第九十話
新大陸行きの権利を取得してから2週間が経過した。
権利取得期間内であるためまだ新大陸行きの船がいつ出るのかも情報はどこにも流れていないので、運営もまだ決定をしていないのだろう。
日程も決定していなければ自分自身の強化を優先して行動するべきところなのだが、目標が明確ではないのでやる気がドンドンと下がってきてしまう。
新大陸といっても新しいフィールドに新しい敵といった漠然としたものであり、その漠然としたものに挑戦できる時期というのは未定。
私の努力の成果を確認することが中々できないのでゲーム内でも鬱憤が溜まり、やる気も削がれるもんだ。
「はぁ、2週間の間で多少はレベルが上がったしスキルも数個だけどよくなった。けど、レベル上げの雑魚敵は単純作業になってる。ゲームでも授業の課題と一緒で作業してたらストレスの発散も出来ないじゃんも~!!」
ベッドの上でドタバタと暴れて埃が舞ったので急いでベランダに退避して、天気がいい今日布団を干そうと決めた。
一度呼吸を整えてから布団を目一杯抱きかかえてもう一度ベランダへと引き返す。
今日の天気は一日中快晴であり雨が降る予報は0%。さらに今日は外出する予定もないので万が一夕立が来てもすぐに対応できる。
そこで竿を拭いていないことに気が付いて部屋に再度引き返そうとしたら
「ねぇねぇ、昨日言われた通りに何回もしたけど全然出なかったよ!」
「そうなの?僕父さんに言われたあそこでずっと粘っていたらきらっと光って出てきたけど。」
「私も出てこなかったよ、ユニークモンスター。」
通学路となっている路上で小学生が登校中の会話が聞こえてきた。
ユニークモンスター、、、その存在をすっかりと忘れていた。
私が装備している仮面もおかしなユニークモンスターのスライムから入手したものでアクセサリーでありながら属性耐性を微量に向上させることができる。
キーワードを唱えることで仮面の耐性の属性を切り替えることが出来るので相手ごとに装備を変更する必要もないし顔を隠すことが出来る素晴らしい一品だ。
あとは何といってもあの強さだ。
スライムといえばゲームでは弱いと相場が決まっていると麗香から教えられてきたが、あれは弱いというのから反対の位置に存在していたモンスターだった。
モンスターは得意な属性、苦手な属性が決まっているものなのにあのスライムは臨機応変に属性を切り替えている。
あのスライムは攻撃・防御に属性に苦手は完全になくして挑むことが条件になるだろう。
そんな相手を探して挑むことが新大陸へ挑む前哨戦として暇をつぶすことができる。
「そうと決まれば布団なんて干している暇はないわ!下僕どもをこき使ってユニークモンスターの情報をかき集めなければ!」
この前のスライムが『一般』レベルの強さだったなら、そろそろ『猛者』となっているやつらに挑んでみたい。
『一般』でも遭遇するのは中々難しいと聞くのでそっちが見つかったら妥協でそっちと戦うけど、今はユニークと戦いたい。
下僕一号と下僕二号にすぐさま連絡を取り情報収集をするようにギルマスとして命令を発した。
一号からはすぐさま返事があったのだが、二号からは既読すら付かなかった。
配信アプリを開いてみるとどうやら二号は雑談配信中で深夜から今の今まで何時間も話をしているとのことらしい。プロゲーマーは夜型の人間が多いのだろうか?
とりあえず、チャット欄に「look」とだけの文章を送信した。
雑談が一時的に止まり既読が付きスタンプで、うさぎが申し訳なさそうな顔で両手のひらを見せている。
「待てということかな。まぁプロゲーマーとして資金稼ぎの雑談配信が終わった後で頼んだ方がいいか。」
そういったことをスタンプの返信に送信すると、なぜだか何かにおびえる犬のスタンプが送られてきた。
あいつのスタンプは動物系と普段見ている性格とは違ってギャップのあるかわいいものを使っていて、少し面白いなと思う。
私自身もネットでもそれらしき情報を収集したり、再度マップを確認してユニークモンスターが徘徊していそうな箇所を絞っていくことをしないと。
ルイスからも現時点で掴んでいる情報がちょうど届いたところでパソコンに向かって、1つずつ情報を精査しないと。
・ユニークモンスター
一般:ユニークモンスターとしては弱い。だが、プレイヤースキルが平凡なものには倒すことは困難。
猛者:ユニークモンスターとして普通。プレイヤースキルがあっても倒すことは困難。
歴戦:ソロで倒せればプレイヤースキルとして世界トップレベルと誇ってよい強さを持つ。パーティで挑んでも倒すことは困難。
魔王:ソロでの討伐は不可能。だが、パーティ・レイドを組んでも不可能に近い。




