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くノ一その一今のうち  作者: 大橋むつお
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097『三年前 令和5年の新任務』

くノ一その一今のうち 閑話休題編


097『三年前 令和5年の新任務』そのいち 





【 序 】


 国王の死という不測の事態で『草原の国の戦い』は終わった。そのいちは等々力渓谷の甘味処『とどろき』で働き始めたが、間もなく等々力渓谷は令和5年の倒木トラブルにより全面閉鎖。3年後の令和8年3月、渓谷の遊歩道は再開され、そのいちは本来の忍びの任務に戻ろうとしている。


 しかし、その三年間のそのいち、半ば休業状態の『とどろき』でのんびり給仕のバイトをやっていたわけではない。一見のどかに見えるバイト生活、その中で起こったあれこれを覗いてみるのが、この第二章・閑話休題編である。



そのいち:でもぉ、それだとタイトルの意味間違えてません? 


作者:なんで?


そのいち:閑話休題って、元々は閑話ひまばなしやめて本題に戻るって意味じゃないんですか?


作者:え、そうなのか?


そのいち:そうですよ……え、知らなかったんですか?


作者:し、知ってるよ、トーゼン!


そのいち:ほんとかなあ(^^;)?


作者:え……ええと……よ、読めばわかる。


そのいち:ほんとかなぁ(¬_¬)?


作者:分かるから(≧▢≦)!


そのいち:ああ、はいはい(^^;)。





【閑話休題 本編】


 001:『新しい任務』




 ほぼほぼ三年ぶりの再開に等々力渓谷は賑わいを取り戻した。


 なんといっても都心に近い! 世田谷人に言わせると「都心に近い」じゃなくて「都心のリゾート」なんだって。渋谷からたった20分のリゾート地! 等々力駅下車2分! 


 夏場でも、電車を降りて汗をかく間もなく着いてしまう。ゴルフ橋の階段を降りると、もう太古の昔からの大渓谷!


 せせらぎの音、ワッサカと渓谷を覆う数万本の木々と緑。温度計で2~3度、体感温度では5度ほども低い。


 甘味処『とどろき』も連日の盛況で、お給仕も倍以上の6人に増やし、それでも足りないって感じ。


「交代で休憩とりなよ」


 お祖母ちゃんに言われて三十分、ようやくわたしの休憩時間。


 うちのお仕着せは上下セパレートの着物風。アニメに出てくる和風喫茶のコスをまとめて買ってきたもので、お客さんの評判も上々。色は上がベースで、赤・青・黄・緑の四色、下は黒の統一で、あちこちにベースの色を散らしてあって、とっても可愛いし華やか。


 そのお仕着せの襷だけ外して稲荷堂近くの、ちょっと隠れた休憩所。石燈籠の脇に岩があって、そこに腰かける。稲荷堂付近は現在立ち入り禁止、いずれ解除されたら人の目に着くから、その時はその時。


 

 ぼんやりクールダウンしていると思い出す。



 三年前、ボロ市から神棚をぶら下げて帰ってみると(96『世田谷ボロ市』)、お祖母ちゃんから指令を受けた。


『帰ってすぐで悪いんだけど、ちょっと遠出の仕事に行っておくれ』


 バイト希望の女の子から顔をまわして命令する。


『え、どこに?』


 お祖母ちゃんはとっくに現役を退いてるけど風魔忍者の元締め、世襲頭領名の『そのいち』は襲名しているけど、元締めの頼みはなおざりにはできない。


『島根の稲杵神社まで、届けてもらいたいものがあるんだ』


 そう言われて、まあ、クリスマスまでには帰ってこられると思った。


 島根は遠いけど、岡山まで新幹線に乗って、そこから乗り換えたら楽勝。帰りは松江あたりでのんびりできるかもと思った。


『それで、届けるものは?』


 そう質問すると『ちょっと付いといで』と連れてこられたのが、この休憩所。


 じつは、この奥に横穴の古墳がある。


 等々力渓谷とその近くには六つの古墳があるんだけど『七つ目の古墳がある』と、お祖母ちゃんは神妙な顔で言う。


 パンパン


 柏手打って三跪九拝。横穴前の祠からお祖母ちゃんは恭しく三方に載った勾玉を取り出した。


『これを持っていくの?』


『そう、世間的に言うと副葬品、実態は、この古墳の主……主の魂が籠められている』


『う、うん』


 魂……なんか重々しい(^^;)。


——よろしくな——


 声がしたと思ったら、勾玉だ!?


『声、聞こえたんだね』


『う、うん』


『よし、これでえにしができた』


『え、そうなの!?』


『なあに、行って届けるだけだから』


『う、うん』


 お祖母ちゃんが気楽に言うとロクなことが無い。


『それじゃ、旅の相棒を紹介するよ』


 と……お祖母ちゃんがわたしの後ろを見た。


 え?


 ぜんぜん気配とかしなかったので、驚いて振り返ると、さっきのアルバイト希望の女の子が立っていた。


 


☆彡 主な登場人物


風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち

風間 その子       風間そのの祖母(下忍)

百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち

鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫

忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん

徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔

服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一

十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者

多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下

杵間さん         帝国キネマ撮影所所長

えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手

豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟


 

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