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それぞれの夏休み side土端

 会った瞬間にわかった。コイツは危ないって。


 夏休みも後半に入り、講習会がなくなったことで生徒会の仕事もいよいよ大詰めになってきた。10月に行われる生徒会長を決める選挙で今の生徒会ともお別れになる。


 二学期が始まる前に、備品リストの確認を先生に任され、それぞれ担当の教室のものを確認していた。これって生徒会の仕事なの?て思うけれど仕方がないわ。

 任された教室を回っているとふと嫌な気配を感じた。第二廊下の方からだ。此方は成田の担当だけれど気になってそちらへ向かった。案の定、いた。

 見たことのない男子生徒。そして横たわる一年生の女の子。明らかにおかしいし、男子からは異様な空気を感じる。風巻に似たものだが、風巻のものよりずっと質の悪い何か。


「何をしてるの?」


 私はわざと何も気づいていないふりをして声をかけた。すると男子はぴくりと肩を揺らすとその場にしゃがみこみ、倒れている女の子を抱きかかえた。さも今助けようと思っていましたと言わんばかりに。


「転校初日でこの子が案内してくれてたんだ。でも突然倒れちゃって。保健室はどこかな?」


 人懐っこい笑みを浮かべている。風巻とは大違いのコミニュケーション力の高さ。多分、風巻ならびくっとなって慌てたりするんじゃないかしら。想像するだけで笑えてくる。反して目の前の男はとても胡散臭い。関わるのは面倒。私は言われるまま案内だけして離れようと思った。

 するとパタパタとかけてきた成田が此方に来て驚いている。


あぁ、カッコいいとかなんとか言って騒ぐパターンかしら。


 でも成田は風巻を見た時とは違い、はしゃぐ様子もなく何か思案している。そして何か思い出したのかぴょんと飛び跳ねた。


「あ!風巻くんと一緒だ!」


「え?」


「ほら、学校祭の準備の時も女の子が倒れて、風巻くんと保健室連れてったでしょ?似てるなぁって」


 この子、アホに見えてなかなか鋭いのよね。勉強はできるのは知っている。そういうことではなく、本質的に素直だからアホっぽく見えがち。そこが嫌いになれない。勘が鋭いのかピタリと当ててる。


そう、この男。人じゃない。


 私は成田の閃きがなんだか嬉しくてつい口元が緩んでしまった。男は不思議そうに見ながら笑みをたやさず、でもどこか機嫌悪そうな雰囲気を出している。ざまあみろって感じ。悪いことしようとしたのばれてるからね。


 とりあえず言われるまま保健室に男と女の子を連れて行った。保険医に渡すと事情を一通り説明して、私と成田、男は保健室を後にした。


「私は他回るわ」


「うん。えっと、あの。ありがとうございました」


「あぁ、ううん。こちらこそ。キミたちのおかげで助かったよ。ありがとう」


 男はにこやかに笑いながら会釈をするとその場を後にした。やはり何かが引っかかるのか成田はその場から動こうとしない。私はすぐに仕事に戻ろうと思ったけれど、このまま成田を置いていくのも忍びないので尋ねてみた。


「まだ何か引っかかるの?」


「あ!うーん、……何かなぁ」


「あまり気にしなくていいんじゃない?あの人も女の子も別に何かあった感じではなさそうだったでしょう?」


 何かあったと思うけれど、この子にはいらない情報だし、巻き込みたくなくてわざとすっとぼけておいた。それでも成田は「うーん」と唸っている。


「まあ、いっか。じゃあ私、備品確認行ってくる!」


 なぜかスパッと切り替えて、成田はチェックリストを抱えて走って去ってしまった。


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