第七話
R.I.P. Steve Jobs
胸に強い衝撃を受ける。
次に来るのは肺がひっくり帰るような感覚。
「カハッ」
(息がっ!)
その場に寝ながら丸くなり、 息苦しさを何とかしようと深呼吸をしようとする。
大志はあまりの息苦しさに痛みを感じることは無かった。
(まずい、 このままだと)
少し息が出来るようになると、 冷静になり自分がなにから逃げていたかを思い出す。
そのまま立ち上がろうとして、 ふと自分の周りに生い茂る木々を見る。
そう、木々にはびっしりと蔦が巻きついていたのだ。
(これしかない!)
手から落としたカバンを拾いなおして肩にかける。
そしてよろよろと一番近い木に近づいた。
(上らないと!)
もう一度深呼吸をした後、 大志は蔦に手を掛けた。
太い枝が生えている場所まではおよそ3,4メートル、 最低でもそこまでは上らなければならない。
一歩ずつ、 一歩ずつ上へ上っていく。
しかし、 2メートルもいかないうちに手に限界を感じ始める。
(手が痛い、 でも今下りたら……)
恐怖が大志を駆り立て、 さらに上へと上っていく。
そしてしばらく上ると一番近い枝へとたどり着いた。
(たどりついたぁ!)
そのまま枝のほうまで移動し、 枝の上に落ちないように突っ伏す。
(これ以上は動けない、 眠い)
閉じそうになるまぶたを無理やり開き、 上に来ていた学ランを脱いだ。
そしてそれで自分の体を枝に固定する。
(少しだけ、すこしだけ休もう)
大志はそう、 自分に言い聞かせてまぶたを閉じた。




