじゃない。俺は唖然と立ち尽くしていた。
――すると、向こうの少女も俺に気づいた。
その瞬間――、
「あー!! れーくんいたー!!」
「うえっ!?」
情けない声を出してしまう。まあ仕方ない。こいつがいきなり満面の笑みで抱きついてきて、反射的に出てしまったのだから。
「よかったー! またこうして生で会えて嬉しいー!」
「生でって、春休みに会っただろ……」
知り合いのような喋りをする俺たち。――当たり前だ。なぜならこいつは、俺の昔からの幼馴染である、弥エマなのだ。
そのため家も近く、春休みで実家に帰っていたときに会っていた。
身長は、175cmある俺よりちょっと低いくらい。背中くらいまで伸びているなっがい金髪と、綺麗な青い瞳を持っていて、彫りが深く、顔が整っている美少女で……あと胸も大きい。
こいつがこんな容姿をしているのは、日本とドイツのハーフだからである。
――って、そんなことはどうでもいい。問題は、
「なんでお前ここにいるんだよ……」
「そりゃ、アタシはここの学生になったからだよ」
「うんそれは見りゃ分かる! ここ、地元からめっちゃ離れてるじゃん。そのまま地元の高校に進むと思ってたのに。なんでここ来たんだ?」
その俺の質問に、エマは「はぁ」とちっちゃいため息をついて、
「そりゃ、れーくんと一緒にいたかったからに決まってんじゃん。アタシ、ここ受かるためにめーっちゃ勉強したんだからね? アタシの頑張りを労ってくれていいと思うなー」
「いや、だって、そんな話一度も……」
「内緒にしておこう、って思ってたんだー。サプライズってやつよ」
腰に手を当て、右手で人差し指を左右に振るエマ。そんな姿を見て、今度は俺がため息をついた。
◆◇◆◇
まあなんやかんやあって、今は二人で帰っている。なんか新一年生の男子に目の敵にされていたように感じたが……きのせいか。
「――――」
特に会話があることもなく、ただ歩くだけ。――って、こいつ、ずっと道一緒だな。
さっきから、俺と全く同じ道を進んでいる。まさか、俺と同じマンションに住み始めたとは言うまい。
「……まじ?」
なんて考えは浅かった。一緒にマンションまで入り、エレベーターで同じ階まで来たのだ。
「――――」
スタスタ歩き、俺は自分の部屋の玄関まで来た。
「じゃ、俺ここだから」
そう言って、バッグから鍵を……。あ、やべ、どこ入れたっけ? あ、あったあった……。
鍵を無くしたと思って焦ってしまった。甘いな。さて、部屋に入って――、
「――え、はぁ!?」
「じゃ、入ろっか! れーくん!」
俺が鍵を持っているにも拘わらず、エマは手に持った鍵で玄関の扉を開けた。その姿に、俺は立ち尽くすことしか出来なかった。




