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魔王と勇者に好かれた者 [再修正しますm(_ _)m  作者: ヨベ キラセス
第一章 霧と監視に追われたもの
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桜咲く山で、君おもう 6

 最初はそんなに身長差はなかった。いや若干麻央が大きかった気もする。何年も変わらず目線は同じ、そうだった。

 そう思ってたが、知らぬ間に麻央の頭頂部が目線にあった。いつのまにか超えていた。

 俺が成長しすぎたのか、『魔王』である麻央の成長がだんだんと落ちてきたのか。考えることのなかった二年間はあまりにも長く、だがその二年で色んな事を考えて今日を迎えた。


 語るべきでない黒歴史、悲しき過去の黙示録。舞夜ならさらになんていうだろうか?


 だから、このマフラーを作った。




 上を向いた時すでにマフラーは背後に、そして肩まである黒髪を巻き込んで首に巻き付け離す。もちろんゆるくだ。

 ノブキはニヤニヤとする。

「おいおい、春だってのに暑くしてどうすんだ?」

「問題ないさ。このマフラーには《温度変換》に《重量変換》に《チクチク防止》、さらには《伸縮自在》《索敵強化》」

「お前は本当に何作ってんだ!?」

「『スイッチ』だよ」


 あまりの付加の多さにマフラーそのものの存在意義を見失うかと思われるが、ちゃんと最初に《温度変換》っていったじゃん。あと異世界名物《魔石》をデコに使ったし。《耐斬打突》付けたし。しいて、そのすべて打ち消しかねないから魔法耐久(・・)はあまりないが。


「そのマフラーの最大の特徴は、マヤが付け足した《魔力効率強化》と、ユウカの《闇消化》。現地点魔王に最も近い闇を持つのがマヤで、マオは正直今は俺と同じ《無》が強いんだ。だから闇に耐性が薄くなっているし、俺や麻央が思っているほど『魔王の力』を制御出来るものではなかったとあの二年前が証明した」

 麻央はうつむくが、デコピンで再び顔を上げさせた。

「痛いってー!」

「俯くな」

 頭を撫でる。今の彼女に出来る慰め方を、俺は知らないから。


 俺はそれでも、あの日をまだ置き去りにしているから。

 だから隠す事が苦手な彼女に、正直になってもらうしかないだろう。


「……ところでだ」

「なに?」

「……トリガーはそのいいならない《一人称》か?」

 図星だったようで固まるが、

「お前そもそも騙す気ないだろ。髪色、魔力量、その他いくつかの違いもそうだが、お前いつも一人称言い間違えそうになるだろ? 疲れねーか」

「……さ、さあ? あたしいつもこうだって!」

 チョップ。

「……お前なー」


 魔王の力があればそもそもあの男をとり逃す前に殺していた。麻央なら出来る。

 だが、麻央はその力をきっと閉じ込めたんだ。二度と過ちを犯さないために。悲劇を生まないために。


 だが悪いがその努力を俺は壊すよ。な だってさ麻央、俺は……あの髪色と、あの口調がお前らしくて好きだったんだからな。


「マフラーには溢れる魔力がお前の意思で調整できる。ダダ漏れな闇は吸収して、俺が異次元に貯蔵して必要に応じて使用される。どうだ、これがリサイクルだ!」

「……なんでそこまで」

「そっちが好きだからだろ?」

 思いっきり髪をクシャクシャにして、

「そもそもお前、黒合わねーよ。あの頃の髪色、俺結構好きだったけどなー」

「……でも」

「暴走は止めてやる。昔みたいに負けねーよ。そのマフラーしたままじゃもう勝てねーかもだけどな!」

「……だけど」

「なあマオ、お前そこまで頑なな理由はなんだ?」

 あまりに引かないので聞いてみるが、やはり黙ってしまった。

「……なあユウマ」

 するとハジメが口を開く。

「えーと、煤野さんって、昔の一人称ってなんだったんだ?」

「ああ、それはな」

 と、特に変わった事ではない一人称を口にした。


「こいつ、元々は『ボク(・・)』だよ」


 ……あれ? なんかみんな何か悟った? あい優華、助け舟欲しいんだが?

「……デリカシーないわねー」

 更識は呆れ、女子は皆頷く。

「確かにな」

 とハジメとサトシ、さらにはギンキにハンサも敵に回る。よし今度こいつらに激辛カレー俺スペシャルを食わせようそうしよう。

「いや気になるだろ。どうして口調も少し変えたのかってさ」

「可愛く見られたいからでしょうが! 全くこの男は〜!!」

 何故かそんな更識を、なんか諦めた顔で優華が宥めた。いやなんでお前まで!

「………ユウマは鈍感なんだよ」

「だれか俺の味方はいねーのか!?」

 なんで若干でもシリアスだったのにコメディになってんだよ!! 俺は四面楚歌な中唸っている男にかけた。

「おいノブキ! 悪友のよしみで助けてくれ!」

 すると信木は珍しく真面目な顔で、

「……そういや『コトスプ』でマツカの攻略法教えてくれたよな」

『コトスプ』、入学式の日に話した『コトメスプラッシュ』という弱鬱なギャルゲーを思い出す。

「ああしたな」

「……マツカルート、当時だれも攻略法知らなかったぞ。バットエンドのグロさから」

「まー、あれは限度あったからなー」

「…『キラキラメトロ』はカオル、『くくりこい』でヤナ、『びびりあ』でシオン」

「だからなんだよ! それより」

「マジで自覚ねーのか?」

 ピタッと、俺は動きを止めた。そうだ忘れてた。この中で二番で地雷踏むのこいつだった事を。

 理解できてないが止めないといけない。何か共通点あったか? だが早く止めないと––––


「お前の毎度の推し、『僕っ子』だよな?」



 この馬鹿の全ゲームデータを消すと、今ここで決めた。

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