第10話 あ、ダ・メ……
「これが海かー」
「え?」
まさか海を見たことがない?
いやいやそんなまさか。
だって、この離島には滑走路はない。
いちおうドクターヘリ用のヘリポートはあるが、救急搬送の時しか使われないから、基本島から出る専用。なので海を見たことがないということはありえないのだよ?
もし、これもキャラ設定のために言っているなら、ある意味すごい。惚れちゃうかも(ポッ///)
って、頭の中でワケのわからないことを考えていると、マぺが波打ち際できゃっきゃと、寄せては返す波とたわむれ始めた。
まあ、海初心者にはお似合いだろうよ。
この島で育ったオレは、ある意味、海の玄人。もちろん遊び方もすでにお子様なプレイなど、とうの昔に卒業している。
──ヤドカリチキンレース。
ヤドカリさんは、貝の部分をつまむと貝の中に閉じこもるが、フゥーと息を吹きかけると、顔を出して、どんな場所からでも海に向かうことを知っているだろうか?
その習性を利用して、ヤドカリをつかまえる。
次に砂浜を海に向かって縦に掘りこむ。
寝っ転がってカラダを倒し、掘った穴に腕ごと寝かせて、ヤドカリに息を吹きかける。
すると、ヤドカリが顔を出して、カラダのところを駆け上がってくるのだ。
かゆい、すごくかゆい。
ヤドカリさんが通過するまで辛抱出来たら勝ち。しかし、ひとりでやっているので今日は孤独な戦いとなる。
あ……ダ・メ。
あまりの痒さに悶絶するが、必死にこらえる。
起きちゃダメだ、起きちゃダメだ、起きちゃ──あっ。
「おぬし、アタマがおかしくなったのか?」
……アンタにだけは言われたくないわッ。




