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【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます  作者: なみゆき


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(中身アラフィフ、外見15歳)

 そして、リュシアンの秘密を共有してから数日後

―― ついに、雷を電池として使うための容器に貯める実験が成功した。


私は喜びのあまり、彼に近づこうとした。

すると、リュシアンの体が震えて動いている。

とっさに雷が落ちて感電したのかと思い、心配になりながらも、自分も巻き込まれないように、ゆっくりと近づいていく。


少年だったリュシアンの身長が伸びている。

そして、ガタイが大きくなっている。

目の前にいるリュシアンは、少年ではなく、青年の姿に変わっていく。



子供用の服はビリビリに裂け、危うく裸体の大人の男性に近づいていく痴女になりかけたが、彼は冷静に魔法を使い、瞬時にきちんとした大人の服へと着替えた。


(早業すぎて大事なところは何も見えなかったけど、うっすら見えた腹筋の美しさ。大人のリュシアンの姿は、目の毒すぎるわ。この世界に来てから、父の裸すら見てないから……免疫がなさすぎ、今の私)



大人のリュシアンに見惚れてしまった私に対して、彼は子供の頃と同じような距離感で話しかけてくる。 その無邪気さに、思わず照れてしまった。


(中身はアラフィフだから、 大人の男性なんてときめいてしまうわ)



その後、きちんと身なりを整えたリュシアンと、呪いが解けた原因を一緒に考え始めた――



今回、「今までと違うことは何か?」という点で突き詰めて考えてみた。


そこで思い至ったのは、これまでで一番の量の魔力を、彼が体の外に放出したことだった。



それがきっかけとなったのは、彼自身が“殻を破る”ような行動をしたからではないか――そう考えた。

これまでの行動を振り返ってみると、彼は自分の境遇を私に語り、ミレーヌの悪事を暴くために発明を重ね、そして最大値の魔力を放出して雷を蓄えた。

――彼は、大きく三つの“殻”をこれまでに破ったと推測された。


・自分の秘密を他人に自らの口で語るという“心の殻”

・最大値の魔力を外に出すという“肉体の殻”

・持っている知識を超えて新たな発明をしたという“才能の殻”



大人のリュシアンは、静かに言った。


「セレナさん、僕は、母の中でゆっくり育った。 でも、これからは…… 殻から出て、外の世界で、自分のペースで生きていきたい」



私は、相変わらず“セレナさん”と呼ぶリュシアンに、敬称をつけず「セレナ」と呼び、敬語をやめてほしいとお願いした。


15歳の小娘(中身はアラフィフ)に敬称をつけて呼び、敬語で話す大人の男性って、学校の先生しか思い浮かばない。


私たちの関係はそうじゃない。


だから、他人からリュシアンが変人扱いされるなんて、嫌だった。




だが、リュシアンは私のお願いになぜか戸惑い、

その後、「セレナ」とも「セレナさん」とも呼ばず、代わりに「君」という呼び方で私を呼んだ。



しばらくすると、リュシアンが成長したことを聞いた彼の父が、慌てて帰宅し、泣きながら息子を抱きしめた。 そんな二人の姿を見て、私も涙腺が緩んだ。


リュシアンのお父様、きっと彼が年相応に成長していく過程を見たかったのだろう。


( 彼がやっと大人に成長したことは喜ばしいが、15歳の姿から一気に30代半ばだもんな。)



きっと今日は、親子でゆっくりと話がしたいだろうと思い、私は彼の家を後にしようと帰り支度をした。



玄関へ向かう私に気づいて、リュシアンは目で私を追っていた。


その視線に気づいたが、彼の周りには使用人たちが集まり、喜びに包まれていた。

彼の性格からすれば、そんな人々を押しのけることはできない。



だから私は、手を上にあげて「バイバイ」とリュシアンに手を振り、家路へ急いだ。



今日の私は、これまでで一番、なぜだか気分が高揚している。

彼が前世の私と年が近いのは嬉しい。

だから話しやすかったんだと、改めて理解できた。



だがその一方で、明日からリュシアンに会いに行くのはどうしたらいいのだろうか――と悩んだ。

私の中身がアラフィフだということは、彼と私の両親しか知らない。

それなのに、今の私が彼に会いに行くと、彼がロリコン扱いされるのではないか?と心配になる。




きっと、大人に成長した彼の世界は、これからどんどん広がっていく。

私と過ごす時間は……これまでと違い、減るかもしれない。


そんなことを考えていると、途端に気分が沈んでいく。




気持ちを切り替えるため、私は彼の言葉をノートに書き留めた。

そして、心の中でそっと思った。



(私も、殻を破ったのかもしれない。 記録者、傍観者としてじゃなく、一人の人間として、人の成長の助けになったのかもしれない)





― 記録補足:リュシアンの変化と呪いの解放 ―

・魔力の特性  

生まれつき強大な魔力を持ち、母の妊娠中にその影響で流産しかけた。

・母の言葉と呪い  

「ゆっくり育って」という母の願いが、無意識の呪いとなり、成長速度が通常の半分に。

ー結果、実年齢35歳でありながら、見た目は15歳の少年のまま。

・孤独な日々  

年齢と外見のギャップにより、周囲との会話が噛み合わず、長年孤独を抱えていた。

・使用人たちの配慮  

秘密保持契約により、彼の事情は厳重に守られていた。

・雷の実験と肉体変化  

魔力を器に蓄える実験に成功。  

ーその瞬間、肉体に変化が起こり、本来の年齢にふさわしい姿へと成長。

・服の破損と対応  急激な成長により服が破れるも、リュシアンは冷静に魔法で瞬時に着替え。  

(※危うく私の心臓が爆上がりする状況になるところだった)




ー三つの“殻”の突破 ー

1. 心の殻:自らの秘密を他人に語る  

2. 肉体の殻:最大魔力を外に放出  

3. 才能の殻:既存の知識を超えた発明を成し遂げる  

→ これらを経て、呪いが解け、本来の姿へと変化




ー私の心情ー

・彼の変化に立ち会えたことは、記録者としての誇り。  

・彼の成長とこれからの私との関係を思うと、少しだけ胸が締めつけられる。  

・私はただの記録者ではなく、一人の人間として、彼の成長に関われたのかもしれない。




ペンを置いたとき、私は確かに“生きている”ことを感じていた。

記録は、誰かを守る盾にもなる。

そして、誰かの殻を破る鍵にもなる。


(この私の記録ノートが、誰かの未来を開いた。それだけで、私は十分だ)





 ──そしてこの日、いつものように記録を終えてノートを閉じると、ノートが光った。


ページの隅から、まるで雷のような光が走り、目がくらむほどのまぶしさに包まれた。

ノートが、不思議な何かを超えた瞬間だった。

【あと1話で完結予定です。】


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