夜戦と、女子会 4
「わたし、昭和の生まれなんです」
カナコは少し恥ずかしそうに言う。
「生前のわたし、体が弱かったんです。長く生きられなくって、七歳の誕生日の前日、真夜中に......」
彼女は俯き、重い空気にカスミとあたしも拾った箸をおいて下を向く。
カナコがイディオでもかなり希少な僧侶だったことは知っていた。幼少から知る仲だからなんとなくだったけど、彼女が自分の過去を話すタイプの子でないと知ってたし、あえて聞こうとも思っていなかったから。
「......このこと、ユウマさんとユウカさんは知ってます。本当はもっと早く、マオさんにも聞いてもらおうとは思ってましたが...」
言えなかったのだろう、物理的に。確かに幼少に仲良かったけど、それも数年。それから世界は大きく変わり、対立する状況になったのだし、それから終わった後も今日まで、カナコとはこうして会う機会がなかったから。
そう、あの戦いが始まって時から、あたしは今日まで『あの日』を無意識に遠ざけた。その時だけ、ユウマのいない二年間を知らない。ユウカがどんな思いだったかを知らない。ユウマが何を見て『破王』と名乗ったのかを、知らない。
「......ねえ」
不意にカスミが顔を上げる。
「...ユウマがどんな奴かまだ、いまいちわからないの。彼がこの世界で害になるか、そうでないかを」
交互に見るカスミは真剣に、
「だから、まずあなたたちが見てきたユウマの、異世界のお話を聞かせてほしいの。二人を知る意味でも、ね?」
「......そうだね。ぼ―――」
ドゴン!
その時、突然の地響きが襲った。
しばらく揺れ、それが今何を告げているのかを理解する。
「......行かなくちゃ」
「マオさん!」
立ち上がろうとするとカナコが手首をつかむ。
「...離して」
「マオさん、わたしが見てきますからここにいてください!」
「離せッ!!」
ビクッと肩を震わすカナコの手を払い玄関に向かう。
「ま、待ってください麻央さん!」
「カナコ、カスミを守って」
「マオさん!」
そう、あんなに一緒に修業したのに、一緒に高めあった日々だけでしか一緒に入れなかった。
鍛えたものは今まで、すべて『ユウマを倒す』ことにしか使っていない。自分に決めたはずなのに。『ユウマを守るために使う』と、決めたはずなのに。
そして、いつも気づいたのは手遅れになってから。
だから、今度は絶対、『ユウマを守る』ために!
扉に手をかけようとし、反対の手をグイっとひかれた。
「......カスミ、離して」
「冗談よしてよ?」
振り返ると、クローゼットから取り出した迷彩柄の服を手に立っていた。
「...ほんと、馬鹿よね男子って」
彼女はニカッと笑った。
「どうせユウマが何かに巻き込まれてるって、隠そうとしてることってわかってるんでしょ? 情報渡すから、自衛隊の私に協力しなさい」
カスミはあたしの手を引いて扉をあけ放つ。
「頼りにしてるわよ『魔王様』!」
「......そっちこそ。日本の自衛官!」
彼女にひかれるまま、彼のもとへと急いだ。




