桜咲く山で、君おもう 4
皆が笑いながら、最後の工程として魔力を注いでいると、
「……おっ、お疲れユウカ!」
「………そっちも」
森から最後に現れたのはユウカと、黄色いパーカーのフードで顔が見えない少女の二人。少し疲れてはいるようだが、ユウカは相変わらずのポーカーフェイスで現れた。
「………それ、できたんだ」
「いや、今できる」
この場唯一、今俺がしている作業を知るユウカは、付加し終えたマフラーを手に取る。
「………先生の考案した術式にかなり改良され、錬成で魔力回路が効率化」
「おう、さらに異空間貯蔵完備で魔力ストック可能。おそらく次元級魔法二発分は入る」
「ねえ、なんの話?」
麻央が自分だけ除け者にされたと不満そうだが、
「『我ら』、いや『魔王』専用のアーティファクトの話だ」
彼女はフードを脱ぐ。そこで皆驚愕しただろうが、何となく俺は予想していた。
「……『マヤ』か」
「ああ、思念体の身体では初めてだがな」
容姿はまんま麻央。だが明らかな違いは瞳と髪が金色。そしてパーカーの中は彼女特有と言える黄色主体の龍をあしらった振袖、そして帯刀。
「あ、あの時の!」
「何だ知ってたのか?」
更識は指差し叫ぶ。
「あの時ドレスだった麻央!」
「……マオ、ヌシの友は着眼点が少しおかしいぞ」
「うん、薄々気付いてた」
ハァ、とマヤすら珍しくため息をつく。何だみんな更年期か?
上からな物言いの彼女は咳払いをする
「……我の名はマヤ。『舞う夜』と書いて『舞夜』だ」
皆が瞬間に怖気付く。
彼女の瞳が淡く光り、そのオーラは黒く夜を侵食しようとするように。
「まあ、主らに我の存在を理解することな––––へぶぅ!?」
だいぶ麻央以上の『魔王オーラ』を優華がチョップが殺してしまった。
頭を抑える舞夜は、どうやらかなり強くやられたらしく、素が表に出てきた。
「……痛いのだ〜! 何するのだ〜!!」
完全に強敵感がなくなった涙目の舞夜は抗議するが、第二打の構えで頭を抑えて丸くなった。
「この子、同一の人?」
更識も困惑しているが、多分同じやつだ。だってこいつ……イディオで希少な《厨二病》だから。




